ウィトラのつぶやき

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理解できないアセアン国防会議の結論

2015-11-16 09:30:37 | 社会

少し前の話になるが、11月4日にアセアン国防会議が開催された。その少し前にアメリカが南沙諸島の中国の埋め立て地に軍艦を航行させるという行動を起こし、緊張が高まっていた時期だった。私もそうだが、このアメリカの行動には『良くやってくれた』と思った人が少なくなかったと思う。

しかしながらアセアン国防会議の結論は共同宣言無しだった。『航行の自由を確保しよう』という草案が出されていたようだが、議長国のマレーシアが『対立するくらいなら結論無しのほうが良い』といって、共同宣言の草案を決議しなかったとのことである。対立することは最初から分かっており、これでは今後も何も決まらないだろうと思う。

この会議の正式メンバーは、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムの10カ国で、関係国としてアメリカ、日本、韓国、オーストラリア、インド、ニュージーランド、中国、ロシアが加わっている。中国が反対するのは当然だが、ラオスとカンボジアが反対、フィリピンは賛成だがインドネシアとマレーシアが中立ということで結論が出なかったらしい。なお、この賛成、反対は観測記事で、議長国のマレーシアはどこが賛成でどこが反対かは明らかにしていない。

日本に居ると東南アジアのほとんどの国は中国の進出を脅威に感じているような報道を見聞きしているが、実態は大きく異なるのだろうか? それとも中国が強烈な圧力をかけてアセアン各国が脅されたという感じなのだろうか? 実態がどちらかで解釈は大きく違ってくるはずで、そのうちに会議の空気感が報道されるかと思って待っていたがどうも出てきそうにない。

中国は『アメリカが余計な口出しをした』というような勝ち誇ったコメントを出している。アメリカとしても、アセアンが求めていないのなら今後は動けないことになるだろう。日本政府はあくまでアメリカに賛同する構えだが、それが東南アジアの安定を考えてのことなのか、アメリカに良く思われたいからなのかを日本国民が判断する上でこの会議の雰囲気を伝えることは重要だと思う。