百姓通信

自然と素直に向き合い、全身で風を感じて私は百姓しています。
①土づくり②循環型③無農薬・無化学肥料④永続性を大切に!

抗生物質

2006-08-30 22:28:17 | 環境
抗生物質と聞くと、何かすごく効きそうで、何か怖そうな連想をするのは僕だけなのでしょうか。
でも、病気で熱が出てどうしようない時は(風やインフルエンザには直接効果はないようだが・・・)、結構役立ったりするし、1929年イギリスの医学者フレミングによる青カビ(微生物)からのペニシリンの発見を契機に、たくさんの抗生物質が開発され、医療は進化したといわれている。
よく考えると、抗生物質は微生物が生み出した化学物質であり、この化学物質が他の微生物に反応して、育成を阻んだり、死滅させたりする。ということは、僕達が行っている微生物をふんだんに活用した農業にとってこの抗生物質は、結構アブナイものであり、邪魔モノで、悪さをする菌より性質が悪いといえる。具体的にいうと、折角微生物いっぱいの土づくりに成功しても、何かの間違えで抗生物質をたくさん含んだ物質が土壌に入り込むと、すべての菌(善玉、悪玉を問わず)を死滅させてしまう可能性がある。
また最近、この抗生物質に耐えることの出来る菌(『耐性菌』)の出現が、人間の抗生物質の乱用に警鈴を鳴らしている。つまり、多くの抗生物質は、それ以上に耐えられる菌の出現によって、人間の手からまた自然の脅威にさらされることとなり、現在は如何に必要な抗生物質を必要な量だけ、どう適切に使用するかが重要になっているようだ。
難しい話でもあるが、簡単にいうと、人間だけでなく、動物等に多量に用いられた抗生物質は、大量の耐性菌を生み出し、それらが我々の食を侵したり、土壌汚染をおこしたりする。例えば、養殖魚に多量に使用された抗生物質から発生した耐性菌は、海中に多量に発生し、環境は安易に破壊される。人間の独り善がりで何かをたくさん用いると自然界のバランスはいとも簡単に崩れ、取り戻せなくなる、折角自然は自然に治癒する作用を自ら持っているというのに。