「夕映えの天使」を読んだ。

六編の短編集。

その中の一編「夕映えの天使」は身元も本名も不明なまま、自殺した女性。

物語ではすでに亡くなってしまっていて、女性を回想する。

素晴らしい女性だった、そこにはその女性が素敵で、過去も身元も名前も何も不明でも、人の価値には支障がないってこと、人として一番大切なことを知らせてくれる物語だ。

しかし、自殺した理由、男たちから姿を消した理由、彼女の脳裏が知りたい。

とても切ない気持ちになった。


先日、中野坂上の交差点で、信号待ちをしている女性がいた。

その人を見たときに、夕映えの天使の女性と重なった。

決して美人でなく、四十歳ほどで、地味な服装、少しふっくらとしていて、とても暖かい笑顔だった。