ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

藤井総太ほどの…

2020-09-16 08:20:10 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「限定付」9月7日
 連載企画『学校とわたし』欄に登場したのは、今話題の棋士藤井総太王位の師匠杉本昌隆八段でした。その中で杉本氏は、『弟子には「学業はおろそかにしないように。必ず進学もするように」と伝えます。将棋の世界は8割はプロになれない』と語っていらっしゃいます。さらに、『子どもたちには「学生の時間は大人になって振り返ると一瞬のこと。学校が全てではない」と伝えたい。明確な目標があるなら学校にこだわる必要はない。自分の人生の成功の仕方はいろいろある』とも語っていらっしゃいます。
 私は将棋が趣味です。日本将棋連盟から4段の免許もいただいています。そのせいか、棋士の言葉や記事にはつい目がいってしまいます。杉本氏の言葉には、真理が含まれていると思いました。
 世間には、学校なんて行きたくなければいかなくてもよい、という主張を口にする人もいます。また、子供が不登校になり学校に行けなくなると、もうこの子の人生は終わりだ、というような受け止め方しかできない人もいます。今どき大学ぐらい出ていないと、と考える人もいるようです。皆、極論だと思います。
 杉本氏の話は、中庸というか常識的というか、それだけに正論だと思えたのです。杉本氏の主張を解剖すると、明確な目標とそこを目指す具体的な道筋が分かっているのであれば学校にこだわる必要はない、ただしそうでない場合は学校には行ったほうが良い、その方が後々様々な分野で生きるための可能性が広がる、ということになると思います。
 杉本氏の弟子である藤井氏は、長い歴史を持つ将棋界でも一二を争う才能の持ち主だと言われています。彼は学業も優秀ですが、大学進学はしないと決めているそうです。高校生での二冠獲得、竜王戦毎年昇級、デビュー以来毎年勝率8割超など、信じられない好成績を挙げ、史上初の八冠制覇を成し遂げることも視野に入れる大天才ですから、学校にこだわる必要はないのです。
 しかし、藤井氏のように明確な、しかも実現可能な目標を掲げることができるのは、杉本氏の弟子希望者の中にもそうはいないのです。将棋界に詳しくない人のために言っておくと、そうした弟子たちは才能がないのではありません。棋士を目指し弟子入りして奨励会という棋士養成機関に所属する少年は、小学校の低学年で有段者の大人など相手にならないくらい強く、高学年では、都道府県の名人クラスと平手で対局する実力をもつ、1000人に1人という才能の持ち主なのです。それほどの才能があっても、奨励会を抜け出しプロ棋士になれるのはごく一部、そのごく一部天才だけが集まっているのが日本将棋連盟に所属するプロ棋士なのです。そしてその天才集団の中で図抜けた強さをもつのが藤井氏であり、それほどの天才でなければ、まずは学校で学ぶことが大切ということなのです。
 つまり、99%の凡人にとっては、学校は大切な場所であるということです。そう考えれば安易な学校不要論は危険だということが分かると思います。

 

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