きんちゃんの観劇記(ネタバレだよ)

思いつくまま、適当に。

「TAKI 183」

2006年02月18日 | 映画
 先月のトークショーで、みつ君が「見てね」と言っていたので、見に行きましたよ。

 トミーは仲間達と渋谷の壁に絵を描いてきたが、ある日、描く「意味」を見失ってしまう。2年間、それを見出せなかったが、自分の絵が描かれた壁が明日取り壊しになると知り、そこに絵を描き直すことにした。かつての仲間も集まり絵を描くトミー。タイムリミットは夜明けまでの数時間。

 壁にスプレー画とかヒップホップとかが主題のようなので、私の嫌いなジャンルだと思っていました。青春のモヤモヤとか、出口のない閉塞感、それが若さ!みたいな作品かと。そしたらば、意外にも(失礼)面白かったです。それはなぜかと思うに、作品の主題が「青春」というよりは、「なにかを表現したい欲求・クリエイティブな衝動」の方に重点が置かれていたからでしょう。年齢、にも関係するかもしれないけれど、「若い」から、こういう行動に出るのではなく、「描きたいから」描く、そんなカンジ。なんか、知っているのよ、この衝動は。誰が読まなくても、全然上手なわけでもないけれど、描きたくてたまらなかったことが私にもあったもんなあ。だから、わかる。わかるような気がする。身体の中に湧き上がった「なにか」を、外に出したい衝動が。
 描き手が、「一応」ではあるけれど、プーではなく、働いている、でもないけれど、それなりに自分の居場所があるのも良かったな。そういった「日常」があって、「迎えたくない明日」があるのに、「今日」が来てしまう。その辺のドラマも良かったです。それに対比するように、「若者ではない」男性が、「明日を迎えたい」のに、「今日」で終わってしまう、そのドラマも、さりげないのに、印象深いエピソードでした。

 みつ君は役者志望の男の子。稽古でずっとスター俳優の代役をしていて、その中には憧れの女優さんとのキスシーンもある。けど、舞台には立てない。本番で舞台に立つのは、毎日練習をしている自分ではなく、殆ど練習に来ない役者の方。女優を手に入れているのも彼の方。そんな鬱屈した毎日に、声を上げて反抗したいけど、できない。その気持ちが「描くこと」に向かわせるのかな。憧れの女優さんに「芝居の稽古」でキスされてドギマギしている表情が可愛かったよ。妄想の中ではスター俳優を殴れるけど、実際にはできない。ああ、童子なら一発なのに・・・とウッカリ思う。
 川口さんは、アフロというより、爆発ヘアー。台詞もいくつかあるので絶対に見逃しません。トドロキ調の芝居でした。「地」なのか?でもトークショーを思えば、これは「演技」か?スター俳優が松田悟志なんじゃないかと思うんだけど・・・。出ているときはみつ君を見ていたので気が付かなかったんだけど(すいません)、エンディングロールの位置から考えると、そうかなあ、と。友よ、見るのならその辺を要チェックで。
 「中年男」の西村さんの愛人役は秋山奈津子さん。「キレイ」のカスミお嬢様です。すごく良かったです。なんと表現すればいいのか・・・。ウマイ、とだけでは言い表せない。
 あと、カン(という役。忍成修吾)が営業したオカマ。「45歳でオカマで無職で行き詰まり」って、なんちゅうか・・・作品中一番自分に近いかも・・・・。もうちょっと若いしオカマではないけどさ。若い頃の閉塞感は方向転換でなんとか変えられるけど、若くないとねえ、、、行き詰まるしかないよねえ・・・。私も45歳でリストラされたらさあ、、、とか考えると、彼(彼女)を笑うことなんかできないよさ。カンちゃん、初めての経験・・・のところ。オカマと寝るってことはタチ役だよな。それならそんなにショックを受けなくても。。。女にも尻の穴があるから試してみればと、ちょっと下品なことを考えちゃいました。すんませんん。

 期待以上に面白い作品でした。だからといって、ウチの壁にスプレーで落書きしたら
ブチ殺すけどな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「フライトプラン」

2006年02月18日 | 映画
 いろんなところで「つまらない」と評判の作品でしたが、タイトルの「and Sean Bean」を見たくて行ってしまいました。

 ドイツで暮らす飛行機設計技師のアメリカ人女性が、夫が転落事故で死亡したので、埋葬のため故郷へ棺を運ぶことになった。娘と共に飛行機に乗り、機内で一眠りした彼女が目覚めたとき、娘の姿は消えていた。密室ともいえる飛行機内のどこを捜しても娘は見つからない。やがて、地上と交信した乗務員から「娘はすでに死亡している」との連絡を受ける。夫と娘を亡くした女性の妄想なのか、それとも・・・。

 いや、噂通り
クソつまんない
ブログタイトルに「ネタバレ」って入れてるから書いちゃうけどさ~~、
いろんなところでそれはないだろう~~~~、ってネタ満載なのよ。
 ・娘が乗ったかどうか、「乗員名簿」で確認
  EU内ならともかく、ドイツ→アメリカなんだから、
  出入国管理されているだろう。
  なんでイミグレーションに問い合わせしないんだ?
  パスポートナンバーが登録されているはずよ。
 ・機内での座席移動は乗務員に断ってから、が基本だろう。
  乗務員もそれをチェックしているはずよ。
 ・X線を通さない「棺」が必要だったからってさ。
  故郷ではなくドイツで埋葬する可能性だってあるだろうに。
  散骨希望だったらどうするんだ?
  米国に帰る妻の利用便を特定した方法は?
  共犯の乗務員が常にチェックしていた?
  それでも、同じ便に乗り合わせるのはかなり難しそうよ!
と、いろいろ疑問、ってか、あきらかに脚本上の「穴」が目立ちすぎ。
いまどき日本のテレビの2時間ドラマでもやらないだろう、ってぐらいの
設定ミスですなあ。

ジョディーは、まあ、頑張っちゃいるけどさ。
ネタがネタだから、どうしようもない。
ショーンは、いつもにも増して「間抜け」系なんだけど、
機長さんのコスプレが見られたから、もういいや~~。

製作スタッフは、似たようなネタの「バルカン超特急」を
あと100回見て感想文を書くぐらいの罰ゲームが必要だと思うわ。
バルカン超特急
ヒッチコックは偉大だなあ。
ついでに「ガス燈」も見ておけ!
ガス燈 コレクターズ・エディション
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「眠れる森の美女(マラーホフ版)」東京バレエ団(初日)

2006年02月18日 | バレエ・ダンス


 古典改訂とはいえ、一応「初演」なのに、なんでこんなに緊張感がないのでしょうか。いや、ダンサー自体は皆さん素晴らしいパフォーマンスだったんですよ。なのに
眠い
なぜだか、眠い。テンションが上がりきらない。やっぱ、演出のせいなのかな~~。

 昨年秋にベルリンで初演されたマラーホフ版を東京バレエ団が日本で初めての上演。従来の古典と違うところは
 ・オーロラが眠りに付くキッカケは糸車ではなく薔薇のトゲ
 ・オーロラ誕生場面で妖精の群舞無し
 ・狩猟の場面無し
 ・パノラマの群舞無し
 ・幻影の場面はかろうじてあり
 ・結婚式に招かれるのは、フロリナ&青い鳥、、牡猫と子猫、
  シンデレラとフォーチュン王子、赤ずきん(狼無し)
って、あたり?短縮版と言われた東バ版より、さらに短く、オーロラ誕生から眠るまでが1幕60分、25分の休憩を挟み、王子が城に迷い込む(?)から結婚式までが70分。従来の古典版に比べると、結婚式までをかなり端折ったので、結婚式が異様に長く感じられました。
全体を見て感じたのは、「いかにも群舞経験無しのプリンシパルが作った舞台」。あ~、彼にとっては群舞とかその辺はあんまり興味がないのね~~、と。いや、向こうの群舞の実力に合わせたのか?とかも思ったり。少ないセット、変わった色遣いの衣装・舞台美術、最小限の群舞、見せ場のあるソリスト、と、ある意味、海外公演仕様ですね。それにしても盛り上げ方がよろしくない。あくまでも、観客が「眠り」を見たことがあるのを前提に、見せたい場面だけ見せ、踊りたいところだけ踊った、みたいな、そんな印象です。やっぱ植田巨匠に弟子入りした方が良いな。

 話題になった衣装・舞台美術は、3階正面から見ると、そんなに「ヘンテコリン」ではなかったです。細かい柄は生地に溶け込んで、そんなに目立たないしさ。ただ、幕開け。薔薇の花たくさんとか、紫とピンクが氾濫する衣装とか、いかにも
マラーホフが好きそう・・・
ってな絵面だったので、心の中で (´,_ゝ`)プッ
(これで緊張感が途切れたのかも・・・)。
なんちゅーーーか、マラーホフの頭の中を覗いた気分でした。友人とは別の席(ってか席種)だったんで、声は出せませんでしたが、並んで座っていたら絶対声に出して笑っていたよ!フリルやヒラヒラ多様で、もーねーーー、フフフ、ってカンジよ。求婚者4人の衣装が地味だったので、見ている瞬間はウ~~ン、と思いましたが、フリルが使えない貧乏な国の王子だからこそ金持ち国の姫の婿になりたいんだと脳内補完しましたわい。

 美佳さんは、完璧と言ってもいいんじゃないかな。技術的には安定し、1幕では可愛く、2幕では美しく。1幕登場直前に舞台中央を覗き込む姿は実に少女らしかったです。小顔でマラーホフとも合っているし。でも、やっぱり、ピンクを着て欲しいよなあ。それはダンサーの責任じゃないんだけどね。
 マラーホフは、(最近にしては)踊りのキレも良く、ガンガン跳んでブンブン回っていました。ここまで「ダンサー」だったのは久しぶりじゃないかなあ。最近はずっと「営業部長」だったから。演技はねえ、、、もう「地」が王子様だからさあ・・・・・・。
 リラは上野さん。スーツっぽい上半身に大きいスカートの衣装がよく似合っています。化粧もナチュラルで良いのでは。ただ、演技面は・・・。暖かみとか包容力とかは皆無。もう演技することは止めたのかな?振付られたステップを真摯に踊っています、って風情。いかなる時も。
 カラボスのは芝岡さん特出。良かったよ~~。衣装もよく似合っていたし、やりすぎ寸前ぐらいの演技は、リラをも良く見せていました。これは男性の役ですね。最後までネチネチとオーロラを呪うのイイですね。
 井脇さんシンデレラと木村さんフォーチュン王子は、二人とも好きなので、踊ってくれること自体はすごく嬉しいのですが、構成的にはいらないよねえ。衣装もそんな派手でもないし、音楽も地味め。素直に赤ずきん&狼でよかったんじゃないかな。でも、こういったタイプのソリストを踊らせる部分を作りたかったんだね、きっと、と、これまた脳内補完。 フロリナ&青い鳥、牡猫&子猫、は、いつもの衣装の方がいいよ~~、の気持ちが先に立つので集中できず。ダンサー自体は良いのですが。
 他の妖精ちゃん達は、衣装は違えどメンバーは前版と似たようなもんなので割愛。4人の王子は高岸、木村、後藤、平野、と、なっていたけど、後藤さんじゃなかったような気がする(2/20訂正 長瀬さんでした)。
 特筆すべきは、「妖精のお付きの騎士」。妖精のサポート役ですが、この衣装がカッコイイんだわ!求婚者達よりずっと素敵に見えるのだ。特に大嶋さんが似合っていました~。うっとり~~。もしかして王子よりこっちの方が踊っていたかな。

 とりあえず初日はこんなところ。正直言うと、演出面では旧東バ版の方が良いです。「群舞」という、ある意味無駄な部分があってこそ、グランド・バレエなんですわ。背景の幕だけでも変えてくれれば、マラーホフ版より上演する価値はあると思います。それが正直な感想です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする