真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

HPは hide20.web.fc2.com
ツイッターは HAYASHISYUNREI

泰緬鉄道建設における戦争責任-2

2007年12月02日 | 国際・政治

 -----緬鉄道建設に関わるBC級裁判の問題 -----

 戦後の泰緬鉄道建設にかかわるBC級戦争裁判で有罪の宣告を受けた
人は111人、死刑は32人にのぼったが、残された問題が二つある。

 一つは、この事件の裁判は、俘虜の虐待と虐待致死についてのみであ
り、東南アジアを中心とする人々のいわゆる「ロームシャ狩り」や強制
連行、および10万ともいわれる虐待致死については裁かれていないし
ほとんど何の補償もされていないことである。

 もう一つは、裁かれた人の多くが捕虜に直接関わっていた収容所監視
員で、その大部分が日本軍と捕虜の間におかれ捕虜によくしようとすれ
ば日本軍に責められ、日本軍に従順にしようとすれば捕虜に厳しくなる
という朝鮮人軍属であったことだ。 その一人千葉光麟(千光麟)は、
「私は、捕虜監視員になりたくてなったのではありません。その年ごろ
の青年のひとりとして、日本の警察に強制されてここに来たのです」と
減刑嘆願書の中に書いている。
 鉄道建設の命令やその期限の決定、捕虜を建設作業に従事させること、
食料や医薬品その他の極めて不十分な補給、無理な行軍や作業現場付近
および宿舎の不良・未整備などは監視員レベルの責任ではありえない。
日本人に見下され、軽蔑され、残酷に扱われたていた朝鮮人に捕虜の監
視を命じたのは日本軍の上部組織であり高級将校である。しかしながら、
当時日本軍の中で最も序列の低かった朝鮮人が、泰緬鉄道建設にかかわ
る戦争裁判では、上官よりずっと厳しく罰せらているのある。
 また、1945年8月20日戦犯裁判に対処するため、東京の俘虜収
容所長から各収容所長へ
-------------------------------- 
 「俘虜及び軍の抑留者を虐待し、或いは甚だしく悪感情を懐かれある
 職員は、此の際、速やかに他に転属或いは行方を一斉に晦す如く処理
 す るを可とす。又、敵に任ずるを不利とする書類も、秘密書類同様
 用済みの後は必ず廃棄のこと」
--------------------------------
と緊急電報が送られている。
 さらに、陸軍大臣から関係部隊に「俘虜取扱関係連合側訊問に対する
応答要領等に関する件達」なる通達を発しているが
--------------------------------
 「国内に於ける労務、食糧、医療等の事情及国民の戦争各時期毎に於
 ける対俘虜感情(特に敵愾心)及彼我言語、風習、嗜好(特に食事)
 の差異等に関連して俘虜管理当事者の苦心、特に彼らの社会的軽視、
 誤解、迫害に対する隠忍等に至りては其の実情を充分公明にし且又俘
 虜収容所の編制素質(特に台、鮮人)、教育等の実態を一般部隊等と
 関連対比して能く其の因って来る所以を明にす」
--------------------------------
と虐待の一因が、台湾人や朝鮮人の存在にあるかのような内容になって
いるのである。
 1942年8月にタイ、マレー、ジャワに送られた捕虜監視要員の朝
鮮人軍属は3000人で、台湾人軍属はおもに、ボルネオとフィリピン
の収容所に送られたという。
       (「日本は捕虜をどのように管理したのか」内海 愛子)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 朝鮮人捕虜監視員として、予想外の仕事をさせられ、監視以外にはほ
とんど何の権限も持たず、命令には絶対服従の立場に置かれたのに、絞
首刑の判決を受けた李鶴来さんは、
--------------------------------
 ・祖国が独立した歓喜に溢れているのに、捕虜を虐待した罪で死刑
  になるとは!!
 ・民族に対する申しわけなさと棄民になった寂しさ!!
 ・この凶報を聞いた親兄弟のかなしみ!!
 ・いったい、誰のために、なんのためにしんでいくのか!!
--------------------------------
と悩み続けたといいます。日本人戦犯のような「お国のために死んでい
く」という心のよりどころがなく悩み続けたというのです。幸い減刑さ
れ1956年に仮釈放されたけれど、対日協力者という民族的負い目が
重くかさなり、生まれ育った祖国、愛する祖国に帰れず、仕方なく日本
に住みついたそうです。
 そして、日本政府のきちんとした謝罪と国家補償がないだけでなく、
日本国のための戦争にかり出され、戦犯にまでされた韓国、台湾出身戦
犯者を、国籍条項により、いっさいの援護対象からも排除していること
を絶対容認できないと訴えているのです。
   (「加害者の一員として-朝鮮人元監視員の報告」 李 鶴来)

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 泰緬鉄道建設工事における戦... | トップ | 泰緬鉄道俘虜収容所 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事