ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

「差別発言」という誤解

2018-09-11 07:16:47 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「差別発言」9月4日
 『「ツレうつ」夫教育委員に』という見出しの記事が掲載されました。『「ツレがうつになりまして。」などで知られる漫画家の細川貂々さん(48)の夫望月昭さん(54)』が宝塚市教育委員に任命されるという記事です。細川氏にも望月氏にも関係のないことなのですが、記事の中のある記述が気になりました。
 『前任の男性委員(72)は私立小に通う難病の女児の母親らに「養護学校の方が合っている」と差別発言をして7月末に辞職』という記述です。私はこの件について全く知りません。女児がどのような病状であったのかも分かりませんし、養護学校(特別支援学校?)の体制についても知りません。ただ、この記述では、一般論として、難病の児童に養護学校という選択肢を勧めること=差別というように受け取られてしまうと懸念するのです。
 特別支援学校は、特別支援教育を行うための施設設備面や、教員の専門性や経験の面で、普通校よりも恵まれた環境下にあるのが普通です。したがって、そこで学ぶことが、難病の子供にとって、普通校で学ぶよりも適した選択であるというケースはとても多いのです。だからこそ、特別支援学校という制度があり、普通校よりも多くの予算措置が必要であるにもかかわらず設置されているのですから。
 私は教委に勤務しているとき、心身障害教育(当時の呼称)を担当していました。そして障害のある児童・生徒の進級・進学相談を見てきました。そのとき、心身障害教育や障害のある児童・生徒への偏見や差別感情を目の当たりにしてきました。偏見や差別感情は、社会の側にもありましたし、言いにくいことですが障害のある児童・生徒の保護者の側にもありました。保護者の中に、心身障害学級や養護学校(当時の呼称)を、隔離施設か姥捨て山のように見る方々もいたものです。そうした方々の中には、教委の担当者が相談の中で心身障害学級や養護学校が適しているのではないかと話すと、「うちの子を排除しようとしている」と敵意をむき出しにする方もいました。その度に、お子さんに最も適した学びの場を、と考えての提案なのに、と悔しい思いをしたものでした。
 こんな昔話をしたのは、記事の中の記述が、障害のある児童・生徒や難病の児童・生徒を普通校に迎えるのが正しく、彼らの人権を尊重する行為であり、そうでないのは人権を侵害する許しがたい行為であるというような誤解を広げてしまうのではないかという懸念からです。特別支援教育において、インクルーシブという概念が広まっているだけに、余計にそう感じるのです。
 正直なところ、教育委員とはいっても特別支援教育に詳しいわけではなく、辞職した男性の発言には何らかの問題があったのに紙面の関係でその詳細をカットせざるを得なかったのだと思いますが、特別支援教育の現場を知らない人が読んだとき、誤解を助長しかねない記述であるのは事実です。残念です。

 

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