秀明記(syuumeiki)

着物デザイナーが日々感じたこと、
全国旅(催事)で出会った人たちとのエピソードなど・・・
つれずれなるままに。

友禅中興の祖。

2009年05月14日 11時02分07秒 | 着物話
暇をみつけては「宮崎友禅斎」を追いかけていますが、相変わらず、というか
探せば探すほど迷宮の森に迷いこんでいきます。

文字だけでも友禅、友泉、祐仙、幽禅etc,etc・・・・。

大正年間に友禅斎の研究書は数冊出版されていますが、出生地等も諸説あって
結局謎は解かれていません。

まぁ、急ぐことも無いし、ボチボチいきますか。

京友禅といえば「友禅斎」と、もう一人忘れてならない人が「広瀬治助」。

この方は明治(生まれは幕末)に活躍されたもんで資料は沢山残されています。

友禅染めといえば、今でも筆や刷毛を使った手描き(手挿し)が本流ですが、
刷り(写し)友禅の開発によって飛躍的発展をとげたと言っても過言ではありません。

その「写し友禅」を発明開発されたのが「広瀬治助」です。

治助さんは「挿し友禅」の名人としても京の老舗店で活躍されていましたが、
科学染料の色使いに魅了され、やがて老舗店と意見の相違から店を飛び出し、
独自の研究を重ね、ついに「写し友禅」を完成させたのであります。

かなり豪放磊落な人で、支払い日には壺に入れた金を玄関に置いておき、集金人
は勝手にその壺に手を突っ込んで金を持ち帰ったそうです。

また、鴛鴦の注文を受けた際には庭に泉水を掘り、鴛鴦を三番い放ち観察するほど
の研究熱心な人だったとか。

「片羽刷毛」も治助さんが考案されたとは、ワタクシ知りませんでした。

繊細な暈し(ぼかし)に使用するこの刷毛、手描き職人には必要不可欠な道具です。

豪放な性格が祟って晩年は莫大な借金を残されたそうですが、治助さんの考案
された「片羽刷毛」は今でも染色の仕事場で活躍しています。

(写真は平刷毛と丸刷毛)