和願愛語

徒然なるままに

私の良医

2020-10-18 16:43:09 | 日記
 10月8日、胃痛の為、近所のとある内科医院を尋ねた。胃痛の原因は、前日の夕食で、フレッシュな美味しい"しめ鯖"を食べたからだ。
 そこは、ビルの3階にある 開院しておよそ20年程経っているであろうと思われるレトロな感じの医院だった。(そんなに経ってなかったら、すみません)清掃は行き届いていたが、ドア、長椅子、壁や受付など私には、どこか優しい懐かしさを感じる造りだった。
 待合室は、広く部屋の片隅には、ネオンテトラ達が、キラキラと水槽の中で、自身の身体を輝かせ、楽しそうに泳いでいた。
 初診の私をまず出迎えて下さったのは、受付の事務さん。コロナ禍で、発熱の有無に敏感になっているのは、どこの病院でも同じだがやはりこちらも、玄関先で発熱に関する軽い問診と検温を行ったあと、待合室に通して頂けた。
 前日の夜中2時に、胃の激痛で覚醒し、それからは、軽い嘔吐感と間欠的にくる胃の痛みの為、朝まで眠れずにいた。その為、午前中はウトウトと浅い眠りにつき、午後の受付開始を待ってからの受診となった。
 初診だった為、問診票を記入し、30分程待合室で待っていたところで、私の診察の順番がきた為、看護師さんに名前を呼ばれ診察室へと案内して頂いた。
 初めて受診した医院なので、私は『怖い感じの医師だったらどうしよう』かと不安だったが、そこで待っていた初めてお会いする医師は、明るく元気な声で、今まで病院では受けた事がない様な、とても丁寧なおもてなしで、『さあ、どうぞどうぞこちらへ、カゴの中に荷物を置いて、さあどうぞお座り下さい』と優しい笑顔で、私を椅子に案内してくれた。この瞬間私の不安は、軽くなり、ほっと一安心した。
 重い胃の痛みを感じながら、その優しい医師へ、自分の症状がいつからで何が原因と思われるかなどについてを、全て正直に話した。その後、診察台で腹部の触診打診のあと、今後の治療についてどうするか私に聞いてくれた。
 診察中の医師は、私の不安を拭い去るかの様な、常に明るい笑顔と、軽快な話し方で、冗談を織り交ぜながら診察を行ってくれた。重い胃痛の中、時々笑いそうになったりもする様な雰囲気だった。しかし、医師の話す様子からは、聡明さが感じられ、患者との会話の中から、診断に必要な情報は的確に収集していた。
 触診打診の後、検査をするかどうか聞かれたとき『この医師には、私の胃痛の原因がなんであるか分かっている』と何となく感じた。
 私にも、胃痛の原因の見当が実は、ついており、検査と言えば『(俗に言う)胃カメラ』しかない事は分かっていた。この検査は、辛い検査の代表みたいに考えており、どうにかやらずに済むのならそうしたいと考えていたので、内服薬の処方をお願いした。医師は、『どうにもならなかったら、明日もやっているからまた来て下さい』と優しい口調で言ってくれた。
 その日の夜は、医師のくれた薬のおかげで朝まで眠る事ができた。
 翌日も胃の重い痛みが続き、食欲もほぼゼロだったが、どうしても抜けられない仕事があったので、同僚に体調不良の事を気づかれない様になんとか頑張って仕事をした。
 土曜日になっても、やっぱり胃が重く痛く、やはり内服薬だけでは良くならない事を実感した為、もう一度あの優しい医師の元を訪れる事にした。今度は、ファイバーガストロスコープ検査を受ける覚悟を持って。
 診察室で、やはり胃の痛みが良くならない事を医師に告げて検査をお願いした。
 検査は予約制だった為、まずは予約を取ることになったが、直近の日曜日は、予約で一杯だった。しかし医師は、なんとか日曜日に出来ないか、看護師と相談してくれて日曜日に検査をする事になった。検査の説明を受ける為、別の場所に案内して頂き説明を受け始めた時、先程医師と相談をしていた看護師が来てくれた。昨日の夜の最終飲食時間と朝食は未摂取かどうかについて質問があった。食欲の無い私は夕食を食べられるどころではなかった。『昨日の夕食は15時頃で、朝は食べていません』とお伝えすると、『今日検査が出来そうだけど明日にしますか?』と私に聞いてくれた。私は少し考えて『今日、検査をやりたいです』と答えたところ『今、先生にその事を聞いて来ますね』と言ってくれて、急遽検査を受ける事が決まった。
 前処置の後、口全体が痺れた感じの中ベットに横になりマウスピースを装着すると、急に初めて受ける検査についての不安が募ってきた。そんな中、またまた明るく医師が登場し『気が変わらないうちに、やりましょう』と言って検査中の注意事項などについて説明し始めた。ファイバースコープが多分口の中に入ってきた時に、不安が最高潮となった事が医師に伝わったのか、『さあ、私を信じて』と言ってくれた。いつもは何事にも疑い深い私だが、その瞬間『この目の前の医師を信じよう』と感じるよりも前に身体が反応して、顎が自然と下がり、不安な気持ちは、検査が無事終わり胃の痛みが無くなる事への期待へと、変わったのを鮮明に覚えている。
 それからの検査は、痛みは無く、少し気持ちが悪いかなと言う感じと、胃の辺りの軽い圧迫感のみでスムーズに終わり、無事アニーちゃん2匹摘出して頂き終了した。
 中々ファイバースコープが入らなくて苦労したと言う話は、今まで色々な人から聞いていたが、医師の腕次第だと改めて感じた。もう二度とやりたく無いという印象は無く、機会があればまた同じ医師にお願いしたいと思っている。
 この度、私の治療に携わって頂いた医院の皆様へ
 本当にありがとうございました。初診時の受付の対応から診察、処置、会計と患者様ファーストを感じられる、素晴らしい対応だったと感じています。チーム医療の大切さを改めて学ばさせていただきました。
チームのうち、誰か一人でも対応が悪かった場合、どんな素晴らしい医療を受ける事ができたとしても私は、満足する事が出来なかったかもしれません。
 こんなに、素晴らしい医院が身近にあった事を知り、とても嬉しく思います。
 また、体調が悪くなってしまった時には優しい聡明な医師と、温かいスタッフの皆様にお会いしに伺ってもよろしいでしょうか?
 最後に、先生は本当に、優しい『名医』であり『良医』です。