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Rahm Emanuel 大統領首席補佐官辞任

2010-10-02 19:05:03 | アメリカ政治
Rahm Emanuel (ラーム・エマニュエル)大統領首席補佐官が金曜日に辞任した。暫定的に、30年の議会での経験もあり、オバマ大統領が上院議員の時からのスタッフである Pete Rouse(ピート・ラウス)が就任した。

Rahm Emanuel の辞任の理由は、来年行われるシカゴ市長選に出馬する為である。一年くらい前のインタビューで、理想の仕事を聞かれた時に、シカゴ市長と答えており、その実現に向けて踏み出す事になる。(彼はシカゴ出身)

シカゴ市長の職は、現市長と彼の父親が、過去55年のうち42年も務めているちょっと特殊な環境である。民主党の支配の強い都市のご多分に漏れず、財政赤字に苦しんでいる。(市営の駐車場(路上を含む)の権利を売り飛ばしたりしている)再出馬すると見られていた現市長が数ヶ月前に引退表明をした時から、Rahm Emanuel の周辺が泡立たしくなっていた。

オバマ政権、特に重要なホワイトハウススタッフは、"Chicago Boys" と揶揄される事も有る程、シカゴ出身者で固められており、Rahm Emanuel はその最たるものであった。彼等の政治スタイル、特に議会工作は、シカゴスタイルと呼ばれ、マフィアスタイルであると批判されて続けて来ている。(アルカポネはシカゴ出身)

オバマが大統領に当選し、Rahm Emanuel に大統領首席補佐官就任要請したのだが、承諾までに時間がかかっている。当時、彼は下院議員であり、2006年の民主党大躍進の立役者として民主党下院議員の中で確固たる地位を築きつつあった。下院議長を狙っているという噂もあった。(予算作成の原案を作るなど下院は、立法府として上院よりも優先権があり、下院議長は、法案審議の順番を決めれる等、絶大な権限がある)

クリントン政権のスタッフの時から豪腕で知られており、大統領首席補佐官の時も、ObamaCare の議会工作では、遺憾なく発揮している。一方で、政治的には柔軟性があると言われており、ObamaCare の審議中に Public Option (政府運営の健康保険)を強く主張するよりリベラルな一派を、審議が瓦解すると批判した事もある。

大統領首席補佐官は激務なので2年での辞任は珍しい事ではないが、過去の実績や前評判の割には目立ってなかった。オバマ政権の不協和音がでていなかったのも事実なので、彼が上手に統率していたのかもしれない。一方で、ホワイトハウスも含めて経験豊かなので、オバマ政権への失望があったのかもしれない。

市長選については、下院議員時代の選挙活動資金が豊富に残っていると伝えられており(合法に流用出来る)、現市長の引退発表のタイミング良さ等を考えると現市長のバックアップも確実そうでなので、民主党の予備選も始まっていないが、有力候補に間違いないであろう。

一方で、今後のホワイトハウスの運営については、一ヶ月後の中間選挙の結果待ちという事なのだろう。(中間選挙前に辞めた人々は、既に悪い結果を予測しているとも考えられる。)


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