como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

平清盛 第6話「西海の海賊王」

2012-02-12 23:33:23 | 過去作倉庫11~14
 はい、先週の「次回につづく」が、おぉ~新鮮っ!これは楽しみだあ、みたいなことで1週間をすごしたわけですが、その続きに待っていたのは、なんだかもう、
しょぼぼぼぼ~~~ん……
…ってなシロモノでした。
 いえ、この、ジョニー・デッブもびっくりな海賊船の造形とか、アクションシーンとか、気合入りまくり(予算もかけまくり)なのは伝わってきましたが、悲しいことに、その気合が思いっきり空回りしているというか…。あまりの滑りっぷりに、見ていてだんだんもの悲しくなってくるような回であったと思います。
 なにがそんなにもの悲しいのだろう、と思うてみますに、やはりアレですね、決定的に脚本がつたない。良い悪い以前の問題として、根本的に大河ドラマの脚本の書き方をご存じない感じがあるんですよね。とにかく、一事が万事シロートくさい。
 このトーシロ臭の発生元を考えると、やっぱ、時代衣装を着た時代劇の登場人物に、おのれの恥部とかコンプレックスとか悲しみとかの個人的な感情を、いちいちベラベラと言葉で語らせてしまう、というところに問題があるのではないでしょうか。
 大河ドラマは1年も続くものなので、各個人の個人的なコンプレックスなどは、早々にセリフで表出せんでも、今後いくらでも、表情や、ちょっとしたセリフの端々、小さなエピソードの積み重ねなどで、説明できるものです。そういうのがだんだん積み重なって人物像が明らかになってくるとこに、長いドラマをみる喜びというのはあるので、まだ第6話とかで景気よく表出されると、ほんとに「あらそう、ふーん」って感じで…。
 やっぱあれだよね、脚本家が、どうもホントに、大河ドラマの書き方知らないんだろうねこれは。なんかこう、良さげに聞こえるセリフとか、王道の親子愛とか仲間愛エビとかを、手を変え品を変え1年続ければ大河ドラマのていを成す、と勘違いしてるのちがいますかね。
 うーんこれは問題だ…。問題だと思うと同時に、激しく先が思いやられるわけですが、この第6回、感想を一言でまとめると、
とにかく落ち着け。
 これに尽きるという回でした。
 とにかくもう、みんながみんなギャーギャーと怒鳴りまくって、言ってる言葉もハッキリしないので、見ててだんだんイライラしてきて、ちょっと見るに耐えないものがあったと思います。龍馬伝もそうだったけど、いろいろとダメな分を、とりあえずギャーギャー騒いで表出することでフォローしてる感じがする。なんなのこれは。「坂の上の雲」の日本海海戦の場を、あのカオス的な激戦にも関わらず、整然と端正に、名もなき一兵卒の男気が胸にしみるような場面に作り上げたのと同じテレビ局の仕事ですか?
 もう予算の問題じゃないですよね。この海賊退治の場面のために総予算の多くを割いたとか洩れうかがっておりますが、予算をドブに捨てたとしか思えない。まあ、とにかく予算を注いで凄いセットをつくり、気合入れまくって、役者は力みまくってギャーギャーとセリフを怒鳴れば、ジョーネツ的な素晴らしいエネルギッシュな場面になる、というものではない…と、これはつくづくわかりました。
 あと、駄作もコーンスターチまぶしとけ、とりあえず本格っぽくみえる、という法則に大河ドラマがハマってしまったと思われるのも残念なところ。もうシャブ中のようにこの手軽さから抜けられず、コーンスターチの量もどんどん増えて、最後にはもうもうとして役者の区別もつかなくなるんじゃないでしょうか。
 なんか、書いているうちにだんだん萎えてきて、今週はこれでレビュウも終わりにしたいのはやまやまですが、とりあえず、手短に今週のことをまとめてみます。

第6話 西海の海賊王

 今週のアバンは長かったです。3分以上ありました。だんだん、アバンでなにをやりたいのかわからなくなってきました。このさい「天地人」のようにアバンは歴史のお勉強にあて(お習字はいらんが)、多少寒くてもいいから本編と切り離してネタ的なことをやっていたほうがいいと思います(もちろん局アナの仕切りで。そのほうが舌ッ足らずな聞きづらいナレーションの量も減るし)。
 で、まあ、先週の続きで瀬戸内に海賊退治にきた平氏一門は、想像を超えた、カリブの海賊みたいなすんげえ規模の船に遭遇するわけです。そのとき、キヨたん(松山ケンイチ)の爺やの盛康(佐土井けん太)が海賊の矢にあたってしまいます。
 仕切りなおしのために退却した平氏一門。そこで、あの船は内海には入ってこられないはずのキタの工作船唐船ではあるまいか、あの棟梁は何者なのだ、とか話題になりますが、熱血キヨたんは聞いちゃいません。爺やの敵を討ってやる!!ってなことで、夜明けの闇に乗じて、ひとりで海賊船に乗り込むわけですね。
 烏帽子を脱いで
 まあ…何度もいいますけど、この時代の成人男性にとって烏帽子を脱ぐというのは、人前でパンツを脱ぐのに等しいわけですね。ですから、その破廉恥行為をあえてやるキヨたんというのは…
 ここの一線から、大河ドラマのお約束は無視します。
 少年ジャンプの世界になります。

 …という線が引かれたと、そういう意味に解釈していいかな。
 まあ、そうとでも思わないととても見ちゃいられませんよ、ここからの展開。冒頭でネチネチいいましたが、実は、そんなにまじめに大河ドラマの将来とかを憂えていたわけでもなくって、とにかくもう、ああギャアギャアうるせえ。落ち着けとにかく、という感じで、ネタにして面白がる余裕もなかったです、正直なところ。

 今週は鳥羽上皇(三上博史)の出番が無かったので、ここ毎週のお約束、トバちゃんタマちゃん(壇れい)の寝室プレイや、そこにナリコ嬢(松雪泰子)が参入しての火曜サスペンス劇場、なんてのも見られませんでした。ちょっと残念です。
 先週の雨のなかでのトバちゃんワンマン劇場から、そんなに時間もたってないと思うんだけど、ナリコさんの権勢は突然、並びなきものになっています。さすがの待賢門院様も、廊下で鉢合わせすると、すっとわきによけるほど。このわきによけて道を譲る感じが、実に宝塚音楽学校的で、育ちは争えないかんじでして、くらべるとナリコさんがえらいゲスな、それこそ宝塚の娘スターとAV女優くらいの気品の違いがあるわけですが、ナリコさん「実は、ややができました」と勝ち誇ったように。
 は、早っ…。それへタマ子様は、「おつとめご苦労さまでございます」と、たいして動揺もしないでサラッと返す。なんとも思っちゃいないんですね。
 んで、今日は家政婦・堀川(りょう)と、佐藤ノリキヨ君(藤木直人)という新たなカップリングがありまして、どうも、例の歌会のあたりからそういう仲になっていたようですね。まあ、平安時代のことなので、男が女のとこに夜這いをかけて関係を結ぶ、というのはべつにフシダラでもなんでもない、ふつうの健全な男女交際の範疇だったと思われます。
 堀川さんから、タマちゃんの事情(亡き白河上皇に身も心も調教された)を聞いたノリキヨ君は、「それでわかった、タマ子様のあのカラッポな目のわけが。あれはココロがカラッポなのだ」とかいい、でもあなたとは歌をかわしていたい…と。歌じゃなくて別のもんみたいですけどね、交わしたいのは。っという感じで、今週の火サス(昼ドラ)パートおわり。

 はい、昼ドラパートのあとは、ちょこっと少女マンガパートです。脈絡なく盛りだくさんがこのドラマのお約束で、毎回少しずつでもテイスト違いのものを盛り込まないと気が済まないみたいです。
 前回都を出て、東国に向かう旅の途中にある義朝君(玉木宏)。熱田神宮で、神様に奉納するお米が賊に奪われそうになってるところに行きがかり、得意の弓で神主さんを救います。
 で、その神主さんの娘が、由良姫(田中麗奈)。ヨシトモ君をクールに値踏みした姫は、「えー源氏かよー。平氏じゃないのかよー、ダッセー!」と吐き捨てます。
 それにカチンときたヨシトモ君。「おい、ブス」と放送禁止用語で呼びかけ、「そーゆー、男を値踏みするような女を性格ブスっつーんだ、わかったかブス」と言いたい放題。そこで、姫のハートをガッツリつかんだヨシトモ君。
 まあ、デフォルトだよなこういうのは。なんか見ているほうが恥ずかしくなってくる。大河ドラマにはお約束のシーンではありますがね。こーゆー風に、ブスとかアカラサマにいえば女子のハートを掴めるとか、世の単純な男子は思ったりしないようにお願いします

 んで、今週の基本フォーマット、少年ジャンプの世界に戻りますね。
 烏帽子を脱いで、そこらへんの小舟で海賊船に向かったキヨたんには、なぜか高階通憲(阿部サダヲ)が同行しています。実は高階博士がここに来た目的は、海賊船に密航して宋にわたるためだった!と驚くべきことを。
 宋という国には日本のような士農工商の差別などなく、身分の低いものでも実力次第で大統領になれる。その大統領は入れ札で選ぶんじゃ。わしもヌーヨーカーにいってみたいぜよ!!…ってすげえ違うよ、ドラマが。なんかそこのところのフォーマットにドドッと流れ込んでいくようで悪寒がしましたそのときに、キヨたんと博士は、小舟に乗り移ってきた海賊にとらわれて、カットアウト。
 で、キヨたんが目覚めたのは海賊船の船底で、海賊の棟梁である兎丸(加藤浩次)というむさくるしい男が現れます。
そこから先が、今週のドラマの見どころだったんでしょうけど、さきにネチネチいいましたような理由で、この先はわたくし、ひたすら、しらけ鳥が飛びまくっておりました。
 海賊の棟梁・兎丸は、朱雀門でオトンの隆大介が殺されたときに4,5歳だったとしても、いま22,3歳とか、そんなもんではないでしょうかね。とてもそんな若者には見えない、立派なオヤジでございますけど。で、このジャック・スパロウもどきは、ワイは海賊王になったるんや、ワイらが王家をつぶして天下を取ったら世の中ひっくり返るでえ、とか夢を語り、キヨたんもそれにカンドーして、すげえっ!!おれもやりてえ!!とかいうわけですが、そこで、実はおたがい相手が盗賊おぼろ豆腐の遺児と、平忠盛の長男である、とわかった時点で状況は一変。
 兎丸は、当然、オトンの敵や!つうわけで激昂する、これは当然なんですが、キヨたんも激昂する。なぜなら、お前はオレの心を傷つけた!ちゅううわけですね。実の父親が中井貴一じゃなくって電線マンであり、平家の嫡男の血筋ではないということをお前にバラされて幼いころに知ってしまい、世をすねてグレて、さんざん人知れぬ涙をながしてきたんだ、お前のせいで!!!と、こういう理屈。
 なんなのこの中坊。
 いや、それでずっと悩んでいるのはべつにいいけど、さっき言いました、コンプレックスは軽々しく表出するな、というのはこのことなんでね。個人の悩みそのものは卑小なことでもいいので、それは黙って抱え持ってろと。ギャアギャア表出すると、ホント人間が小さく見える。
 まあ、まだ十代の設定なので(見えませんが)、人間が小さくてもいいっていえばいいけど、一生抱え持ってくコンプレックスの底を、こんなに軽々明かしては、今後の展開が不安になりますよ。

 で、待機中の平氏一門のところには、兎丸からの脅迫状が届きます。息子はあずかっている、返してほしければ身代金もって、平忠盛本人が一人でこい。警察に知らせたら人質の命はない、というわけですね。
 もうアホの子キヨたんのためにこんなことになって、やってられない忠正おじさん(豊原功補)。あんなバカいらねえ、見殺しにしていい、と、もっとも至極なことを言いますが、それでも、大好きな兄上の大切な子なのでしょう、僕が代わりにもらい下げに行きます、と、泣かせることをいうわけです。
 そこに現れたる漁師のスズキ丸(上川隆也)。相変わらず明晰な口跡と凛々しい表情と目力で、瀬戸内の漁師を集めてまいりました、海を知りつくし夜目の利く者どもなれば、かならずやお役に立ちましょう、と…。
 なんだこの主役オーラは。やばいよ。この人が現れると、どうしても漂ってしまう主役形無し感。もう、瀬戸内の漁師の子とかウソだよね。こっちが法王のご落胤なんじゃないの。それか、戦後のどさくさで置き去りにされた残留孤児で実の父は仲代達也、とか。

 いや、まあそれはともかく。平家一門の泣かせる結束によって、キヨたん奪還の決死隊は組織され、夜明けの闇に乗じて海賊船を襲います。
 このあとは…まあどうでもいいやね。ありがとうみんな!オレは一人ぼっちじゃなかった!平家の仲間だ!!…っとかなんとか。んで、兎丸のことも、君も今日からはボクラの仲間、漕ぎ出そう青春の海へ!とかいって握手して、都に連れて行く。このあとどうなるか、どうなっても別にいいし、「面白く生きてやる!」っつう、そのテーマ性も否定はしませんけども、面白いなら面白いなりに、ネタとか突っ込みの範疇を超えた面白いものにしていただきたいとおもいます
いちおう大河ドラマですので。一年続きますので。

 来週は、恋愛展開ですね(棒)。ちょっとは落ち着いて見られるようで、多少安心ではありますが。それより三上博史を巡る三角関係のドロドロのほうもっと見せてよ。あと、悪左府・頼長(山本耕史)の出番はまだか!
 また来週。ではっ!