ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

ここが大事

2021-01-17 08:32:12 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「ここが大事」1月12日
 『メルケル首相、アカウント凍結批判』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『メルケル首相は11日、トランプ米大統領のアカウントを永久凍結したツイッター社の決定について、意見表明の自由を制限する行為は「法に基づくべきだ」と述べ、同社の対応を批判した』とのことです。
 すごい人だと思いました。私はトランプ氏を批判的に見ています。特に今回の暴動を煽るような行為は言語道断だと考えています。ですから、ツイッター社の決定を報じる記事を見ても、「ああそうなんだ」と深く考えませんでした。トランプ氏を民主主義の破壊者、法治主義を無視する者とみなす反トランプ感情が、そうさせたのでしょう。
 しかし、メルケル氏は、民主・自由・法治という社会の大原則を守るためには、法によらない、一方的且つ恣意的な「意志表明の自由のはく奪」は危険な行為であるということをきちんと表明したのです。巨大メディアが法の執行人のようにふるまうことの危険性を指摘したのです。独首相という立場での発言は、国内の反対論者、大切な同盟国である米国の世論や政治家の反発を受けるというリスクを冒してまで。
 しかも、メルケル氏は、国際社会の場においては、『トランプ氏の「米国第一」の政治姿勢に対しては批判的な立場』であるとされているのに、です。「敵」であろうが、その意見表明権は守る、意見の対立は圧力をかけて意見を封じたり抹殺したりすることではなく、議論を通じて解決や妥協に導くという、民主主義の在り方を体現する勇気ある行動だったと思います。
 ひるがえって我が国では、などと言ってみても始まりません。ただ、こうした姿勢こそ、民主主義を学ぶ主権者教育で取り上げるべきだと思います。目の前の小さな利益や勝ち負けのために「敵」を封じるのではなく、民主・自由・法治という社会の大原則を守るためには「敵」であっても守るという姿勢をです。
 抽象的な話や遠い昔の出来事ではなく、今、起きていることを教材に。そうした趣旨からもぜひ中高で取り上げてほしいものです。

 

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