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一日一書 296 トタンがセンベイ食べて〈木原光威〉

2014-03-03 09:55:03 | 一日一書

 

木原光威

 

 

中原中也「春の日の夕暮」より

 

トタンがセンベイ食べて

春の日の夕暮は穏かです

アンダースローされた灰が蒼ざめて

春の日の夕暮は静かです

 

 

2014年現日春季書展出品の

木原光威先生の作品です。

 

淡墨で流れる線を書き

その上に、中也の詩を書いています。

 

この詩は、中也のごく初期の作品で

ダダイズムの影響を強く受けた作品として有名です。

昔からこの詩は知っていて、

意味が分からないなあと思いつつ

忘れられない詩でした。

 

今回、木原先生のこのような独創的な表現によって

この詩の魅力が一挙に分かったような気がします。

「分かった」といっては語弊があるかもしれません。

魅力が倍増したと言ったほうがいいでしょう。

 

「意味」が「分かる」ことは

実は、詩にとって本質的なことではない。

言葉がどれだけ魅力的かということこそが本質的です。

その意味で、「言葉」の魅力を、書の表現が倍増しているということは

ほんとうに素晴らしいとしか言いようがありません。

 

この書の細部をゆっくり見ていくと

尽きせぬ楽しみがあります。

どうぞ、ごゆっくり鑑賞ください。

 

 

 

 

 

 

 

 〈作者の了解を得て掲載しています。画像の無断使用・転載はかたくお断り致します。〉 

 


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