中国で見つけた珍しい???

中国在住の管理人が、中国で見つけた珍しいものを紹介していきます。

中国 冬の雪山に縁あり(1)

2011年09月06日 22時31分10秒 | 旅行
 2004年、北京大学で1ヶ月間の短期語学留学に参加したのが、私にとって初めての中国でした。この1ヶ月間で、自分のつたない中国語、そして中国文化に対する興味をはっきりと自覚し、爾来、中国に魅了され続けてきました。

 2005年、「抗日戦争勝利60周年! 反ファシズム戦争勝利60周年!」のスローガンが鳴り響く北京を、私は再び訪れました。約8ヶ月間の留学期間、私は人生で初めての一人旅行を計画しました。目的地は、当時ジャッキーチェン主演で流行っていた『神話』という映画の舞台にもなった、西安の兵馬俑でした。

 兵馬俑博物館を訪れたころ、雪がぱらつきだしました。私は雪が降るとは思ってもみなかったので(1月なので、予想できたはずですが)、あまりあたたかい格好はしてませんでした。西安から長距離バスに乗り洛陽に到着すると、雪がいっそう激しくなってきました。駅から近くの「招待所」に泊り、翌朝になり龍門石窟を訪れると、雪と寒さのため観光客は少なめでした。雪をかぶった石窟は荘厳な静けさに包まれ、たえまなく降り続ける雪のしんしんという音が聞こえてきそうでした。



ネットで見つけた写真です(雪なし)。自分で撮った写真の方が綺麗なのですが、残念ながらデータを失ってしまいました。

 龍門石窟を巡った日の午後、私はまたもや長距離バスに乗り、少林寺に向かいました。山道は突然降り始めた雪のため、交通が混乱していました。途中で事故のためかバスがしばらく止まり、異国の地で初めての一人旅に出た私を不安にさせました。望郷の念に駆られたころ、バスがようやく動き出し、日が落ちる前に何とか少林寺付近で降ろしてもらえました。それは少林寺に近い道路で、運転手に「あっちの方だ」と言われた雪原に向かいしばらく歩いて行くと、武術学校らしきものが見えてきました。粗末な建物の中では、子供たちがバク転などの練習に精を出していました。寒さで指が凍りついていた私は、200元出してでも熱いシャワーを浴びることのできる旅館に泊まりたかったのですが、あいにく近くにはまともな旅館がありませんでした。冬季オフシーズン、少林寺を訪れる観光客は稀で、春節を控えていることもあり、多くの旅館が閉ざされていました。

 何とか見つけた一軒は、武術学校付近の改装中の旅館で、外から見るとまさに廃墟のような所でした。ロビーはめちゃくちゃに散らかり、電球が一つだけ吊るされたロビーに行くと、奥から職員がぬっと顔を出しました。私は一番高い部屋を求めたのですが、準備できるのは1泊20元の4人で泊まる相部屋だけでした。「シャワーはあるか?」とたずねると、「お湯ならあるよ」という情けない答えが返されました。物が乱雑に積まれたまっ暗な廊下を渡り部屋に着くと、中では一人のおじさんが一台しかない映りの悪いテレビを独占し、武侠ドラマらしきものを見ていました。私は店の人にお湯とたらいをもらい、寒さでこわばった手をほぐすと、布団を3枚もかぶり早々に眠りました。部屋の暖房は壊れているため、雪と風だけをしのげるといった状況でした。部屋の温度は氷点下だったかと思います。寒さとテレビの砂嵐で何度も目を覚ます、なかなか得難い体験をしました。中国の一人旅の洗礼といったところでしょうか。(続く)