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きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ラスプーチン」ルジマトフ/ノーヴイ・インペルスキー・ルースキー・バレエ団

2006年06月20日 | バレエ・ダンス
チラシの写真のイメージ通りの作品でした。
うはぁーーーっ
端正な王子とか、クラシカルなルジがお好みの人はダメかもしれませんが、
薄汚いヒゲ面で
ウロウロするルジ

が、お好みの人なら、もうたまりませんなあ。。。
最初から最後まで、うはーーーーー、な私でした。
女を侍らせているルジって、ありそうでなかったよなあ。
酒池肉林はあったけど、女に傅く方で、傅かれる方じゃなかったよね。
オマケに熊だよ!熊と踊ったんだよ!!!
うひーーーーー。
テンション上がりっぱなしでした。
はーーーーー、幸せ。

話自体はごくごく単純です。
放埒でカリスマなラスプーチン。
息子の病気(血友病)を憂う皇后。
最初はラスプーチンを信頼しつつも、次第に疎んじる皇帝。
病気だけど明るく素直な皇太子。
そして、皇帝一家の守護天使。

超自然的な力を用い、皇太子の病状を安定させ、
皇帝一家の信頼を得るラスプーチン。
権力を掴み、宮廷の中心に入り込んでいくが、
あまりにも放埒すぎるため貴族に嫌われる。
守護天使は皇帝一家を守ろうとするが、
ラスプーチンの前には、なすすべもない。
息子のために、ラスプーチンに縋る皇后。
やりたい放題のラスプーチンにとって、皇后は唯一の聖域。
二人の間に肉体的な関係はないのだが、
あまりにも親密・濃密な関係に、
皇帝はラスプーチンを疎んじ始める。
皇太子の病状が悪化し、ラスプーチンは殺害される。
しかし、
ラスプーチンは、
皇帝一家の命を、
そしてロシア帝政そのものを、道連れにする。

ネタ的には、30分ぐらいの1幕ものでいいのかなあ、と思うけど
ラスプーチンという人を描くには、
30分じゃ失礼じゃろう、ってカンジかなあ。
話自体は終わっても、短くまとめちゃイカンかね、みたいな。
そのため、水増し部分がありまする。
特に1幕の水増し部分の「酒場でのどんちゃん騒ぎ」が
似たようなパターンの「ロシア民族舞踊」を3回ぐらい入れるので、ちょっと飽きる。
後半のそこは「カンカン(風)」と「スパニッシュ」と「タンゴ」と

なんで、飽きない。
なぜ、ここで、タンゴ?と思いつつも、楽しめました。
熊の着ぐるみには目が釘付け。
ルジを見たいのに、タンゴのお姉さんの脚も見たいのに
神経の一部が熊に引きつけられる。
うほーーー。

ルジのラスプーチンは、こりゃ、もう、ねえ。
なんちゅうかねえ。
カリスマ
彼のカリスマ性が、いかんなく発揮されていました。
男性の背を伝って乗り上がるリフトとか、
普段目にしない動きなので、すっごく新鮮。
身体は動いている。申し分なく動いている。
それは、「身体を動かしている」のではなく、
内側から放出されるエネルギーで、
身体が動かされている、ってカンジだなあ。
本当に、
完全なる憑依だね。
黒も似合うが、赤も似合う。
ああ、ありがたや。
9人のルジを拝もう。


なんていうか。
ある種の「出オチ」だよね。
内容とか、そんなことより、
ルジをラスプーチンにキャスティング。
そのことだけで、すでに価値がある作品。
齋藤くんの宛て書きのようなものだわね。

皇后アレクサンドラは、マールイのエフセーエワ。
同名の他人だと思ってたけど、ゲスト出演だったのね。
オペラグラスで覗くと、青いシャドウばっちりの若いお姉さんだけど
1階ほぼ最後列から見ると、気品のある皇后陛下でした。
白いイメージでした。
長い裾の服なのに、脚が上がる、すごく上がる。
ラスプーチンのついては、肉欲の一片も持っていない気高さを示しつつ、
でも、縋るしかない、離れられないって雰囲気が良く出ていました。
皇帝は、神に祈っていたのが印象的。
帝政が倒れた後、神を否定する国になるんだよね。あの国は。
それを言うなら、アレクセイも。
これだけ両親が手を尽くしたのに、
病気ではなく、
革命による銃殺で命を落とすんだよね。
それを思うと、彼(ダンサーは女性だけど)の明るさに涙が出てきます。
天使は、儚いなあ。
ラスプーチンに、かないっこないよね。
彼を消滅させるのに全ての力を注いだので、
彼を消滅させるのと同時に自分の力も失い、
皇帝一家を守護することができなくなったのか?

他のキャストは20人ぐらいなのかな?
「ロシアの民族舞踊」は、迫力があった。
この辺が本領なのか?
でも、宮廷の風景の方が、カンパニーの雰囲気に合っていたような。
金髪ロン毛の人が目立っていたなあ。
酒場の兄ちゃんとか軍人とか、いくつかの役があるのに
髪型は殆ど同じだったので、
軍人の時は髪を括るとか、もちっと工夫があるといいかもね。
各人の演劇性は高かった。

振付は、ある意味単純なんだけど、
ネタで乗り切ったような。
でも、戦争の場面(だと思うのだけど)で
群舞の中に、いつのまにかラスプーチンがいたりして。
その辺の構成はうまいなあ、と。
群舞の処理は時々、ヅカの総踊り風味。
この言葉が悪ければ、「ショーっぽい」っていうのかな。
ルジが時々「踊る男 S」だったな。
(私は好きだけどね)

ラスプーチンと言えば、私なんかは、
「怪僧」「妖僧」ってイメージなんですが、
ルジの言葉の中には「聖人」ってのがあって。
帝政ロシアを傾けた一因のラスプーチンって
ソビエト連邦から見れば「聖人」なのか、と
それが、ちょっとビックリ。
その彼を、「怪僧」という面も盛り込めるようになったんだと、
時代の流れも感じたり。

少人数のバレエ・カンパニーの創作作品って、
こんななんだなあ、と、そういう面でも興味深く。
舞台を広く感じさせないし、
前半はちょっとダレたけど、2幕は最後まで突っ走った。
某氏の「ロミジュリ」とか「TAKETORI」よりは
ずっと面白い作品でした。


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