きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「赤と黒」

2010年02月27日 | 映画
ジェラール・フィリップ没後50年記念の
デジタルリマスター版の上映。
昨年末辺りも銀座で上映されていたんだけど
都合がつかなくて行けなかったの。
今回は新宿のミニシアターで上映。
プロジェクター上映だけど、
角川シネマ2よりは広くてゆったりしてて良いよ。

約3時間の作品なので
途中5分の休憩が入ります。
前半はレナール夫人編、後半はマチルド編です。

「うたかたの恋」を見ていると
ダニエル・ダリューは年を取ったなあ、
とか思っちゃう。
それでも、美貌の人妻。
ジュリアンの部屋に行く時の表情がなんとも言えない。
貞淑だと自分で思っていたのに
恋のためには夫を簡単に、自然に、欺ける。
罪におののきつつも、ジュリアンからは離れられない。

逆にマチルドは、イケイケすぎて
イヤな女だ。
傲慢さは高貴に繋がるんだろうけど
(だからこそ、ジュリアンが手に入れるべきなのだろうけど)
見ていてムカツク。
多分、若いときに見ていたら
レナール夫人をもどかしく思い、
マチルドぐらいじゃないと物足りない、
と思っただろうなあ。

ジェラール・フィリップは
「危険な関係」で見たとき
私の中では、
「しびれるようなハンサム」の系統ではない、と思った。
でも、ジュリアンには合っていた。
ジュリアンの才知、野心、
そして、女の心を(たぶんおじさんの心も)
簡単に掴める男だった。
彼の野心は、彼の中身と釣り合うとは思う。
あれほど傲慢でなければ、
出世できたのかもねー。

文字でも舞台でもなく、映画だと
彼が超えたい「階級」が
よく目に見える。
前半・後半とも、セットだとは思うけど
田舎町の田舎の名士と、
パリの貴族は明らかに、
来ているものも、家も、
なんだか言葉も違いそう。
それが目の前にあったら、
才能ある若者なら、超えたい、と思うだろうなあ。
超えたい、というより
彼らより常に下にいる、ということには
我慢できないと思う。
レナール夫人は死んでおらず
刑事事件としては殺人未遂。
聖職者の姦通が上積みされるとしても
死刑は、いまの感覚では、無いだろう。
それでも死刑になるのは
階級を超えようとしたからなのだろうかね。

撃たれた瞬間のレナール夫人の
安堵、とも言える表情が切ない。
そんな彼女の気持ちを知ったからこそ
刑場に向かうジュリアンは
顔を上げて歩くことができたのだろうな。

長いけれど、あっというまの3時間だった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「シルヴィア」セミオノワ&... | トップ | 「シルヴィア」田中&木村/... »

コメントを投稿