秀明記(syuumeiki)

着物デザイナーが日々感じたこと、
全国旅(催事)で出会った人たちとのエピソードなど・・・
つれずれなるままに。

台風も通過して。

2011年09月21日 16時02分07秒 | Weblog

 京都は昼すぎに台風が通りすぎていった様子です。というか今回は台風というより普段
より長めに大雨が降った感じですね、京都市内の場合。

大地震や風水害の被害も少ない京都はさすが王城の地、四神に守られた都、なんてこと
言う人もいるけど、そんなコト言ってると今に酷い目に会うんじゃないか、と心配してます。

とうぜん、長い歴史の中では大地震で大きな被害を受けたり、火災や戦災(二次大戦と違い
ますよ~)水害で壊滅状態に陥ったことは何度かあるんですけどね。

たとえば鴨川の近くで、法の名がつく寺が多いのは三水偏(水)が去るように願ったからだ、
というお話もあります。傲慢不遜の法皇ですら頭を悩ましたほどですからね。

しかし、、五重の塔を眺めつつ思うんですけど、よくまあ、アレだけ古い建造物が地震や台風
で倒れもせず残っているもんだ、と・・。(落雷による火災は別として)

それは五重の塔を構成する1000ほどの木造の各部材が、原則的に釘やボルトを使用せず、
ただ差し込んだりはめ込んだりする、柔構造であるからだ、と、ものの本には書かれております。

脳みそだけが柔構造のワタクシには分かったような分からんような話ですが、驚くのは設計書
もなしに、あの塔を造りあげた先人の技術です。

いわば、勘と経験で千年以上(現在の五重の塔は1644年建立)絶えられる建築物を造りあげ
たのは、棟梁の采配もありますが、それを組あげた大工の技術です。

そしてその職人の求める素材を丹念に造りだすことのできた職人のワザがあってこそ、です。

今は家も工場で組み立てられて、運ばれてくる時代です。これって本当に技術の進歩といえる
んでしょうかね。今にカンナの使えない大工、なんて出てくるのかも知れませんナ。