ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

学校版

2020-10-26 07:59:17 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「学校版の改訂を」10月20日
 『カスタマーハラスメント 理不尽なクレームどう対応?』という見出しの記事が掲載されました。『「カスタマーハラスメント」について、厚生労働省は、来年度に企業向けの対応マニュアルを策定する方針を決めた』ことを報じる記事です。
 記事には対策例として、①『クレーム対応窓口を一本化』、②『2人以上で接客』、③『業界内での情報共有』、④『会話の録音・録画』、⑤『非通知や公衆電話からの着信拒否』、⑥『警察OBによる現場対応と研修』が挙げられていました。
 妥当な内容だと思いました。その一方で、これは学校における理不尽なクレームへの対応に応用出来るか考えてしまいました。難しい、というのが結論です。まず、②です。保護者から「うちの子のことでご相談があります」と言われ、担任だけに話がしたいと言われたとき、「私一人ではお話を伺うことはできません。学年主任に同席してもらいます」と返答することは、多くの教員ができないと思うはずです。そんな返答は保護者の信頼を損なうと考えるのが一般的です。
 ④も副作用がありそうです。学校側が録音・録画するというのであれば、保護者や市民側も、録音・録画することを要求してくることが予想されるからです。理屈から言えば拒むことはできないはずです。クレーマーは場数を踏んでいる者が多く、一方教員は経験の乏しい者がほとんどです。相手の挑発に乗って問題発言をし、それを証拠に責められるというケースが増えてしまうことが考えられます。
 ⑥はどうでしょうか。学校や教員にある警察忌避感が障害になりそうです。昔、「金八先生」という学校を舞台にしたドラマがありました。国民的な人気番組でした。そこでは、校内で暴れる不良生徒への対応で警察を呼ぼうとする管理職側とそれを阻止しようとする主人公側の対立が描かれました。もちろん、前者が教え子を警察に売り渡そうとする悪、後者があくまで子供を信じようとする善です。こうした感覚は今でも、教員側にも保護者や市民の側にも残っています。そうしたことを考え合わせると、話し合いの場に警察OBを同席させるだけで、管理的、保護者を敵視、保身に懸命等の批判を受けることは大いに考えられます。
 学校の実情に合った対策マニュアルの作成と改訂が求められます。

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