きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「台湾、街かどの人形劇」

2019年12月07日 | 映画


布袋戯の巨匠・李天禄の息子・陳錫煌の姿を追ったドキュメンタリー。


伝統をいかに正確に残すかの苦悩と、
名人と呼ばれた父の存在の重みが、
布袋劇の実演と共に描かれる。

もとは神(寺院)への奉納なのに
いまは露天の興行は少なくなり
依頼も役所からばかり。

昔と同じ形で、生活の中に残すのは難しい。
外国からは評価は高く海外公演もある。

どう伝えるか。


名人の父を持つ苦悩では三木助などを思い出した。
伝統の部分では、プリセツカヤが
脚を上げすぎるマカロワに
苦い顔をしていたとの話を思い出した。こ
の辺りは世界共通なんだろうな。

若い頃の花緑くんが「ときそば」をやるときの、
年配のお客さんの冷たい空気は、
客席にいても怖かったなー。
そんなことも思い出したわ。

台湾では男性が婿入りしたとき、
生まれた子供は男女問わず、
長子が母の姓、次子が父の姓になるそうです。
陳氏は長子なので、父の名や劇団を継げなかった。
だからこそ正統な伝統にこだわるのかな。

人形の細かい動きもさることながら、
師匠の指の動きを大画面で見られるのがありがたい。
指が長い!
親指の曲がり具合は先天的か、
実演の積み重ねからなのか。
人差し指は力強くまっすぐで、
動いても曲がることはなく、
これが人形の背骨なんだ!と思いました。
長い指は人形の動きを大きく、
そして複雑にできるんだろうな。
人形操演に向いた指の、
特に親指の角度が、
バレリーナの足(指)を思い出した。

作品中で陳氏は、大きい人形の大きい動作に顔をしかめ
「中南部に伝統はない、伝統は消えた!」とおっしゃっていました。
霹靂のことかしら?


終映後に陳氏の孫弟子チャンチンホイ氏による
布袋戯実演&トーク有り。
人形が書を書きました。
この動きも時代によって
シンプルにするか、
溜めを作ってリアル感を出すか
変わるみたいです。

布袋戯は台湾に渡ってからは奉納になったけど
渡る前の大陸では、元々は
お大尽(個人)の室内でのお楽しみで
観客も30人ぐらいだったとのこと。
それで人形はあの大きさなんだと合点。
屋外の大規模興行で人形が小さい謎が解けました。

現在の台北での布袋戯公演は
栄楽市場で見られるかもとのことでした。
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