バブル

バブルだと思った。僕にはずっと長く付き合った彼女がいなかった。数ヶ月すると別れることを繰り返していた。それほど悩んでいなかったが、一つだけ気がついたことは、「本当に人を好きになっているわけじゃないんだな」ってことだった。それがある日、彼女に出会って、付き合い始めるようになると、僕は頭のてっぺんから足の先まで彼女に惚れ込んでいたのだった。
そして、結婚・出産・家の購入・・・。一連の人生での出来事が29歳までに一区切り付いた。惚れ込んで結婚した彼女とも、色々あってその当時程の感情は無いにしろ、それでも今でも、彼女に感謝と愛情を感じることは事実。

ただ、僕にとっては、バブルなんじゃないかって思う。僕の一生は本当にダラしなく、怠惰にすごしてきた。不良じゃなかったし、優等生でもなかった。だからといって普通に学生生活を送っていたわけでもなかった。自分の思いに少し忠実だっただけだった。高校生の頃に、体育祭に出たことは無かったし、授業もサボった。でも、制服はきちんと着ていた。外から見たら、中途半端だったろう。
僕は、いまだに自分の行き方を振り返ると、この現在の状況ができすぎているように思える。周りから見たら、たいしたことは無いかもしれないが、自分の過去から考えると、ここまで来てしまった自分に何か「ズレ」を感じるのだった。不幸せではない、ただ、いい加減な部分がすっごく残っている僕にとって、今の状況は、実態からかけ離れている「バブル」な状態だと思うのだった。

あぁ・・・。なぜこうなったのだろう。将来のことなんて、ほっとんど考えたことなんてないし、収入のことや、仕事のこと、将来の安定、etc...そういうことは、殆ど考えたことが無い。今だってそうだ。収入を上げるということに対して、全然、真剣になれない。もっと面白いことは無いか・・・。
チャールズ・ブコウスキーの小説ではないけど、割といい加減な人生になっていたように思う。いまだに何か衝撃があれば、僕のこの『バブル』だって、あっという間に割れてしまい、そのまま何処か誰も知らない場所まで飛ばされてしまう気がする。
この割と平和な生活を望んでないといえばウソになるが、でも、この数年間、なんとなくしっくり着ていないという事実は自分の腹のそこに渦巻いている。

楽しいと思えることを探さずに、素直にあげようとしても、何も思いつかない。今、楽しいと思えることは、なんだろう・・・。一ついえるのは、普通にサラリーマンをし続けられるほど、僕は堪え性が無い気がするので、投資の勉強をしているのだ。そして、不労所得ができたら、自分が好きで続けてきた「物書き」（ここで書いているものがすべてではないので。）をして気ままに暮らしたい。
そう思う事と、妻と子供のこと意外については、驚くほど実感が無いのだ。

こういうことが鮮明になると誰かに助けてほしいって思う。けど、セックスでは、もうだめだった。セックスではこの感情を忘れることができなくなってきている。セックスすることで逃げていたのに、最近逃げ切れない自分を感じる。まざまざと自分の気持ちを受け止めなくてはいけないことが、余計に「バブル」だった自分の人生の数年を思い起こされる。

本当に普通の生活すら望めないと思っていたから、今の状況・・・にたまに困惑するのだ。