como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

軍師官兵衛 第14回

2014-04-07 21:54:58 | 過去作倉庫11~14
 今週は、戦国もの大河ドラマとしては非常にオーソドクスというか、ふつうの出来でした。
 ここしばらく、この「合戦シーン」という戦国大河ドラマの重要構成要素において、ふつーの水準すら大きく割り込む作品が続いていたので、ふつーレベルに到達していることでとりあえず安心してしまうのですが、ここへきて「ふつー以上でも以下でもない」というのは果たして褒めて良いことなのか?と思えてきました。
 大河ドラマも10話を越したら、何らかのかたちでふつー以上を目指すつもりがあるのかどうか、態度をはっきりさせてほしいです。10話すぎてもまだ、ふつうとしか言えない合戦シーンのレベルから抜け出ていないというのは、けっこう問題ではないでしょうか。
 ということで、今週はめずらしく手抜きなく合戦シーンや調略シーンが続きますので、どこが良くてどこが問題なのか検証しながら、見ていきたいと思います。

第13話 引き裂かれる姉妹
ってダセえサブタイ……)

今週のザックリしたあらすじ。

 秀吉(竹中直人)軍の播磨平定は順調に進み、福原城をアバンタイトルの間にサクッと落としたあとは、毛利エリアとの最前線の最後のとりで・上月城の攻略にとりかかります。
 が、ここには、光(中谷美紀)の実姉の力(酒井若菜)が嫁にいっているのですね。妻を泣かせたくない一心で、単身上月城にいって降伏するよう説得を試みる官兵衛(岡田准一)。ですが上月の殿さまは呑気で、「宇喜多直家(陣内孝則)様がお味方下さるからだいじょうぶだ!!」とか言って耳を貸しません。
 で、説得をあきらめた官兵衛は、とりあえず城主と相婿のじぶんが後方に下がっているといろいろと疑惑を招くので、ぜひとも先鋒で出撃させてほしいと懇願。承諾を得て、当日は突撃隊長になって出陣します。がしかし、そういう不純な理由があると力みが先に立ってうまくいかず、敵に押されて崩れそうになってしまいます。そこへ、アメコミヒーローのごとくものすごい勢いで乱入してきた武者がひとり。敵をバッタバッタとなぎ倒し、あまりの迫力にビビった上月・宇喜多連合軍は退却して、籠城体制にはいります。 
 この異常な迫力の剛の者が、山陰の麒麟児といわれた山中鹿介(別所哲也)だったのですね。毛利の謀略で滅亡した尼子家の再興を悲願とする鹿介は、信長軍にくわわって憎き毛利と戦える喜びに打ち震え、官兵衛のことも「播磨きっての戦上手と聞こえた御方が」とかなんとか言ってヨイショするのですが、、いつのまに、どういう理由で官兵衛の名声がそんなに独り歩きしたのかは聞かないでください…。毎週欠かさず見ていても、よくわかんないのですから。
 とにかくこれで劣勢を感知した宇喜多直家は、仮病を決め込み、当てにしている上月城の加勢にもいきません。秀吉軍は、兵糧攻めの長期戦を覚悟しますが、上月景貞は、籠城わずか7日目にして重臣の裏切りにあい、寝首を掻かれて、城は落城。あわや自害寸前の力と娘たちは官兵衛に助け出されて姫路に保護されます。
 宇喜多直家は官兵衛を呼びつけて、じつは上月景貞の暗殺は自分が仕切ってやったことなのだ。家来の者の耳元で吹き込んだら簡単にその気になってやった。そーゆー功があると秀吉に言っとけなどといい、「戦に綺麗も汚いもあるか、そうでもしなくては生き延びることはできぬわ」と、往年の佐々木道誉ファンが痺れてしまうようなことを言い放ちます。
 っていっても、戦国時代も中盤すぎるとそのくらいのことは別に…。そんな大見得切っていうようなことでもないんですがね。でもまだ純情な官兵衛はこの件で心底落ち込んで、こんなに人がおぞましいと思ったことはないとかなんとか。そんで光が、ホロホロと泣きながら、「どうか戦の無い世を作ってください、戦乱を終わらせてください、女や子供が泣かずにすむ世の中を…」と、でました大河ドラマの安定のアホダラ経「みんなが笑って暮らせる世を作るぜよ」
 ま、そんなことで官兵衛もがんばる気力がわいてくるのですが、このあと、光の実兄の櫛橋アホの進が裏切るとか、小寺の奥方が急死する(のか?)とかいろいろあるみたいね。とりあえず、宿敵であるところの毛利輝元と両川が、ドラマが始まって以来一歩もお城の評定部屋から出てないのが気になります。来週はどうなるでしょうか。

今週のみどころツッコミどころ

山中鹿介はあれでいいのか問題。

 いやあ、とりあえず今回一番の謎キャストはこれですね。山中鹿介。
 このときまだ32,3歳。主役の官兵衛とあんまり年もかわらなく、山陰の麒麟児としてつとに有名な、絵にかいたような美丈夫。「エースで四番」タイプ。しかも、滅亡した主家再興の悲願を胸に負けずに活動し、やがて非業の最期を遂げるという悲劇のヒーロー、ようは(年代はちがうが)真田幸村の裏日本バージョンのような人です。
 っていうのは、最近、池波正太郎「英雄にっぽん」を読んで影響されてるんですけど、影響されまくっいる頭に、今週の別所哲也さんの華麗なご登場は、ガラガラと夢が壊れるような、一種の放送事故でした。
 つうか…別に別所さんはこの役をやらなくてもいいとおもうんだよ。出したきゃ役はあるよね、いくらでもほかに。なのになんで山中鹿介なんだ。しかも、蜂須賀小六の双子の兄さんみたいなむさ苦しい見た目しちゃって。
 もう心底ガックリきましたけど、こういう役こそ、いまをときめくイケメンに存分にやらせたらいいじゃないですか。V6のお友達の友情出演とか。それとも何か、アイドルタレントが便所から脱出する逸話のある人を演じるのは問題あるっつう話か?
 っと、まあ、この山中鹿介は、とりあえず見なかったことにして処理したいと思いますが、「願わくば我に七難八苦を与えたまえ」という鹿介のキメゼリフがここで出たのは、なかなかのブラックジョークとして記憶にとどめたいと思います。「主人公に七難八苦を与えたまえ!」と切実に思って毎週見てる視聴者ですからね。

調略とか内紛とか、ドロドロした話をドロドロとドラマチックにみせるためには。

 はい、全国津々浦々の大河ドラマファンの熱い期待を背負って「独眼竜政宗」の再放送がはじまりました。拙ブログの閲覧状況は、今週は「官兵衛」の最新記事よりも、4年前の「政宗レビュー」の記事の方がビュー数が多くなっているという状況に、やってる本人が驚いています。
 でも「政宗レビュー」を書いていたときはホントに楽しかったですね。睡眠不足も苦じゃなかった。序盤から前半の、政宗がまだ近隣の身内がらみの内紛を繰り返しているあたり、摺上原の戦いで芦名軍に完勝して東北の覇権を握る辺りまでは、織豊大河の定番エピソードに入ってからより面白かった気がします。
 ローカル戦国時代の合戦模様というのは、腰を据えてシッカリやればホントに面白いんだなあと思いました。「風林火山」の甲信越三国のドロドロした調略合戦も面白かったですし、こういうローカルパートというのは、あまり全国区ではピンと来ないだろうからといって、適当にやってはいけないと思います。
 だけど、適当にやってしまいましたね。とにかく姉妹が引き裂かれて「どうか戦の無い世に…」的なことばっかり強調して、どうして上月城の城主が孤立無援で織田軍と対峙することになったのかとか、そのあたりの事情がまったくスルーされてました。あれでは、単に空気が読めなかっただけの人みたいで、いくらなんでも気の毒です。
 皆が笑って暮らせる世界をつくるぜよ、なあんつっていつまでも福山雅治の亡霊を出演させてなくていいんで。そういう綺麗ごとは、急がば回れで、戦国ならではの調略合戦とか、骨肉相食む殺し合い、泣いて馬謖を斬る的な非業の世界、そういう風景のむこうにうっすらと見えればいいことなんで、あんまりペロッと簡単に言わすなよ…と思います。まあ、ずっとそんな安直なドラマばっかりなんですけど、ここんとこ。
と いうことで、ローカル合戦模様のドロドロの醍醐味は、「独眼竜政宗」でご堪能ください。このあと「輝宗無残」とか、鳥肌もののドロドロが目白押しでございますからね。いや、だからって本放送の大河ドラマが、気の抜けた翌朝のビールみたいなものやってていいわけないんですけど。

荒木村重の破滅の詩。

 長い時間をかけて熟成していく伏線が、大河ドラマの見どころの最大のものであるとすれば、いまのところ、このドラマで順調に熟成されつつあるのは、荒木村重(田中哲司)の破滅への詩でしょう。
 これはカッコいい。だんだん目の色がかわってきて、切迫してきて、精神的にもどんどん余裕がなくなっていく様子が段階的に観察でき、いつかキレる日が来るまで、緊張感を味わうことができます。こういう喜びを提供できるのが、大河ドラマのMVP俳優というものだと思います。「太平記」でいえば柄本明さんとか、高嶋政伸さんとか。
 ただ、惜しむらくは村重をそこまで追い詰めている、肝心要の信長(江口洋介)が安っぽくて迫力がないため、村重の精神状態が、たんなる自虐妄想みたいにみえてしまうことです。今週の「信長のお点前」の場面では、とくにそのアンバランスさが顕著でした。
 この安っぽい信長を多少なりとも粉飾する工夫なのかしらんけど、奥さんの濃姫(内田有紀)が毎週似たような、「これもひとえに上様のお力ゆえでございますわ」的なことをいってマンセーし、信長がどや顔をしてベラベラとおのが持論を喋りまくる、というパターンで定着してますが、そんな安いもの定着させるなよ…。
 むしろ、先週もいいましたけど、信長は一切セリフを封印し、後姿とシルエットだけで本能寺までいくほうが、ドラマ的にもずっと救われると思うのよ。とくに荒木村重は。このままでは、渾身の狂気演技もお笑いに流れそうで、ほんと心配。


さて、来週の予告編は、なんだかえらく盛りだくさんで面白そうでしたが、とりあえず予告編だけは面白そうなんだよね、このドラマ。そろそろ予告編作っている人に本編をガッツリ演出してもらったらいかがだろうか。

また来週っ!


1 コメント

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Unknown (じゅでぃすみす)
2014-09-08 22:24:03
最近「尼子一族興亡記」と言う本を読みました。これを読んでいると・・・鹿之介殿は、最初っから「あら、別所さんですっやん。もしかして、キャスティングした人、これ読んではったん?」な感じなんです。池波正太郎のは読んでないんですが、もし、庵主様がお時間ありましたら、ぜひこれも読んでみて下さいませ。
ちなみに、私の頭の中では、いまだに毛利元就は橋之助丈でございます。

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