畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載12『カタクリ』

2015-03-27 06:04:19 | 山菜


  カタクリ

 長かった越後の冬も、四月に入るとそれまでの寒さが嘘だった様に急激な気温の上昇を迎える。
雪は日に照らされる表面と、地温の上昇と、地面を伝い流れ始める雪解け水により、急激に溶ける。
地面が出ると、モヤシのような状態で、「カタクリ」の芽が姿を現す。元気の良い芽は、
薄くなった雪を突き破ってさえ伸び出す。

 そして次には、葉を広げ紫色の可憐な花が咲くのだ。出始めて数週間でその姿を消して雑草に隠れてしまう。
 我が家の山の畑に通う広域農道と呼ばれる、広い舗装道路の脇に、何十アールにも及ぶ「カタクリ」のお花畑が出現し、
その美しさに毎年自動車を停めて写真を撮る事となる。

 一年の内の僅かな時間だけ地表に現れ、花を咲かせ、実を付け終わりになる。
後は球根として土の中と言う一生なのだ。
 根、球根からは「片栗粉」が取れるという。
しかし、小さな球根から大量の澱粉を採取するのは並大抵の事では無いだろう。

 あまりにも美味しそうな、その柔らかな「カタクリ」の葉を一度食べた事がある。
お浸しで食べて見ると確かに美味い。しかし、その後、身体に異変も感じた。

長岡の飲み屋で話の種にすると、綺麗なそこの女将に「美味しいですよねー」の言葉の次いで、
ニヤリとして言われた。「あなた、お腹を壊さなかった。」と。
コメント
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