ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

リモート授業と少人数学級

2020-12-02 08:16:48 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「いくつもの疑問」11月27日
 論点欄は『少人数学級の導入』というテーマでした。3人の識者が語っていらっしゃいます。その中にはもっともな指摘もありましたが、いくつか疑問に感じる点もありました。
 まず、全国連合小学校長会会長喜名朝博氏の主張についてです。喜名氏は、『新型コロナウイルスの感染拡大が、少人数学級の必要性をさらに実感させた』と語っていらっしゃいました。確かに一教室当たりの人数が多いほど感染防止は難しくなりますが、そこにはリモート授業の拡大という方向性との整合性が見逃されています。今後、リモート授業が拡大していくのだとすれば、感染拡大の阻止を容易にするという意味での少人数学級は意味をなさなくなります。
 また、喜名氏は、コロナ禍で分散登校を実施したことによる影響について、『児童数が半減した分、以前は発言が少なかった児童が必要に迫られて積極的に参加するようになっていた』と述べ、少人数学級で授業が活性化するという見通しを示されていました。しかし、「必要に迫られて」ということが気がかりです。これは児童が知的好奇心を刺激されて学びに参加していくという本例の姿ではなく、心理的に追い込まれていることを暗示しています。
 実際、もう一人の論者である日本大教授末富芳氏は、『40人だから紛れられてホッとしていた子が、30人や25人になって逃げ場がなくなりかねない』と、子供のストレスについて言及なさっています。喜名氏の指摘については、功罪両面からの検討が必要です。
 さらに、喜名氏は、GIGAスクール構想に関連して、『使い方が分からない、器具に不具合が発生した、などさまざまな対応が必要になるはずだ(略)40人学級では対応は難しい』としていらっしゃいますが、それは少人数学級導入で対応するのではなく、喜名氏ご自身が触れられているように、『ICT支援員』の拡充で対応すべきことだと考えます。
 最後に、教育研究家妹尾昌俊氏が、『学級の小規模化が学力に与える効果は全くないか、あったとしても小さいという先行研究がある』と指摘されていましたが、私が指導主事時代に所属していた都立教育研究所でも、平成5年度に調査研究を行い、同様の結論を導き出しています。こうした先行研究についての再確認と、その後の変化、例えばICT化の進展など教育環境の変化を勘案するなど、きちんとデータを示して議論する必要があるということを指摘しておきたいと思います。

 

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