ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

禿だからモテないわけじゃない

2013-06-26 08:19:10 | Weblog
「どう説明する?」6月21日
 『海外有名大に進学熱』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『海外の有名大学への進学熱が中高生の間で高まり始めている』とのことです。そのこと自体、あくまで個人の選択ですから第三者がどうこう言うことではありません。ただ、1カ所気になる記述がありました。
 学校法人根津育英会武藏学園が実施する「英語で教える科学」プロジェクトについて、同法人の植村泰佳理事の『世界で共有できる価値が科学。それを英語で学ぶことによって「地球人」としての知性と教養を身につけられる』という言葉です。おそらく、植村氏はもう少しいろいろと話しているのに、記事のスペースの都合で発言の趣旨が歪められているのだと思います。
 もし、この通りの発言だとすれば、英国人や米国人、カナダや豪州など英語を母語とする人たちは、それ以外の言語を母語とする人たちよりも「地球人としての知性や教養」を身に付けていることになります。そんなことが信じられるでしょうか。フランス人やドイツ人は、そんな話を受け入れはしないでしょう。もちろん、中国人やロシア人も。当たり前の話です。各国には、それぞれ独自の文化や歴史があり、そうしたものの基盤には言語があります。様々な文化が融合し現在の「地球人」の文化が醸成されてきたのです。そこに、優劣はありません。それなのに、単にたまたま英語を母語とする地域に生まれただけで、他の地域に生まれた人よりも知性と教養が身につくなどという話が正しいはずはないのです。子供でもわかる理屈です。
 それにもかかわらず、こうした珍論が、一流の全国紙に5段抜きの大見出しで掲載されるというのはなぜなのでしょうか。私はそこに我が国における、英語に対する根深い劣等感が反映されているように思います。
 禿げている私は、「髪の毛さえあればもっとモテるのに」と思ってしまいます。やや豊満な連れ合いは口には出しませんが、「ヤセさえすれば私も美人なのに」と思っているようです。しかし、冷静な第三者が見れば、それは間違いだというに違いありません。私も連れ合いももっと人間性を磨き、魅力的な個性を築き上げる必要があるでしょう。何か一つの要因をあげ、それさえ解決できれば…、というのは努力不足の人間の言い訳であることが多いものです。
 英語さえできれば…、が他の分野での努力不足の言い訳に使われないことを祈りたいものです。

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