きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「ジゼル」シェスタコワ&コルプ/レニングラード国立バレエ

2009年01月08日 | バレエ・ダンス
2009年バレエ鑑賞一発目は
マールイの「ジゼル」です。

昨年の「バヤデルカ」の二人が
あまりにも素晴らしかったので
今年もこの組み合わせを見よう!と思って
本日行きました。

んんん~。
昨年ほどの化学変化はなかったかなあ。
それでも素晴らしい舞台でした。
1幕のシェスタコワは可憐な村娘。
2幕では空気に漂う妖精。
しかしながら、人間としてのアルベルトへの愛は
確実に心に残っているジゼルでした。
1幕はちょっと音に乗り切れいていなかったかな。
「音に合わせた」踊りでした。
2幕からは強引に音楽に乗っていたような気がしました。
2幕の方が踊りは良かったように思います。

コルプは、貴族、、、か。
確かに貴族で、ジゼルとは明らかに違う世界の人。
気品はあるけど、なんだ、もっとこう、
えーと、武人系とか、
すなおに王子系ではないな。
でも、ジゼルより、明らかに「階級が上」の人だな。
だから、端から見れば、
結ばれるべきではない、というのがわかる。
コルプのアルベルトのジゼルへの気持ちは、
遊びではなく真剣。
本当に愛すべき人に政略的な婚約した後に出会った、みたいな。
そういった意味では、
自分の気持ちや行動にブレの無い人で
コルプならこういうアルベルトで納得ですね。
「最初は貴族のお戯れ」だと
たんなる悪党になっちゃいそう。
踊りは端正。
端正なんだから、いろいろ詰め込みすぎない方が
もっと綺麗に見えるんじゃないかな、と思うソロ@2幕。

ハンスはオマール。
ここまで大きい役は日本では、
少なくとも東京では初めてではなかろうか。
3階5列から見る彼の演技は
ハッキリとしてなくて、最初はちょいとイライラ。
力無く歩いている演技なのか、
たんに気を抜いて歩いているだけなのか、
もっとくっきり客に見せるべきだろー。
弱々しく悩んでいるの?
それとも自分では大丈夫だと思っても
客に伝わらない演技をしているの?
1幕前半までは掴めませんでした。
でもねー。
狂乱の場面当たりで。
このハンスは
若いんだ
と、とつぜん閃きました。
大人の森番の、本来ならジゼルが結ばれるべき相手、
ではなく、
なんつーか、まだ子供なのよ。
身体はデカくてヒゲもあるけど、子供。
彼から見るジゼルは
「憧れの大人のお姉さん」で
彼の恋の相手にはなりえないんだよね。
ジゼル-アルベルトのラインには
もとから割り込むことができない。
自分の中のモヤモヤした気持ちとか
公爵が来たときのどうしていいかわからずウロウロするときとか
なにか明確に行動できるほど
はっきりとはわかっていない子供だからこそ
ああいう、なにを表現したいんだかわからん演技になるのではなかろうか。
と、そんなふうに思えてきました。
まあ、こういう彼がいるからこそ
ジゼル-アルベルトの絆が強固に見える、っていうか。
う~ん、拡大解釈しすぎかなあ。
まあ、いいか。
明日のツァルは、きっと、
もっとはっきりした演技をしてくれるんだろうなあ。
ものすごーーーい余談なんですが。
クリギン(父)、チェスノコフ、オマール、ヴェンシコフは
私の中で「似たような顔立ち」と認定しています。
うまく並べると、
「『濃さ』のグラデーション」ができそうなんだけど・・・。

ペザントはミリツェワとプローム。
踊りはそれぞれは良かったけど、
特にプロームの脚捌きは良かったんだけど、
最後の「キメ」がうまくいかないこと多し。
踊り手の問題なのか、
指揮者の問題なのか。
なんとなく後者のような。
っつーか、
アニハーノフさんが神業だった???
プロームのサポートも危なっかしかった。

コシェレワが、ものすごく良かったです。
出てきただけで雰囲気一変。
床を滑るように移動するところも
体重がまったく感じられず、
まさに「幽玄の女王」。
素晴らしかったです。

ドゥ・ウィリは、グルホワとカミロワ。
カミロワ、なんだか綺麗になったなあ。
美人度がアップしたような。
グルホワは、ちょっとガッシリした体型。
ウィリにしては強すぎな外見だけど
踊りは良かったと思います。

バチルドのセミョーノワも良かったな。
貴族のお姫様らしさを振りまいていた。
ブレグバーゼの公爵様は、そこにいるだけで嬉しいよ。
ぺトゥホフも細かいところまで演技していました。

公爵の槍持ち隊にツァルがいたような気がする。
貴族<赤>の男性あたりにヴェンシコフもいたような気がするけど
気のせいかもしれない。
タンバリン隊にモロゾフがいた気もする。
鷹がこう・・・とマイムをしていたのは誰なんだか。
マールイらしい熱さがあったように思うけど。

群舞は、心配したほどではなかった。
「白鳥」で最終判断かな。
全体的に若い美形が増えたけど
それだけで終わっていないことを祈るわ。

新演出は、うーんと、
どうなんでしょう。
2幕のジゼル登場の時は
従来の方がいいと思う。
長いと間延びする。
あそこで高速スピンがあるから
「人間ではない存在として復活」が
わかるんじゃないかな。
あとは、別に、、、
あってもなくても、どっちでもいいような。

ドゥルガリヤンの指揮は、「悪くない」。
音だけ聞くのなら、
強弱とか、キレとかはいいと思う。
あとは、ダンサーに合わせるとか。
主題・場面に合わせるとか。
狂乱の場面は、もうちょっと
ジゼルの内面を表して欲しかった。
全体的に硬質な音。
固いとかじゃなくて、
なんでしょ、「涼やかな」みたいな?
もうちょっと暖かみがあるといいけど、
それは私の好みか。
まだ若いみたいだから、
これから経験を積むと変わるのかな。

名称変更進行中ためなのか、
あるいは不景気のせいなのか、
上演前の「レニングラード国立バレエ」の文字の上映と
KOSEの袋配布が無くなりました。
協賛から降りたのかな。
こうしていろいろ変わっていくのかな。


【配役】
ジゼル:オクサーナ・シェスタコワ
アルベルト:イーゴリ・コルプ
ミルタ:イリーナ・コシェレワ
森番ハンス:アレクサンドル・オマール
ぺザント・パ・ド・ドゥ:タチアナ・ミリツェワ、アントン・プローム
ベルタ(ジゼルの母):アンナ・ノヴォショーロワ
バチルド(アルベルトの婚約者):オリガ・セミョーノワ
公爵:アンドレイ・ブレグバーゼ
アルベルトの従者:ロマン・ぺトゥホフ
ドゥ・ウィリ:マリア・グルホワ、ユリア・カミロワ

指揮:カレン・ドゥルガリヤン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団
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2 コメント

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濃い人たち (おロシア人)
2009-01-10 01:14:32
同感です。
だから以前は
アレクサンドル・オマールがてっきりクリギンの息子のニキータだと勘違いしていました。
でもこの中ではチェスノコフが一番好きでした。(退団が惜しまれます・涙)
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オマールは (きんちゃん)
2009-01-11 01:31:46
なまじクリギン似なので
演技まで同じ系統を求めちゃうんですが
彼には彼の個性があると思って
今後も見守っていきたいですね~。

チェスノコフは退団なんですね。
ハンスとかビルバントとか
クリギンと同じ役、同じような演技で
「クリギンの弟子」と秘かに思っていたのですが・・・
残念です。
こうして、マールイらいし人が
どんどんいなくなっちゃうんでしょうかね。
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