プルサーマル計画を憂慮する有志の会

愛媛県伊方発電所3号機におけるプルサーマル発電の問題を考える有志の会です。

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「トリウム溶融塩原子炉」というオルタナティブ

2010年03月25日 | 日記
 プルサーマル計画だけでなく、現行の原発に代わる、新たな選択肢として、古川和夫博士の「トリウム溶融塩原子炉」をご紹介しながら、国益にかなう新たな選択肢となる国策を提示できればと思います。

以下に引用します文章は、パリで行われた第四世代原子力システム国際フォーラム(GIF)における古川氏の発言をまとめたものです。

「トリウムを利用する原発(溶融塩炉原発)は、原子力発電に液体核燃料を使うことにより過酷事故が原理的にありえない安全単純な原発」であり、「最も厄介なプルトニウムと縁が切れ」(ほとんど生成しない)、「ウラン濃縮は必要ない」原発です。

「固体燃料体がないから現状の軽水炉よりはるかに単純な構想(構造?)となり安く発電可能」で、燃料となる「トリウムはウランの数倍存在し独占不能で安価」、「単純な化学処理で燃料増殖リサイクルが可能になり、プルトニウムを含む超ウラン元素類が生産されないから、核廃棄物は大きく減らせる」とのことです。

さらに、「プルトニウムを含む核廃棄物の消滅処理に最適な炉型方式である」上に、「そもそも『トリウム利用』は強い放射能を伴い核兵器向きで無い」ので核兵器への転用が難しいとのことです。

 また氏は、「日米露が共同で基礎開発に取り組めば、基盤技術は整っているので実に僅かの資金と期間で実用化が開始できる。20年もすれば本格利用に入れる」とし、「現在の核エネルギー技術は今世紀前半に終息させ、プルトニウムのない世界を完成させ」、「核兵器の完全廃絶」と「核テロなどに乱されぬ平和世界構築」をビジョンとして述べられています。
* 「核不拡散の新たな枠組みと原子力ビジネスの流れ」への古川博士のコメントもご参照下さい。

氏の提唱されている「トリウム溶融塩原子炉」による核エネルギーシステムでは、現在の原発における多くの問題点、つまり余剰プルトニウム処理の問題と核兵器転用の可能性(核不拡散)、放射性廃棄物の低減と処理の問題が解消されるか大きく軽減されます。また廉価で原発を製造することができ、次世代の基幹産業としてのビジネスチャンスを創生することができ、日本の国益に充分かなっていると言えるでしょう。

原発というマントルの流れを止め得ないのであれば、少なくとも氏の提唱する「トリウム溶融塩原子炉」は、全ての原発を無くす前段階のセカンドベストとなる選択ではないかと思います。

しかしながら、現在「トリウム溶融塩原子炉」は実験炉に留っています。その最大の理由は、「トリウム溶融塩原子炉」では核兵器となるウランやプルトニウムを使わない、ほとんど生成しないということに尽きるかと思います。原爆が作れない原子炉は要らない、というのが当時の選択だったのだと思います。

さらに、原発産業に関わる企業にとっては、ウラン濃縮や核燃料を作るフロントエンド、使用済燃料や放射性廃棄物処理を行うバックエンドでの受注が見込めない「トリウム溶融塩原子炉」は、「うまみのない原発」だったのでしょう。
またプラント建設や電気機器メーカーにとっても、構造が簡単で小型化できる当原発は、儲けがあまりに少なかったのでしょう。

この政治・経済(軍事も含む)システムに乗っかっている以上、5大国を筆頭にした各国の為政者や企業はこのシステムのなかで生き残りをかけ、核抑止と他国への軍事的優位を確保するため、或いは平和目的という名目で原発を保有するという、当然といえば当然の選択を行ったのでしょうが、やはりどこかとても寒々とした、淋しい思いに駆られます。(感傷的過ぎるでしょうか・・・)

現行の原発と比べると、将来の子孫が担う放射性廃棄物という極めてやっかいな負担や、原発をつくるための財政的負担、また作業員の作業時の被爆や原発周辺の過酷事故による放射能汚染の危険性が極めて小さくなる、この「トリウム溶融塩原子炉」が、せめて核廃絶や原発廃絶の橋渡しとして、現行の原子力行政・原子力ビジネスにとって代わることはでいないものかと思案します。

日本の国益を真に考えるならば、次世代の選択肢として、この「トリウム溶融塩原子炉」による核エネルギーシステムを考えないというのは理にかなわないように思われます。少なくとも現行のプルサーマルをはじめとする原子力政策よりも、はるかに多くの課題への回答を持った、国益にかなう「国策」と言えると思うのです。

ただし、様々な利権構造が複雑に絡み合っているこの世界のシステムの中で、この「トリウム溶融塩原子炉」が、今後実用化への道を順調に進むことができるのかどうかは、私には分かりません。(今までも、実用化の道を何度か阻まれているように思います)

また、こうした「トリウム溶融塩原子炉」による核エネルギーシステムの利点が現実のものとなったとしても、私にとっての問題点が消え去るわけではなく、私がこれまで述べ続けてきたこの世界のマントルである、政治・経済(及び軍事)システムの流れが止まり、その問題点が解決されるわけではないのです。根本的な問題は、今も厳然とここにあります・・・

それでもなお、氏の研究と思いは、原発そのもの、この政治・経済(及び軍事)システムそのものに違和感のある私にとってさえ、非常に価値のある業績であり、今後の日本の国策となりうる可能性を持った選択肢だと感じました。

ウラン・プルトニウムによる現在の原発の現実を見据え、そのなかで、科学者として、できうる限りの努力を傾注され続けてきた博士の歩みに敬服するとともに、氏の願いである、プルトニウムのない、核兵器のない世界が実現することを、私も共に祈らせて頂きたいと思いました。


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3 コメント

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純粋すぎる古川理論 (古川ファン)
2010-04-01 21:33:53
古川理論のトリウム熔融塩炉の実現を夢見ている一人です。

この炉の技術的、経済的側面と安全性には何の不安も感じず信じています。
なぜなら私は技術者では無い素人だからかもしれません。

しかし、あなたが言うように政治、経済、軍事的利権が壊れてしまいそうなところが最大の欠点であろうと思います。

古川氏の書籍も読みました。心打たれました。でも今の世の中ではあまりにも、純真で一生懸命でけがれが無さ過ぎると感じました。

真の研究者なのです。

しかし、専門知識も無く力の無い私には協力のような事をするすべがありません。

ただあなたも言っている通り、現在の原発資源を生かしながらフェードアウトさせつつ、トリウム熔融塩炉をフェードインさせられるところが古川理論は素晴らしいと思います。

私は核兵器、プルトニウム反対ではありますが、原発反対ではありません。ですから反対派のように、今すぐヤメロ的な考えはしません。現在の世界構造を一瞬に破壊しようとも考えません。化石燃料はダメ、原子力もダメで原始生活に戻る勇気は私にはありません。しかし私が原子力世紀に生かされた事を喜んでもいません。

あなたや古川氏が言われるように、今世紀の早い時期にウランからトリウムへそして今世紀中には脱原発が完了し22世紀のエネルギーが生まれるように願いつつ、あなたのような技術者の方々の中にトリウム古川理論を広めて下さることに期待しております。
コメント有り難うございます。 (ブログの管理者です。)
2010-04-02 23:04:03
 戴いたコメント、心に非常に響きました。貴方も、博士同様に、純粋過ぎる方のように感じました。

 博士の理論と科学的実績は、私のような門外漢でも、その意義と素晴らしさは理解できます。

 その思いや考えが、主流になるのは難しいように思います。
 ただ、そうした思いを、私のような人間は決して見てみぬ振りをできないのです。

 哀しいさがですね。
もう少しきちんとしたレスをしたかったのですが、申し訳ありません・・・
Unknown (ここ)
2011-06-13 16:38:09
「トリウム溶融塩原子炉」
今回 初めてこんな原発方法が在るのだと知りました。
今の原発だと一度事故が有れば、
放射能汚染で 半径何キロまで 立ち入り禁止に為る原発が国益に 適う筈が無いと想うのですが、それに伴う賠償問題、
あっさり国益が飛んで 無くなる原発はもう要らないです。
これが本音です。
トリウム古川理論が今の原発より安全な原発として 広く世間に 知られると
良いですね。
 


 

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