今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

穴子の日

2011-07-05 | 記念日
日本記念日協会に登録されている今日(7月5日)の記念日に「穴子の日」があった。
記念日の由来を見ると、“ ビタミンAやカルシウムが豊富で夏バテに効果的とされる穴子。その栄養素や美味しさを広く知ってもらおうと、穴子のトップシェアを誇る大阪に本社を置く株式会社グリーンフーズ(※1)が制定”とある。“日付は夏が穴子がもっとも美味しい時季とされ、7と5で穴子の「なご」の語呂合わせになることから。土用の丑の日のうなぎに続き、夏の味覚の定番となるように全国にPRをする。”・・・ことが目的だそうだ。
穴子の業界の売上ランキングのことなど私にはよく判らないが、同社の有価証券報告書などを見ているといつも「トップシェアを誇るアナゴ」と書かれているので、そうなのであろう。
夏の味覚で、東の横綱が土用の丑ウナギ(鰻)なら、西の横綱と言えばハモ(鱧)である。ハモはタイ(鯛)やスズキ(鱸)と並ぶ高級な白身。真っ白なハモの身は、淡泊のようでいて濃厚、その味わいも奥が深い。 関西とくに京都では他の魚など足元にも及ばぬ別格扱い 。山鉾巡行の京都・祇園祭には、鱧料理を食べるならわしがあり「鱧祭り」ともいわれる。7月下旬の大阪・天神祭も、同じ理由で「鱧祭り」と呼ばれる。夏の京都、大阪にハモは欠かせないものなのである。
私の住んでいる神戸でも、特に祭りとは関係がないが、夏にはよくハモを食べる。ウナギと違って、脂が多いのに、あっさりと淡泊で、関西人好みの味である。神戸の人もどちらかと言うと淡白な味付けを好む。
ただ、神戸では昔からハモ以上にアナゴ(穴子、海鰻)をよく食べる。土曜でも余りウナギなど食べなかった。
1883(明治16)年京都生まれ(1959年=昭和34年没)の、篆刻家・画家・陶芸家・書道家・漆芸家・料理家にして美食家としても有名な北大路 魯山人の『鱧・穴子・鰻の茶漬け』(参考※3:「青空文庫」を参照)は、魯山人の大好きなお茶漬けの話の中に、「茶漬けの中でも、もっとも美味(うま)いもののひとつに、はもの茶漬けがある。・(中略)・・東京ではもを求めるには関西風の一流の料理屋によって求めるよりほか仕方があるまい。・・(中略)・・東京近海で獲れるはもは、肉がベタベタして論にならぬ。そこで、代用品というのも当たらないかも知れないが、あなごとか、うなぎとかが同じ用に役立つ。」として続いて、アナゴに関して以下のように書かれている。
「「あなごもいろいろ種類があって、羽田、大森に産する本場ものでなくては美味くない。これも茶漬けにするには、その焼き方を関西風にならうがいい。東京のうなぎのたれのように甘いたれではくどくて駄目だ。京阪でうなぎに使うような醤油に付けて焼くのがいい。それを茶漬けにするには、細かくざくざくに切り、適宜(てきぎ)に熱飯(あつめし)の上に載せ、例のように醤油をかけて茶をかける。
 これも、ややはもに似た風味があって美味い。しかし、はもと違って、あなごでもうなぎでも少々臭(くさ)みがあるから、すりしょうが、または粉山椒を、茶をかける前に、箸の先にちょっと付けるくらい入れた方がいい。
 あなごの美味いのは、堺近海が有名だ。東京のはいいといっても、関西ものに較べて調子が違う。焼くには堺近海のがよく、煮るとか、てんぷらとかには東京のがいい。」・・・と。
鰻茶漬けでもそうだが、茶漬けは湯又茶をかけて食べるのが普通であり、当然、蒲焼にするものよりも、より鮮度・品質の良いものが要求される。茶漬けの好きな魯山人も言っているように、そんな茶漬けの素材として、当然にハモ、アナゴが、ウナギに勝っているが、ハモだけでなくアナゴも関東のものより関西のものが良い。
関東では煮アナゴが好まれるようだが、関西では焼きアナゴが好まれる。焼き穴子は関西から瀬戸内海域にかけてよく見られるもの。瀬戸内海での「穴子飯」はこれをのせたもの。大きいものは干物にする。やや乾き加減にして香ばしく焼き上げる。アナゴの持ち味を生かすも殺すもこの焼き方にあるとさえ言われている。
アナゴ(穴子、海鰻)類は、ウナギやハモ、ウツボ(鱓)などと同じ、ウナギ目という大きなグループに属し、その中で更に、アナゴ科というグループにまとめられている魚類の総称である。アナゴ科には、マアナゴ、ゴテンアナゴ、ギンアナゴ、クロアナゴ、キリアナゴ、チンアナゴなど多くの種類がいるが、日本で一般に「アナゴ」といえば、食用に美味なクロアナゴ属に属するマアナゴのことを指している(※1の「あなご通」のページのあなご図鑑参照)。
アナゴ科の魚は世界の熱帯から温帯域にかけて広く分布しているが、日本では、種類によって異なるが、多くは南日本を中心に分布しており、近隣の朝鮮半島東シナ海にも見られる。
アナゴは、海水と淡水が混じりあう内湾の砂泥地に好んで生息するが、瀬戸内海には多くのアナゴ類が生息し、日本一のアナゴの産地でもあるが、食の代表的なアナゴであるマアナゴも瀬戸内海に特に多く全域に分布している。
瀬戸内海は岩礁から砂泥域まで海底地形の変化に富んでおり、平均水深も浅く、餌生物が多いなどアナゴ類にとっては生息に適した条件がよく揃っているからだ。
兵庫県の特に加古川の河口部あたりが高級な穴子の産地として有名である。美味しいアナゴは魯山人も言っているように関東では、江戸前(東京湾)、関西では堺近海でも獲れるが、こういう環境で獲れるアナゴは決して大きくはないが、身が肥えてずんぐりとした頭が小さく短いのが特徴で、ウナギほどではないが脂も乗っている。
かって、アナゴは庶民の食べ物として存在していた。だから、私など、昭和30年代の初めに大阪の商社で仕事をするようになり、昼食時に先輩に「マムシ」を食べさせてやる・・・といわれ、その「マムシ」と呼ばれているものがヘビではなく「ウナギ」の蒲焼のことであったのを知らずにびくびくして食べ大笑いされたことがあったが、子供の頃からその時まで、ウナギなど食べていなかったのである。兎に角、子供の頃から、蒲焼も丼もアナゴが食材に使われており、ハレの日などによく作られた穴子の押し寿司や散らし寿司は、今でも私の大好物の1つである。
しかし、この頃はウナギよりも穴子の方が高くなり、品質の良いものになるとなかなか普段は高くて買えない状況になってきた。それでも、あり難いことに、夏になると姻戚から毎年決まったように高級な穴子をお中元で貰っていた。それは、明石市に本社を置く大善のアナゴだった。
神戸に住む者にとっては、地元でアナゴの店と言えば明石の「大善」か、高砂の下村商店であった。特に下村商店はその店の名を聞いただけで高級なアナゴを思い浮かべるほどに、知る人は知る店であり、大善よりも一寸格上扱いで、進物などには特に後者が喜ばれていたが、どちらも100年以上の歴史を誇る店であり、「大善」も地元で獲れた良いアナゴを扱っていた店であった。
私の家に中元として贈ってくれている人のご主人が、大善の経営者と深い関わりのある人であり、その奥さんが、大善のお店から忙しいから手伝ってくれと頼まれ、そこで仕事を手伝っていた関係で、そこの店で高級な品が割安に買えたこともあり、ネームバリューは「下村商店」に及ばないが、そのことは承知の上で、そこの品質の良いアナゴを多く贈ってくれていたのである。実際に使う者としてはその方が大助かりであった。
しかし、その「あなごの大善」として知られていたアナゴ加工・販売会社・大善が倒産(平成19年10月上旬事業 停止・自己破産申請)してしまった為、それ以降、お中元でここのアナゴを贈ってもらえなくなったのが残念で仕方がない。
大善は、自店での販売だけでなく、百貨店やスーパーへの卸販売にも進出して売り上げを伸ばしてきたが、1995(平成7)年の阪神・淡路大震災の影響や消費者の嗜好の変化で、売り上げが減少し、2007(平成19)年3月期には、好調であった震災前の1994(平成6)年3月期の45%%程度の販売額にまで落ち込んでいた。そして、2007(平成19)年に入り、中国産の輸入食品問題(中国産食品の安全性参照)もあり、当時では取扱量の85%を占めていた輸入アナゴが敬遠された事が大きく経営に響いた。だから、倒産の主要因は、主要取引先の強い要望に応えるため、生産のための過剰設備をしたことと、素材供給を韓国から中国に全面的に乗り換えたことにあり、経営のやり方や管理面に甘さはあったものの、商品に問題があったわけではない(※2参照)。また、焼きアナゴの名を全国的に広めた功績は大きいだろう。
このような、大手の店がデパートやスーパーなど量販店に卸したりしているなか、「下村商店」は地元の商材とローカルな味にこだわって現在も頑張っているようだ。ちなみに「下村商店」のある高砂市は、加古川の河口部西側に形成された三角州地域にある。
高砂の下村商店はここを参照 ⇒。高砂市 下村商店
ただネットで検索していると、最近は下村と名のつくアナゴの店が高砂の下村商店以外に3店あったが、これが、高砂の下村商店と関係があるのか無いのかを私はよく知らない。以下参照。
下村(本店、大丸神戸店、北野町に下村あなご亭がある)
http://www.anago.co.jp/
下村商店明石市松江店
http://r.tabelog.com/hyogo/A2804/A280401/28002433/
加古川市加古川町平野
http://www.anago-simomura.jp/index.htm
又、明石へも最近は余り行かないし、大善が完全にアナゴの店から撤退し、全く小売店や料理店もやっていないのか、また細々とやっているのかといったことは聞いてもいないので良く判らないが、ネットを検索していると、三宮センタープラザ西館、地下の三宮市場にある「穴子料理 大善」が明石の大善の関係者による店だという口コミ情報が書かれていた。以下参照。
あなご料理 大善
http://r.tabelog.com/hyogo/A2801/A280101/28000610/
アナゴ類の多くは沿岸から内陸湾の水深100m以浅にみられ、昼間は海底の岩などの物陰に隠れたり、砂や泥の中にもぐって身をひそめ、巣穴から頭だけ、もしくは半身を海中に乗り出している。和名の「穴子」はこの生態に由来する。和名「海鰻」は、その形状がウナギに似ているからだが、神戸生まれで、海まで歩いてゆけるところに住んでいた私など、子供の頃は、夏になると毎日朝から晩まで海で過ごしていたが、沖に出て、ヤス(簎・矠。参照)など持って、浅瀬に潜って魚など追っかけまわしていると、砂地から頭だけ出している生物をよく見たが、そのころは知識がなくそれを海蛇と勘違いなどして驚いたものだが、それアナゴだったのであろう。アナゴは、夜になると、活動を始め、餌を求めて海底付近を這うように泳ぎ回っているそうだ。
このマアナゴのレプトケファルス幼生と呼ばれる特異な形をした仔魚(しぎょ)が、春季に日本沿岸の各地に出現し、変体後に、甲殻類や魚類などの動物を捕食しながら成長する。
オス(雄)よりもメス(雌)の方が寿命が長く、成長が良く、体表は褐色で側線上に白い点線が並び、体長はオスは40cm前後、メスは7年で90㎝前後にも達するという。しかし3~5年で成熟すると考えられているようだが、産卵直前のメスや産卵された卵は、まだ見つかっておらず、産卵場やレプトケファルスの初期生態などについては、ウナギ以上に謎が多く、未だその全容はよくわからないものの、仔魚の日齢(生まれてからの日数)や各地の出現時期の違いなど、これまでの研究成果から、マアナゴの産卵場所は、ウナギと同様に、日本からはるかに離れた南方の海(南西諸島周辺海域、また、東シナ海など)へ産卵回遊を行い、そこで、孵化(ふか)したレプトケファルスが黒潮に乗って日本沿岸へ運ばれて来るのではないかと推定されているようだ。
又、マアナゴの性比には場所によって著しい隔たりがあり、東北海域で漁獲されるマアナゴの殆どがオスであり、同様の現象は渥美半島太平洋岸からも報告されているが、内湾の松島湾に生息する小型魚は1:1であることが明らかになっており、内海から外海に移出する際にオスはメスの分布域とは異なる海域に移動することが示唆されており、余計にその生態解明を複雑にしているようである。
レプトケファルスとは「小さな頭」と言う意味だそうで、その名の通り、頭は小さく、体は透明で平たいリボン状をしており、全体の形が柳の葉に似ていることから「葉型仔魚」とも呼ばれている。その特異な形は、海中でふわふわと良く浮いて、潮流などに運ばれやすくするための工夫ではないかと考えられているようだ(※4、※5)。
この小さな半透明のシラウオ(白魚)を大きくしたような葉形仔魚は、春先シラス漁や小鰯の網などで大量に混獲されるが、一般には食用にされないが特に高知県などでは、春の風物珍味として、これを「のれそれ」と称して賞味される。これは、主に生のまま土佐酢、三杯酢などにくぐらせて、躍り食いにされることが多い。
近年は流通も発達しており、大阪など近郊都市の料理屋などでも「のれそれ」(※6)と呼ばれるが、兵庫県淡路島では「ハナタレ」(洟垂れ)、岡山県では「ベラタ」、東海地方では「ベロ」などと呼ばれているそうだが、何故そのような呼び方をされるのかは知らない。又、私はシロウオの踊り食いはしたことがあるが、「のれそれ」は食べたことが無いが、味覚としては同じようなものであろう。
ただ、輸入物のアナゴが減ってきた上に、瀬戸内海のアナゴはここ数年来不漁続きであったが、3年ほど前からは特に漁獲量が激減し、危機的な状況にあるようだ。
その半面、福島や宮城での漁獲はさほど落ち込んでいないようだが、その原因を専門家の間では海水温の上昇をあげている。
アナゴは台湾や南西諸島近辺で産卵し、その仔魚(レプトケファルス)が黒潮に乗って日本近海にやってくることは先にも述べたが、その際、親潮より冷たい水を好んで沿岸に定着するが、西日本の海が温暖化して、アナゴの仔魚が従来より北で定着するようになったためだろうという。また、アナゴと同じく夜行性のハモによるアナゴの捕食が追い打ちを掛けている面もあるという(※7)。
そういえば、最近、スーパーの店頭を見ても、ハモはあってもアナゴの品揃えが激減しており、今まで、色々な料理にアナゴを使っていた地元民としては非常に寂しい思いである。
今までアナゴは天然ものに頼っていたが、養殖の技術力を向上させ、早く、安定して、安く美味しいアナゴを食べれるようにして欲しいものだ。

(画像はマアナゴ。Wikipediaより)
参考:
※1:株式会社グリーンフーズ
http://www.greenfoods.co.jp/
※2:青空文庫:作家別作品リスト:北大路 魯山人
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person1403.html
※3:加古川水産㈱のおさかな情報:大善焼きあなご 百余年の歴史に幕
http://kakosui.exblog.jp/6576484/
※4:マアナゴの生態について
http://www.anago-uocho.com/anago_seitai.pdf#search='マアナゴ漁業資源研究会'
※5:平成15年度 「マアナゴ資源と漁業の現状(概要版)」 - 日本水産資源保護協会(Adobe PDF)
http://www.fish-jfrca.jp/03/pdf/env_rec_inf/suisangyo_h15.pdf#search='マアナゴ漁業資源研会'
※6:のれそれ(ノレソレ)
http://www.tosakatsuo.com/noresore.html
※7:asahi.com(朝日新聞社):アナゴ激減!庶民の魚、高級魚に 瀬戸内の郷土食危機
http://www.asahi.com/food/news/SEB200808260011.html
兵庫県瀬戸内海海域小型底びき網漁業包括的資源回復計画[PDF]
http://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_keikaku/pdf/hyougo_kosoko.pdf
兵庫県の漁業
http://web.pref.hyogo.jp/af18/af18_000000001.html#h03
わくわく海のご馳走ねっと 
http://park5.wakwak.com/~osakana.net/index.html
アナゴ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%82%B4
日本記念日協会
http://www.kinenbi.gr.jp/index2.html
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