きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「声をかくす人」

2012年11月23日 | 映画
重たいけど良い話だった。
国家の基盤は憲法だけど、
憲法を貫くために国を崩していいのか。
個人の正義と国家の大義はどちらが重いのか。

結論ありきの裁判に一人立つ弁護士は
見ていてとても辛い。
元々はそちら側ではなかったのに。

この映画の良いところは勧善懲悪ではなく、
暗殺事件を適切に処理しないと北軍政府が崩れ、
国がまた混乱に陥る可能性の恐怖も描いていること。
国のために個人が犠牲になるのは許せない!
とは誰でも思うけど、
すぐそこにある恐怖を蔓延させないために
国が舵取りする必要は否定しきれないよね。
個人の私利私欲のためではなく、
大衆の理想の国家を作るために
生け贄が必要なのか。
その辺のバランスがとても良かった。

エンターテイメントしても話の積み上げ方が上手い。
あの手この手でサヨナラホームラン出た!
と思ったのに…。
「アメリカ初の女性死刑囚の話」
と宣伝されているのに、
刑の執行が決まったときは客席がちょいとざわついた。
名優が名監督って米国すごいよなあ

もしかして、法の前には
男女の区別無しってメッセージも入っているのかな?

初めは「北軍大尉」として
弁護を引き受けるのをためらっていたのに
司法制度と正義のために奔走するエイキンを
ジェームズ・マカヴォイが好演。
潔癖さと志の高さが滲み出ていた。

メアリー・サラット演じたロビン・ライトも
意志の強さと子供への愛に満ちあふれた姿がとても良かった。


「声をかくす人」の邦題は
あんまり合っていない気がする。
メアリーが知ってて隠したことって
あんまりないんじゃない?
「(民間人の)女が死刑になるはずない」
という甘い見通しが、
息子達にあっただけな気がする。


死刑台って、いちいち新しく作られるんだね。
コメント
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