ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

景気は底を打ったか 気になる動き

2009-03-26 11:07:03 | 経済
アメリカの住宅着工件数が上向いてきたと報じられている。日経平均も8000円台を回復し戻りの下落も僅かなところでとどまっている。景気は底を打ったような印象である。

しかし、私はこの数週間の経済の動きに気になる点を感じている。それは再び為替の変動や株価の変動が荒っぽくなってきたことである。景気を回復させるには仕方のないことなのだろうが、このタイミングを逃すと、経済原則の根本的な見直しはできなくなると感じるからである。

今回の問題は、アメリカの住宅市場の加熱が原因だと言われているが、それだけではなく、原油市場、鉄鉱石市場、食料品市場など様々な分野でおかしな動きがあった。それは余剰資金を投資するのではなく、銀行から借金して株や原材料を買い占め、値上がりを待って売る、という傾向があらゆる分野に広がっていった点である。

昨年のブログで何度も書いたがこれは「投機」の動きである。 この投機が過熱して、実態の需要の何倍もの需要が投機によって生み出されるようになると物価が乱高下して経済が不安定になる。そして最後に価格が下落して借金が返せなくなる。

私は昨年から何度も「投資を奨励し、投機を抑制する」べきである、と書いているが、前回のバブルで儲けた人は味を占めているので再び投機に走るものと思われる。そのような人たちは景気が良い循環をしている間は「先を見る目がある」と言われて巨額の収入を得る。

そして、おかしくなると経済全体がおかしくなるとして、税金による救済を行う。 オバマ大統領はAIGの巨額のボーナスに対して怒りをあらわにしてボーナス返還を求めているが、仮にAIG幹部がボーナスを返還したとしてもこれでは全く不十分である。

少し景気が上向けば彼らはまた同じことをやろうとするだろう。彼らが得た利益は非常に大きく、ボーナス返還くらいは全く問題にならないはずである。

このようなバブル抑制策は一カ国だけでやっても意味がない。世界が協調しなければ抑制した国は競争で負けてしまうので決して根付かない。実現には長い時間の交渉と具体的実現方法の検討が必要なはずである。

今回のバブルとその破裂を引き起こした人たちに「夢よもう一度」といった動きを始めさせてはいけない。方向性を変えさせるべきであり、そのためのメッセージを各国首脳が一致して出すべき時期は景気回復が明確になってすぐの時期であると思う。

現時点でその方向性は全く見えていない。これが私が気がかりな点である