あふりかのふりかけ

井上陽介によるアフリカ滞在記。
2005年4月より半年間にわたり訪れたカメルーンでの日々の日記です。

そこにあなたがいきているから

2005-08-05 18:59:59 | myself
この旅の間、私にはしなくてはいけないことがひとつ、あった。

実は、9月以降、二つの団体からいいおはなしをいただいていたので、
どちらの団体にお願いするか、決めなければいけなかったのだ。

本来ならば、まことに失礼な話で、
筋を通して、ひとつひとつお話をさしていただくべきなのだが、
事態が事態なだけに、私のわがままを許していただいた。
本当に感謝しても仕切れない。

さて、本題に戻ろう。

ひとつは貧困問題に対するキャンペーンのインターンであった。

このなんともまぁ、抽象的なインターンに私はどうしても自信が持てなかった。
というのも、私自身が“貧困が何であるか”ということを理解していなければ、
他人に対してキャンペーンを行うことが出来るわけはないからだ。

方法論なんて、別にインターンとして働き始めてから学んだって遅くない。
なければいけないのは、ツタエルモノ。ツタエルオモイ。
それを胸のどこかに灯すことが出来ない限りは、
このインターンはできないと思った。

もうひとつは事務局インターンだった。
NGOの運営を知る上では願ってもないチャンスであった。
しかも、その団体は営利と非営利を組み合わせるという、
まさに私がやりたいことをやっている団体で、
なんというチャンス。
まぁ、何よりも応対してくださった職員の方の親切さが一番心にしみたのだが。

とにかく、ラッキーなんだか、アンラッキーなんだか、
複雑な思いをしながら、とにかくペンディングにしてもらって、
旅の道中で考えさせてもらうことにした。



旅を続けていくにつれ、たくさんの人に出会い、
たくさんの人の生活を垣間見た。

レストランでこちらをちらちら見ながら食事をする男。
ろうあ者の学校を作ろうと資金集めをする女。
バイクの兄ちゃん。
バスの停留所で親切にもいろいろ教えてくれるおじさん。
へんちくりんな英語で話してくる気のいいムスリムのおっさん。
何となくいとこの女の子に似ている女の子。

直接話さなくても、バスから見た――
たくさんの家々。
たくさんの木々、水、風、におい。
ヤギを追っかける少女。
水を汲む子どもたち。
ナッツを売るためにバスの中に手を突っ込んでくる少年。
人生初めてのへんちくりんな人種に驚いて、手を振ってくる子どもたち。
手を振ると子どもみたいに喜んで手を振ってくれるおじさん、おばさん。
手を振ってもブスっとしているおじさん。

みんなみんないきている。
今この瞬間もいきている。
貧困の問題とは違うように聞こえるとは思うけど、
でも、人が改めて好きになったって言うか、
すごい世界に生きていることに気がついてしまったと言うか。

多分、これを読んでくださっている人のほとんどは私が何を言っているか分からないと思うけど、
それでも、何だか私の中に灯ったひとつの答え。
言語化するのは不可能だから、だからこそ、大切にしたいこの想い。
きっとどこかでつながっている。


ということで、帰国次第、Oxfam Japanのインターンとして
働かせていただくことになりました。
という報告でした。

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