きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「アリーナ・コジョカル ドリーム・プロジェクト」Bプロ

2012年02月23日 | バレエ・ダンス
◆第1部◆
「ラリナ・ワルツ」
振付:リアム・スカーレット
アリーナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、ロベルタ・マルケス
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、セルゲイ・ポルーニン


次の演目用に先に抜ける二人が違うので
Aプロとは微妙にキャスト違いです。
基本的にはありふれた作品なんだけど
このメンバーだと、気品溢れ、なおかつゴージャス。
流麗でいいね。


「タランテラ」
振付:ジョージ・バランシン
ロベルタ・マルケス、スティーヴン・マックレー

二人ともシャープに動いている。
ビジュアルも可愛い。
マルケスは終盤スタミナ切れっぽい?
マックレーは、上手くて芸達者だけに
「小器用だな」って印象もある。
むかし、クリーク&ルジで見たなあ。
脳味噌のどこかに潜んでいる記憶を
映像化できればなあ、とも考えながら見てました。


「くるみ割り人形」より グラン・パ・ド・ドゥ
原振付:ワシリー・ワイノーネン
ダリア・クリメントヴァ、ワディム・ムンタギロフ

いかにもお伽話のお姫様と王子様。
最近では貴重なビジュアル。
丁寧に品良く踊ってました。
リフトやバランスに大技がありましたが、
それが出過ぎることなくサラッと決めてました。
こういうガラでは地味な演目だけど
それだけに、きちんと踊る人を見ると
古典の真髄を感じられて嬉しい。
ムンタギロフはカチャと岡さんの間ぐらいの顔?


「ディアナとアクテオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ
音楽:チェーザレ・プーニ
ローレン・カスバートソン、セルゲイ・ポルーニン

カスバートソンは長い手足がキビキビ動く。
ポルーニンもジャンプが高い。
二人とも勢いがあるんだけど
若干その勢いの方向性が噛み合っていないようにも思う。
若いからなのかな?
サポートする・されるのタイミングも
すごく合っているのに
バラバラに頑張っているようにも思えるときがある。

ポルーニンはとても良いダンサーだけど若い。
大きな組織にいるからこそ
積み上げられる緻密さみたいなものが身に付くと
もっともっと良くなりそうなんだけどなあ。
(マックレーにはそれがきちんとあるんだけど)
退団が惜しい。


「椿姫」より 第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー
アリーナ・コジョカル、アレクサンドル・リアブコ
三原淳子(ピアノ)

まさかリアブコのアルマンが見られるとは思わなかった。
ありがとう、そしてありがとう!
コジョカルが娼婦に見えるかというのは
このさい脇に置いておいて。
とても情熱的で官能的でドラマチックだった。
二人とも、魂の底からお互いを求めている。
コジョカルの衣装の裾のレースが千切れるぐらい。
それでいて踊りは全く乱れない。
さすがだな~。


◆第2部◆
「ザ・レッスン」
振付・デザイン:フレミング・フリント
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
 教師:ヨハン・コボー
 生徒:アリーナ・コジョカル
 ピアニスト:ローレン・カスバートソン


プログラムを読んでいない、あくまでも私感で。

無垢ゆえに怖いもの知らずで
結果的に生意気になっちゃう若い女性ダンサーと、
他人とコミュニケーションを取るのが不得手のダンス教師。
女性(全般)が苦手、というより怖がっているダンス教師が、
だんだん調子づいて、
自分が教えたこと以上に踊る彼女をついには殺してしまう。

とにかくコボーのキョドり方が
ハンパなくリアルで怖い。
他人との距離がとれず、ストーカー殺人を犯すのは
こういう人なんだろうなあ、さえ思う。
すごい役者だ。
不気味な変質者だけど踊りは正確。
振付通り身体を動かしているのではなく
すでに台詞と同じぐらい雄弁な踊りだった。

カスバートソンの演技も良かった。
神経質で嫉妬深くて、
それを押し殺している。
トウシューズを持っているのは
むかしは彼女もバレリーナ志望だったのかな。
夢叶わず、こうなってしまった、と。

話はどうとでも取れるけど、
私はピアニストが
ダンス教師に獲物を見繕っているのかと思う。
彼への歪んだ愛情ゆえでもあるし、
(自分がなれなかった)若いバレリーナの芽を
摘んでいるようにも思うし、
ダンス教師に人を殺させることで
自分が優位に立っていると実感できたり、
人を使うことの快感を得たりもしているのかな。

コジョカルの少女のような若いダンサーも、
いるいる、って思う。
悪意を持って行動しているわけではないけど、
いちいち人の神経を逆なでる人。
有能で優秀で正しいから逆らえないけど。ムカつく。
そんな存在。
殺人はそれらが重なった偶然なのか、
誰でも容易に、どれかの立場になりうるのか。

【追記】
ピアニストが冒頭で持っていたトウシューズは
かつて自分が憧れていた世界の暗示ではなく
「前の犯行」被害者の所持品?
それをポイッとしたり、
冒頭の椅子を直したりは
「前の犯行」の後始末(証拠隠滅)?
それらの作業が日常業務のように行われるということは
「犯行」も日常業務のようになっているとか?

コボーが、最初は小心者なのがいいんだよね。
ジャック・ザ・リッパーのように
稀代の特別な犯罪者ではなく
「その辺の人」っぽいところが
この作品のミソなんだと思うよ。


◆第3部◆
「ドン・キホーテ」 ディヴェルティスマン
原振付:マリウス・プティパ
音楽:レオン・ミンクス
アリーナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、ダリア・クリメントヴァ、ロベルタ・マルケス、
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、セルゲイ・ポルーニン
高村順子、西村真由美、乾 友子、高木 綾、奈良春夏、田中結子、吉川留衣、岸本夏未


記憶違いがあるかもだけど。
 ・東バ女性8人でPDD導入。
 ・コジョカル&コボーでPDDアダージオ。
 ・ポルーニンのジャンプ系ソロ。
  (聞き覚えの無い曲だけど
   どこかの版のエスパーダのソロとか?)
 ・マルケス、一幕キトリのソロ
  (カスタネットを持ってクルクル回るアレ)。
 ・コボー、西村&乾を従え一幕バジルのソロ。
  (キトリのカスタネットの前の踊り)
 ・カスバートソン、女性ソリスト用の第一ヴァリ。
 ・マックレー、酒場のバジルのソロ。
  (ABT版で、ミーシャが杯を持って
   跳んで回っているアレ)
 ・クリメントヴァ、女性ソリスト用の第二ヴァリ。
 ・ムンタギロフPDDヴァリ。
  *クリメントヴァとムンタギロフは逆かも?
 ・コジョカルPDDヴァリ。
  扇は無かった・・・かな???
 ・コボー、ムンタギロフ、マックレー、ポルーニンの順で
  怒涛のジャンプ(ソロで繋ぐ)。
 ・コジョカル、西村&乾を従え登場。 
  まずは1人で超バランスのイタリアンフェッテ。
  後半は3人でシングルのフェッテ。
 ・コーダは男性4人が同時に回り、
  コジョカルが回りながら入って来て、
  他の3人もジャンプしながら入って来る。
って流れだったと思います。
息をつく暇もないほど
超絶技巧が繰り広げられて
実にエキサイティングでした。
コジョカルはバランス系の大技たくさん。
すごく安定感がありました。
コボーの陽気なイケイケ兄ちゃんぶりも良かったわ~。


カーテンコールは何度も。
コボーがコジョカルを舞台中央に押し出したり。
コジョカルがコボーに抱きついたり。
カーテンが閉まった状態で
男性、女性と別れて出てきたとき、
女性はコジョカルだけ出て、
あとがなかなか続かなくて
(たぶん座長一人に拍手を受けて欲しいとの
 思いやりだと思います)
コジョカルが、お願い、出てきて、って
両手を差し出したら他の3人が出てきて、
カスバートソンがコジョカルの頬にキスしました。
座長の成功を祝福する姿に、
こちらももらい泣き。


どの作品も、どの出演者も良かった。
プログラムのバランスも良かった。
みなさん、来てくれてありがとう!!


◆上演時間◆
第1部 18:30 - 19:35
休 憩 20分
第2部 19:55 - 20:25
休 憩 20分
第3部 20:45 - 21:15
コメント
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