映画で楽しむ世界史

映画、演劇、オペラを題材に世界史を学ぶ、語ることが楽しくなりました

舞姫(森鴎外)

2010-12-26 18:42:53 | 舞台はドイツ・オーストリア
11/02 深夜BS放送 郷ひろみの 「舞姫」   映画としての出来は決していいとは思わないが、篠田監督は近年「スパイゾルゲ」とかこの舞姫とか、日本と西洋の接点、映画化には難しい分野に関心を寄せられる。どういう心境の変遷があるのであろうか。  内容は一種の「青春の蹉跌」もの風に描かれるが、そのストーリーは別にして・・・ ビスマルク時代のベルリンの雰囲気が味わえるのがよい . . . 本文を読む

「ロード・オブ・ザ・リング」対「ナルニア国物語」

2010-12-26 18:42:02 | 舞台はドイツ・オーストリア
おすすめ「魔法ファンタジーの世界」(岩波新書) CGの技術が深化し、ファンタジー映画のスケールが大きくなった。パソコンゲームで育った年代の人には格好のエンターテインメントだろう。大人も無邪気に楽しめばいい。 しかし、少し薀蓄に浸るとすれば、こういうファンタジー物語もやはり歴史物に起源があることを知るべきだ。 「指輪物語」のトールキンは元々言語学者で、明らかにゲルマン民族の伝説を受け継いでいる . . . 本文を読む

イスラム教が分かる?「ザ・メッセージ」

2010-12-26 18:41:24 | 舞台はトルコ・中近東
ザ・メッセージ 1、 ザ・メッセージという映画の特色 キリスト教は三位一体という理屈を持ち、「神の子」イエスの処刑の場面やイエスの苦悩に満ちた顔を共通のイメージとして持っているのに対し、イスラム教は神を姿、形で認識しない、してはいけないのである。イスラム教はアッラーの神に対する絶対帰依を要求し、下手に姿、形を見せると下衆の議論を招くからだろうか、偶像禁止が徹底していてマホメッド(最近はムハ . . . 本文を読む

ソ連の祖国大戦争「スターリングラード」

2010-12-26 18:39:02 | 舞台はロシア
第二次世界大戦の転換点となったスターリングラード  ヒトラーはヨーロッパ征服戦争(第二次世界大戦)を始めるにあたり、直前の1939年8月23日にソ連と相互不可侵条約を結び、9月1日からポーランドなど東欧北欧諸国を歯牙にかけ、翌年5月から一転して西部戦線ではベネルックス3国とフランスを降伏させ、さて次は? イギリスは既にドイツに宣戦布告しているということからすれば、「イギリス上陸作戦 . . . 本文を読む

「ライフ・イズ・ビューティフル」に潜む歴史

2010-12-26 18:38:34 | 舞台はギリシャ・イタリア
第二次大戦でイタリアの戦いぶり 「ライフ・イズ・ビューティフル 第二次世界大戦中、イタリアの小庶民、ユダヤ人の問題を描くコメディー傑作。監督・主演は「ボイス・オブ・ムーン」や「ジョニーの事情」のイタリアを代表する喜劇俳優ロベルト・ベニーニ。1998年のアカデミー賞外国作品賞をとったと記憶する。日本の映画では渥美清の「拝啓天皇陛下様」があったが、大分趣は違う。  イタリアはドイツ、日本 . . . 本文を読む

シシリー島旅行必須「山猫」完全復元版

2010-12-26 18:38:02 | 舞台はギリシャ・イタリア
3月24日NHK衛星第二放送 イタリア耽美派の巨匠ヴィスコンティの「山猫」は文句なしに名作・・・ ヨーロッパの人にとっては、フランス革命が各国に波及し、各国が国家統一、近代国家に生まれ変わる=かっての貴族は没落する、そのプロセスを想起させる。 特にイタリアの、それもシチリアの人にとっては、それまでの歴史が苦難・屈辱に満ちた変遷・複雑なものであっただけに、感慨深い映画に違いない。(「ゴッド・ . . . 本文を読む

大人のための「禁じられた遊び」

2010-12-26 18:37:31 | 舞台はフランス・ベネルックス
ギターをやる人はみんな挑戦する名旋律のあの映画。禁じられた遊び フランスのルネ・クレマン監督の代表作でもあるが、原作脚本の名は「木の十字架、鉄の十字架」とのこと。 本当に可愛い少年、少女主役の童話風の、それだけに余計物悲しい、切なさが身にしみる戦争憎悪映画。バックとなっている当時のフランスのことを考えてみる。  ①ナチスドイツは、1938年オーストリア併合、チェコスロバキア占領を . . . 本文を読む

じゃじゃ馬ならし

2010-12-26 18:36:59 | 舞台はギリシャ・イタリア
シェクスピア原作の「じゃじゃ馬ならし」の最大のミソはルネッサンス最盛期のパドヴァが舞台ということ。 パドヴァには、ボローニャに次いで2番目に古いパドヴァ大学(1222年創立)があり、学生街特有の若さ奔放な雰囲気が漂う。ガリレオ・ガリレイが教授として招聘されたとか、ダンテやペトラルカが居を移して活躍したとかの自慢話もあろう。 また「サンタントニオ教会」はカトリック信者の聖地となっているし「スクロ . . . 本文を読む

「希望ーテルエルの山」「誰がために鐘は鳴る」

2010-12-26 18:36:23 | 舞台はスペイン・ポルトガル
スペインの光と影とは スペイン史を述べる本にはこの国の光と影という表現がよく使われる。確かにいい表現なのだが、こういう情緒的な言葉だけで終わってしまうのは惜しい。もう少し立ち入って考えてみるとどういうことだろう。 スペインは色んな民族に侵入され、色んな文物を持ち込まれ、服従し反発しといった苦難の歴史を持つ。スペイン人はこれといった思想や哲学は生まない、持たない。入り込んできた色々なもの、イスラ . . . 本文を読む

「砂漠のライオン」イタリアの植民地政策

2010-12-26 18:35:49 | 舞台はアフリカ
アラビアのロレンスに匹敵する砂漠の名作。特に主役のアンソニー・クインはアラビアのロレンスのピーター・オットールよりずっといい。又ムッソリーニが出てくる場面が秀逸、以下に見るような後進国イタリアの焦りがよく出ている。 英仏独に比べイタリアは植民地政策で決定的に出遅れる。又工業力、軍事力が育ってないから他の先進国と競合するとすぐ引っ込まざるをえないのだが、それでもかってローマ帝国を作ったという自負も . . . 本文を読む

「怒りの葡萄」「エデンの東」

2010-12-26 18:35:14 | 舞台はアメリカ
スタインベックの代表作2本  理想主義的なウイルソン大統領のリーダーシップで第一次世界大戦を終わらせたアメリカ。 大戦後、空前の経済的繁栄がもたらされ、高度の独占資本が発達し、工業生産も全世界の40%を超え、文句なしの世界一国家となる。電話や自動車の普及、ラジオ、映画ジャズといった独特のアメリカ文化が流行し、摩天楼ビルが繁栄を象徴する。大統領フーヴァーはこれを「永遠の繁栄」と呼んだ。 . . . 本文を読む

イギリスの美しさ100%「炎のランラー」

2010-12-26 18:34:40 | 舞台はイギリス・アイルランド
5月30日NHK衛星放送の炎のランナーは、イギリスの美しさ、栄光をたっぷり味わわせてくれる秀作。 背景となる社会全体に、あるいはストーリの内容に今ほどコマーシャリズムが浸透しておらず、何か落ち着いて鑑賞できるのが嬉しい。1981年アカデミー作品賞。 この映画は見所がいっぱい。色々に楽しめるが、私は、二人の主役オリンピックランナーのうち、ユダヤ系大学生よりスコットランドの宣教師ランナーのほうに関 . . . 本文を読む

「武器よさらば」「ジョニーは戦場へ行った」

2010-12-26 18:34:04 | 舞台はギリシャ・イタリア
第一次世界大戦アメリカ参戦 1、中立を保つアメリカ ヨーロッパで始まった世界大戦に、国家としてのアメリカは何の関係もない。従って中立を保つのは当たり前のように思えるが、そう単純な話ではない。 アメリカは何せ人種の坩堝、個々のアメリカ人はヨーロッパのどこかの国に先祖や親戚を持ち、故郷母国の情勢がどうなっているか無関心でいられない。故郷意識を顕わに出していきり立つ人もいる。政府が中立を守るのは、 . . . 本文を読む

「アラビアのロレンス」英の二枚舌外交

2010-12-26 18:33:33 | 舞台はトルコ・中近東
「アラビアのロレンス」は間違いなく名画。必見を要するが、いったいこれはどこの国の話?アフリカと答えたら落第。アラブと答えても曖昧。サウジアラビアと答えるのが正解だろう。 アラビア半島が歴史に登場するのは、シバの女王とイスラム教教祖のムハンマド。その後イスラム世界の中心はダマスクス、バクダット、イスタンブールと移り、メッカの地は長らく忘れられたまま。オスマントルコは教祖にそれなりの敬意を表して太守を . . . 本文を読む

「十月」「ドクトル・ジパゴ」

2010-12-26 18:33:01 | 舞台はロシア
1、ソ連の存続期間は74年  現在のロシアの前にあったあの大国の正式国名は「ロシア・ソヴィエト社会主義共和国連邦」。これを通常「ソ連」といい続けてきたが、改めて考えると「ソ連」という国名は何かおかしい。 なぜなら「ソヴィエト」はもともとは会議の意味であるが、ロシア革命時に「労働者兵士の協議会」を呼ぶ言葉となり、共産主義的意味が付け加えられる・・・日本流に言えば左翼用語。 「ソ連=労 . . . 本文を読む