ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
連載中!

灯油ビジネス終盤戦のポイント

2012年03月15日 14時55分40秒 | Weblog

今年は、灯油ビジネスが好調だったせいで「雪ん子」に対するお問い合わせが増えています。
特に拡販手法に関する質問が多いわけですが、

どうも、ガソリンスタンドという業態は設備を作って「お客様を待つ」という事に慣れすぎていること。
これまで、ガソリンスタンドのフィールド内での「油外販売」に特化してきたことなどから、
すべては、来店客を増やしてからの「油外収益確保」という手順を踏んでおり、そのことでさらに収益性が悪化しているという悪循環も多いようです。

そのため、新規顧客獲得に関するノウハウを持たない企業が多いという事です。

これまで、繰り返されてきた、まずは安いガソリン価格を店頭表示して、
次に、来店した客への油外販売で稼ぎ出すという手法に慣れすぎているようです。
ですから、ガソリン価格ばかりに目が行って安売り戦争の繰り返し、

なかには、「ガソリンを安く売ってやるのだから、ほかのモノも買ってください。」といわんばかりのところもありますね。
消費者に変な圧迫感を感じさせてしまうようでは、干渉されないセルフがいいなと思ってしまう消費者も多いようです。

灯油ビジネスも、価格を提示してあとは注文を待っているだけだとしたら、絶対に売り上げは伸びません。
地域制や周辺環境を加味した拡販戦略が必要です。

特に最近では、通年ビジネスとしての宅配や各種サービスの展開が盛んですから、
顧客管理データベースが必須となっています。
お客様を細かくセグメント(細分化)したうえでの販売サービスが前提となっています。
ご注文をいただく前に、適切なタイミングでの提案や御用聞きが、お客様の満足度を高めることになるわけです。

ちょっとした話題でも、リフォームビジネスに直結するケースが多いわけです。
お風呂のボイラーの調子が悪いとかなどがあったら、灯油だけでなく次のビジネスにも直結するというわけです。

配送スタッフの資質向上とビジネスマインドがビジネスチャンスを拡大させているわけですから、
直接現場でお客様と接していない経営者や管理者もその辺の状況を把握しておく必要があります。

今年の灯油ビジネスは終盤です。
今年の成果を来季に向けてどのように反映させていくか、工夫とアイデアが求められます。
シーズン終盤からオフシーズンに向けての通年ビジネスの成否はこれからが勝負です。

地域制や企業特性、さらに新たな消費者ニーズをどのようにくみ取れるかがポイントです。
『灯油収益が決算に直結する時代。』です。
来季に向けて、業務の省力化と販売戦略性はさらに大きな課題となっています。


石油ビジネス、変化と試練

2012年03月15日 04時53分30秒 | Weblog

ここ数日、名のある大手ディラー様を巡回してきました。
九州から、北陸、関東、大手といわれる企業でもSS部門についてはかなり苦戦していると感じました。

不振の石油リテール部門にあって、
多くの企業で今シーズンの「灯油外販部門」だけはシーズン終盤まで好調だったようです。
そんなわけで、早くも灯油部門のシステム見直しが開始されています。

全国各地において、SSの閉鎖やセルフ化により配送過疎地帯が発生しており、灯油ビジネスに関しては個々の企業で商圏拡大の可能性が発生しています。
灯油のオフシーズンに向けて、新たな「宅配アイテム」やホームライフサービスの模索も開始されており今後の動きが注目されます。

地域性や企業の特性を生かした新たな模索については「独創性」のあるものが多いわけですが、
ほとんどの企業が創意工夫と試行錯誤を重ねていると感じました。
うまくいけば、すぐに真似をされて類似する競合企業が派生することになるという懸念を持つ企業も多いわけで、
かなり慎重に進めているところも多いようですから、当ブログなどでその内容をお知らせすることは当面控えさせていただきます。

「灯油配送」を通年宅配ビジネスの「切り口」としてとらえる事で、新たな可能性を見出すという動きが盛んになってきたようです。
最大のポイントは、「顧客管理データベース構築」となるわけですが、こればかりは地道な努力と時間が必要です。
高齢化が進み、車を持たない老人世帯や現金客なども多いわけですから「現金客のマスタリスト」保持と整備なども必要です。
このことで、リフォームビジネスなどの可能性も拡大しているようです。

「不在時給油」などに対応するべく、一般クレジットカードなどへの対応も増えており、
SSを起点とする宅配ビジネスとホームライフビジネスはさらに拡大することになりそうです。

中堅以上の有力企業では、ガス部門や独自部門を統合するためのERP基幹業務統合系システムの構築も進んでいます。
リアルタイムな収益状況の把握と業務省力化を目指す基幹系システムの見直しですが、
これについては、かなり時間と予算もかかりますし、人的な要因により大きな格差が出ているようです。
何より、「石油流通ビジネス」の直売部門などの特殊性もありますから企業としての考え方やパターンも多様です。

我々は、すでに石油業界の直売部門を中心とするERP構築を何社も手掛けた経験がありますが、
最近の新仕切り体系への対応や「軽油税納税管理」などの特殊性がポイントとなります。

今年は、石油業界のビジネスとシステムも大きく変化する年になりそうです。

セルフ化が進み、「ガソリンスタンド」はすでに自販機施設のような感じになっており、
SS店頭ビジネスだけで利益を上げられる時代ではないという見解をもつ経営者の方が増えています。

石油流通ビジネスで利益を上げるためのビジネスモデル構築には、
IT環境の知識だけではなく、さらに業務に特化した知識とキャリア、そして創意工夫が求められているように感じます。

先進的な企業と古い体質の企業では雲泥の格差が発生しています。
問題は、やはり人的な資質と改善意欲ですね、
石油業界の特殊性な商習慣や複雑な流通体系などを考えると、「直売部門」などは単に表面的なITの知識のみでは対応ができないとも感じます。
一歩間違えると、時間と労力の無駄だけでなく、実務とかけ離れた混乱を招くことにもなりかねません。
難しい時代が到来しています。

今年は、石油流通業界にとって予想以上の変化と試練が待ち受けているようにも感じられました。
ここ数日、大変勉強をしてきたような気がします。