新甲州人が探訪する山梨の魅力再発見!

東京から移住して”新甲州人”になった元観光のプロが探訪する”山梨の魅力再発見!”
旅人目線の特選記事を抜粋して発信!

6)”枯露柿づくり体験”でもてなす「甘草(かんぞう)屋敷」のボランティアの皆さん

2010-11-11 | 山梨、里山の郷土愛!

重要文化財の「甘草屋敷」は甲州市JR塩山駅北口前にあります。この駅の北口に降り立つと最初に迎えてくれる美観シーンが「甘草屋敷」で、ほとんどの訪問者は感嘆しています!新宿から1時間20分、特急が停車する駅で「駅前がこれほど風情のあるところはない」と言っています。注)南口はバスターターミナルや低層商業施設が少々あり”お洒落美観”はありません。

塩山をJR中央線で初めて訪ねる人に、北口から塩山観光をスタートされるように薦めます。タクシー乗り場には常時駐車しています。タクシーの方は、ここから西沢渓谷、大菩薩峠、恵林寺、放光寺、川浦温泉、枯露柿の松里地区方面へは行きやすい最寄口でもあります。

Photo 今回、東京の知人で観光、ホテル、レストラン業界のオーソリティである春口大先輩が、山梨学院大学の講義の帰りに塩山に途中下車して、訪ねて下さった。丁度、甘草屋敷では「ころ柿づくり体験」が行われ、その講習が終わって、”枯露柿”がつるされた直後に訪れて頂いたので、その美しい景観を背景にした記念写真を掲載しました。

枯露柿がつるされた「甘草屋敷」の柿色格子の景観が何と美しいこと!観光パンフレットの表紙を飾るシーンで”温かい人々の営み”を伝えてくれる古民家史蹟なのです。

Photo_2 「甘草屋敷」の”ころ柿づくり”体験は、まちの観光ボランティアの皆さんで運営されています。※みなさんは無報酬で、真心から”おもてなし”をしていることを知っておいて下さいね。

首都圏から、「ころ柿体験」に訪れるお大勢の客様のために、まず、収穫した大粒の”甲州百匁柿”を皮むきします。その手伝いの情景です。皆さんがほんとうに優しい顔をしているのがわかりますか!?

※善意の心づくしに脱帽ですね!毎日延20人くらいのボランティアが手伝っているとのこと。

素晴らしいまちの人々ですね!

Photo_3 「ころ柿づくり体験」へ参加した人々は真剣です。参加費は一人500円(入館料含む)で、自分で皮を剥いて作った大粒のつるし柿を2ケ持ち帰りが出来ます。自分の家の軒先で天日で干して、約1カ月経つと、美味しい枯露柿が出来上がりますが、琥珀色に輝く大きなつるし柿の並ぶ情景はほんとうに見事で美味しそうですね。

私も2年前に、ころ柿づくりを教えてもらって、作って見ましたが、とても愉しく、約1ケ月間、軒先で乾き具合と色具合を見ながら、”ころころ”とひっくり返して、全体に天日がいきわたるように干し続ける作業行程は、意外に手間がかかります。その「ころころ」返して作るところから、”ころ柿””枯露柿”と云われるようになったようですよ。「枯露柿」も高級感があって良いブランド名ですが、「ころ柿」も可愛いい名前ですね!

「最初の体験では、熟成するまで待ち切れず、途中で食べてしまった」ことを覚えていますが、それでも自分で作った”ころ柿”なので、とても美味しかった思い出があります。それ以来、農家の皆さんが、その気持ちを心得て、食べごろになるまで熟成干しして出荷して頂いている苦労を分かるようになったつもりです。だから、極上粒は1ケ@700円~900円もするのかと・・・。体験は楽しんで、なお色々なことを教えてくれる想い出です。

”枯露柿は松里ブランドが極上品”と言われて評判です。武田信玄が干し柿を奨励し、美濃の国の蜂屋柿を移植したのが始まりだといわれています。江戸の昔から、甲州八珍果として上等の献上物になっていて、今に伝えられています。甲州百匁柿は他に類を見ない大粒で、自慢の特産品です。ぜひ、賞味して見て下さい。他にない絶品ですよ!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Photo_4 「甘草屋敷」内には市の”こども図書館”があります。古い農家の畳のある部屋で子どもの本が読めます。丁度、この日は塩山愛育園の元気な子供たちが愉しそうに学習をしていたので、写真を撮らせてもらいました。

子供さん全員をカメラに収めることが出来ないで済みません。全員を写そうと声を掛けるたびに、せっかくの素晴らしい笑顔がかしこまってしまったので、瞬間に撮ったスナップ写真を掲載させてもらいました。YS

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「甘草屋敷」は、山梨県東部に分布する江戸時代の養蚕農家の典型で、茅葺き(現在は銅板葺き)で切り妻造りの重要文化財に指定された旧高野家の古民家史蹟なのです。江戸時代、八代将軍吉宗の治世(1720年頃)に、幕府の採薬使、丹羽正伯が当時高野家の薬草園を見聞して、幕府御用が申し渡されて以後、薬草の甘草(かんぞう)を栽培して幕府に納めていたところなのです。「ドラマ暴れん坊将軍(吉宗)でご存知の小石川療養所にあった小石川薬草園」に、ここから薬草が納められていたと思うと、とても身近に感じますね!?

現在は、重要文化財として市が所有管理をしていて、「薬草の花咲く歴史の公園」として、まちを訪れる人々をお迎えしています。 ※市の広報による。

結構、重要文化財は維持管理にお金がかかるだけで、”見せ物的”な施設が多いのですが、この施設は、歴史資源のことが良く分かっているだけではなく、”まちは人々の温かい触れ合いがあってこそ良いまち”ということを心得た廣瀬館長さんならではの運営力だと思いますね。善意のボランティアの人々と一緒になって、訪れる人々を親切にもてなして、この施設は、人々のために”活かされていている”のが良いですね!YS