ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

タフな子供を

2011-05-28 07:04:45 | Weblog
「真実は」5月21日
 演出家テリー伊藤氏が、震災後のテレビ放送の在り方についてコラムを書かれていました。その中で伊藤氏は、『人は生きていれば、苦しいことや辛いことだらけ。そういうことが分かっていれば、苦しいときでも何かをつかんだり学んだりできる。しかし、「人生とはハッピーなもの」「テレビはいつも楽しいもの」ということだけを求めていると、苦しいことを異物と感じ、がまんするのが難しくなってしまう』と書いています。
 確かにそう思います。長く生きるほど、そうした人生の真理を感じることができるように思います。しかし、現在の学校教育においては、こうした「真理」が無視されていると思わざるを得ません。
 「楽しい学校」という考え方はあっても、「苦しさに耐える学校」という発想はありません。そんなことを口にしようものなら、頭がおかしくなったのか、と言われかねません。楽しい授業、面白い授業が重視されることはあっても、「楽しくないけれども必要なことを身に付ける授業」「退屈な繰り返しを我慢して知識や技能をたたき込む授業」という考え方は否定されてしまいます。
 そして、退屈さや単調さに耐えることができない子供が悪いのではなく、そんな学習を強いる教員が非難されるのです。学習だけでなく、学校生活や友達関係、教員との関係においても苦しさ辛さを我慢することは無用なこととされているのです。
 もちろん、こうした状況に至ったのには理由があります。一言で言えば、それまでの学校教育に対する反動ということでしょう。教育という営みにとって大事なのは、中庸ということですから、行き過ぎを正す動きは意味のあることです。しかし、是正が行き過ぎれば、新たな偏りが生じます。苦しさや辛さを排した教育からはひ弱な子供が育ってしまいます。
 特色ある学校づくりが進められています。「辛さに耐えるタフな子供を育てる」という方針の学校があれば、注目を集めると思うのですが。

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