暘州通信

日本の山車

00055 村上大祭

2007年06月25日 | 日本の山車
00055 村上大祭
新潟県村上市
西奈弥羽黒神社
祭は七月上旬
山車(おしゃぎり屋臺、俄(仁輪加)屋臺)一三臺を曳く。

□山車
・安良町
曳順九番
本座に松の木をたてる。住吉をあらわす。
見送りは相打つ龍虎。
安永三年の建造。一説に安永二年。
安政三年再建された
棟梁、稲垣又八。又八は有磯周齋の弟。
彫刻の一部は山脇三作(近代の名工といわれる、山脇敏男の祖父)。
囃子屋臺
傘鉾がある。享保十五年庚午(一七三〇)六月吉日とあり、下げ物は能面尽くし。
もこう(水引)は緋の呉呂服(ゴロフク)
ゴロフクは梳き毛織物の一種でオランダ渡り。
裏地は絹の紬。
元文三年の再調。
囃子は二上がりの祇園囃子楽くずし。
「序、破、急」の調和がよいと定評がある。京都より伝えられたという。

・羽黒町
曳順一四番
仁輪加屋臺
本座に茶摘娘が乗る。
村上を象徴する産業の北限の茶村上市は茶栽培の北限とされる。
江戸時代、元和年間村上に茶の栽培が始まる。
文化四年、仁輪加屋臺ができはじめて曳いた記録がある
現在、おしゃぎり屋臺を建造中。

・塩町
曳順六番
しゃぎり屋臺本座人形は猩々。能楽の猩々人形が乗る。
明和七年から三年をかけ建造された。
現存する村上の屋臺では二番目に古い。
天井、勾欄など古い形をとどめている
見送りは亀
日覆い飾り水引、前庇や本座臺の貝尽し。
下段廻り縁の波の彫刻は見事
猩々の人形は文政四年(一八二一)にあらためられた。

・加賀町
曳順一八番
仁輪加屋臺
舌切り雀のおじいさん。岐阜県高山市上一之町の三番叟は以前、、恩雀といい、日本昔話の舌切雀のからくりがあり、翁と名を変え、三番叟に移行している。
文政年間屋臺を保有していた記録がある。
昭和六三年の再建。

・久保多町
曳順一番
大阪市住吉大社の景色を表現しており、太鼓橋、鳥居などの住吉大社が表現されている。住吉大社の屋臺が一番を曳くのは、村上市発展の歴史に関わりがありそうである。
お囃子屋臺
車輪の羽根は七。
寛延三年に花車が出来、文化四年(一八〇四)に建造され、文化九年(一八〇九)に再建されている。
工匠は、細工町の稲垣源左衛門。

・細工町
曳順八番 囃子屋臺。
本座人形は三番叟。
人形は村上藩士の白沢彦左衛門の作。
屋臺は再建で、簡素な能舞台の形式で、能舞臺を模している。初期のものは文化年間にはあったといい、文化八年、曳行中に破損し、修理のため、翌九年には曳かれなかった記録がある。
大正一三年昭和天皇のご成婚を記念し、前の屋臺と同じ形に再建された。
素木造。

・肴町
曳順一二番 しゃぎり屋臺
本座人形は大鯛に乗る恵比須。
肴町は、城主の堀丹後守より肴商いの免許を得ていた。町名もこれにちなむ。
宝歴十年の建造。
現存する村上の屋臺の中では一番古く、天井、勾欄などに古い形が残る。

・寺町
曳順三番
本座人形は仙人の費長房で、鶴に乗り飛翔する。同じ例が長野県小布施町にあり、葛飾北斎記念館に展示されている。
寛政元年(一七八九)の建造で、文化三年に修理が行われている。
『啓齋翁日誌』に、「今日、寺町の仕組車、鳥居前にて清祓いたし、神前へ披露いたし候なり」とある。
仙人「飛鳥坊」とあるのは「費長房」のことである。
勾欄は十二支に因み、
蕪に鼠
波に兎
雪輪に犬


下臺欄間は蟠龍
上がり段の波彫刻
前庇の槌を水車状に配する元禄模様
上段勾欄上の擬宝珠柱は真直。
屋臺全体はやや小ぶりである。

・小国町
曳順一番しゃぎり屋臺
本座人形は二十四孝の孟宗。京都祇園祭の孟宗山をはじめ各地に例が多い。
享保一八年には曳かれた記録があり、安永四年再建された。
本座人形の孟宗は、寛政六年京都で製作されたもの。
平成七年に解体修理が施された。

・小町
曳順五番 しゃぎり屋臺。
本座人形は大黒天。黒い顔の大黒天で親しまれる。
この大黒天は、仏教天部の尊像で、大国主の尊ではない。
組内には、人形が二体あるが、一体は、肩に掛ける
袋が小さく、古い形の大黒天である。
延享はじめまでは、象の飾物の乗る屋臺だったという。
延享二年乙丑の建造。このとき本座人形は「大黒天」になった。
文化二年に再々建造。
工匠は、山脇杢平、香川奥助、塗師、佐藤甚助。
この屋臺にはギャマン、玉が使われていたといわれるが、明治五年九月二〇日の火災で焼失したのが惜しまれる。
火災を免れた天井板、擬宝珠柱、前庇の支えなど今もそのまま使われている。
近年、田端町の細野鋼六により、彫刻や塗装が施された。
現在の屋臺は四代目にあたるという。、
組内の稲垣氏にはいろいろ貴重な資料をいただき懇切な説明をいただいた。誌して謝意を伝えたい。

・庄内町
曳順一五番 仁輪加屋臺
本座人形は忠臣蔵の大石内蔵之助。
元文三年荒馬の乗子の衣装を再製した
はじめにつくられたのは俄屋臺で、文化十年の建造。平成七年に再建されている。
傘鉾と荒馬十四騎があり少年たちが騎馬姿で参加する。

・上町
曳順七番 しゃぎり屋臺
本座には梵鐘がのる、正面に、「羽黒山大権現」の銘がある木製で、、寛永十年の銘がある。同じような作例に富梵は神聖、清浄の意だといい、富山県高岡市関野神社の御車山祭に梵鐘がのる山車が曳かれる。
屋臺の創建は享保五年といわれ、嘉永三年再建された。
工匠は、名工を謳われる有磯周齋で、この屋臺を建造するため町内に越してきたという
下段柱は龍門の瀧、鯉が滝を昇るところを籠彫にする。
日覆飾は図案化された双龍。
古い飾物の梵鐘があり、正面に「諸願成就」内面に「享保五年庚午(一七二〇)六月吉日 村上町大工佐七、大工百五十人 塗師百一人 木挽二十人……」の記録がある。
町内に傘鉾があり傘の上には「倶利加羅明王」がつく。下げ物は、寶鐸、唐扇、巻物、塗籠など。

・上片町
曳順一七番 囃子屋臺
本座人形は天鈿女命。
屋臺の構造はしゃぎり屋臺と同じ形で、以前は仁輪加屋臺だったといい、昭和九年に再建されている。

・泉町
曳順一九番 仁輪加屋臺
二宮金次郎
大正一三年に曳かれた記録が有り、平成四年に再建された。

・大工町
曳順四番 しゃぎり屋臺
本座人形は高砂で祝能に題をとる。
神主が相生の松の精である尉と姥に会い古今の松の神秘を聞く場面。高砂も住吉大社とゆかりがある。
年寛政七年の再建。以前に屋臺があったと伝えられ、
工匠は、稲垣源右衛門、鈴木金右衛門。
棟梁をつとめた稲垣源右衛門は藩の御用大工であった。
彫刻は稲垣八郎兵衛。板垣伊平。
塗師、山中佐七らによる。
内側の見えないところを中刳りし、屋臺を軽くする工夫がなされている。
寛政七年時屋臺を建造したときの記録「寛政六年寅八月吉日 祭禮車普請出入帳」が残る。
旧屋臺は瀬波仲町に売却している。記録に、
「一、金百八拾貫文、車売銭。これは寅八月町内相談の上、瀬波中町へ売り払いこの代銭をもって新車出来つかまつり候」とある。

・大町
曳順二番
本座に諫鼓鳥が乗る。諫鼓鳥が乗る山車は江戸天下祭の一番山で、各地に例が多い。
寛永一〇年は、屋臺の祖型が出来た年と伝えられ、祭礼に曳かれている。
文政六年(一八二三)に再建。
工匠、棟梁は、稲垣治平。
このときの屋臺には、勾欄にギャマンがのっていたという。
諫鼓鳥の太鼓の胴に巻いた緋羅紗には九龍の刺繍が施され、龍の目には玉が使われていた明治五年の火災で焼失し、その後、再建された
棟梁は長井町の高田耕平。

・鍛冶町
曳順一一番 しゃぎり屋臺
本座は 二見浦
寛政四年に建造された
彫刻、色漆、金箔で仕上げられている。

・長井町
曳順一三番 しゃぎり屋臺
本座人形は布袋和尚
村上では唯一のからくりがある。操りを行う人が人形の中に入って操作し、布袋は。首を振り舌を出す。
寛政一二年の建造
天井、日覆いのない露座式の屋臺だったといわれる。
明治元年に再建された。
工匠、棟梁は、高田耕平。

・片町
曳順一六番 囃子屋臺
構造はしゃぎり屋臺と同じ形
以前は仁輪加屋臺だった
昭和八年の再建である。

□汎論
村上藩政期には早い時期に山車が建造されている。肴町の曳順一二番を曳く、 しゃぎり屋臺は宝歴十年の建造といい、村上の山車の中では一番古いといわれるが、記録では享保期までさかのぼる。
山車は、しゃぎり屋臺と俄(仁輪加)屋臺に二大別される。がいずれも屋臺囃子にちなんでいる。全国に「しゃぎり」を行う山車は、岡山県の倉敷市、岐阜県岐阜市なではいまも演奏が行われている。
西奈弥羽黒神社は山形県の羽黒山の分祀であるが、社前の社號石は越前の古社のもので、表面を削って彫りなおしたという伝承がある。
村上市は堆朱(ついしゅ)が特産で、山車にもふんだんに堆黒工芸の優れた技が見られる。富山県氷見市の地蔵組の山車にも優れた技術の堆朱が施されている。相互に関わりがあるかもしれない。
市内には堆朱の店が数件あり立派な工芸品が販売されている。文箱からイヤリングまで、女性にも人気があるようだ。
山車は前後をあおり、蛇行しながら囃子にあわせて優雅に曳かれる。
梅雨明け前にあたるため、しばしば雨に祟られる。川原に用意された駐車場であめのあがるのを待っていたらあっというまに増水し、危うく水没を免れるという椿事があった。

□問い合わせ
村上市商工観光課
電話0254-53-2111

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