On楽工房奮戦記byよっさん@アコギ

わたしの音楽活動、楽器、PA、読書についての勉強を綴ります。

レッツ オペレート!(ミキサーの仕組み1、信号の流れをコントロール)

2009年07月16日 | PA勉強会
それでは場所を変えて、オペレート席に座ってみましょう。

セッティング編でもふれましたが、オペレートというのは演奏者から得られた個々の信号、及びCDやエフェクト機材からの信号をまとめ、それを実際にミキシング(バランスを決めて混ぜ合わせ)してスピーカーに出す作業になります。大きく言えばバランスと音量の操作になります。

ミキサーを触る時にまず面食らうのが、つまみ類の数の多さですよね。もう何がなんだかわからん。

こういった感想を持つのは当たり前なんですが、ミキサーを部位ごとに分けることですっきりわかりやすくなります。

ではヤマハのMG16を分解してみましょう。

上面写真です。


覚えなければならないセクションは4つ。


左からモノラルチャンネルセクション/ステレオチャンネルセクション/エフェクタ/マスターセクションです。このうちモノラルセクションとステレオセクションはほぼ同じですので、覚えるのは入力系で1つだけ、エフェクト系で1つだけ、そして最後にまとめるマスターを覚えればすみます。

モノラルセクションは赤い部分ですが、その右は全く同じ内容の縦長のものが並んでいるだけで、ステレオセクションも同じです。エフェクトセクションは、この機種独特の内蔵型エフェクタですから使わずにすむことも多いです。

では1つ1つ見てきましょう。

まずは大きな流れの理解です。ミキサーの複雑であることの原因は

◎複数の信号が同時に入ってくる。

◎複数の信号が同時に出て行く

ということですね。家のステレオではこんな事無いですから。

複数入力で複数出力である機械を操作するのに最もわかりやすい方法は何でしょうか?それは下記のように考えることです。



それぞれの信号線に、交差点を造ってやります。たとえば1から入ってAにいく道すじ、3から入ってDに行く道筋など、どのような組み合わせでもokですよね。

そしてそれぞれの交差点に番号をつけ、そこにボリューム(黒丸)を付けてやります。



それぞれのボリュームの意味を考えましょう。

たとえば1-Aは、1から入ってきた信号を、出力Aにどれだけ流すかを決められますね。3-Cは、3から入ってきた信号を、出力Cにどれだけ流すかを決めることができます。
入力信号は上から下へ流れていき、出力信号は右へ流れていきます。これを頭の中で十分にイメージしてください。

ここまで理解できましたら、この図を実際にミキサーに当てはめますよ。



それぞれの黒丸の部分にはAUX1とかAUX2、EFFECT,STなどという名前が付けられました。一番下の黒丸は、操作しやすいようにスライド式にしました。それ以外は回転式のボリュームですが、全く意味は同じです。

出力関連は、AUX1~2はフォールドバック信号で、ステージモニターへ。STは客席向けの信号(FOH;フロントオブハウス)へ、出て行きます。

またEFFECT出力は内蔵のエフェクター機材(響きなどを作り出します)のセクションへ入っていきます。ミキサーによっては内蔵していない事がありますので、これはこのまま外部にあるエフェクターへとい出て行くことになります。

これを実際のミキサー面で見ると



さて、例として5chの入力信号を、FB-2へ少し大きく出す為にはどこを触れば良いか、と聞かれて、すぐに分かりますか?

以上が複数信号を取り込んで複数出力を出すミキサーの、個別の音量操作を行う部分です。これらを理解すれば、客席向け信号と、フォールドバック信号(ステージモニター)の信号のバランスが別々に作り出せることが分かると思います。たとえばFB-1にはベースの音を大きめにし、あと少しピアノだけ載せ、ドラムス信号は載せずに鳴らすというような事ができますね。FB-2には逆にピアノを十分に入れて、あとベースを少しいれ、ピアノ奏者にピアノが聞こえやすくなるようにしてあげるわけです。そしてもちろんFOH(ミキサーでいうとST、メインミックスともいう)にはドラムもピアノもベースも全部入れて、お客さんに心地よいJAZZトリオの音が聞こえるようにバランスをつくります。ミキサーの一番下の部分がスライド式になっているのは、微妙な調整がしやすいという理由です。これを(スライド)フェーダーと呼んでいます。


さて、この出力信号の流れの最後にはマスターセクションがあります。これは各chごとのボリュームで混ぜられた音を最終的に「音量ボリューム」として1つの操作で上げ下げできるようにしてあるのです。たとえばFOHへの信号が作られたとしてもそれを全体的に一度に上げ下げ出来るつまみがないので、マスターセクションに最終ボリューム調整機構があるのです。音をさっとしぼってしまうことも可能になりますし、元のバランスを保ったまま音量の上げ下げができますので便利ですよね。

そう考えると、個別のチャンネルにあるフェーダーやAUXセンドつまみはバランス調整用、マスターセクションのフェーダーとAUXセンドつまみはボリューム用と考えればよりわかりやすいかもしれません。


さて、マスターのボリューム調整部はミキサー上では下記の部分です。これがそれぞれの横のラインの最終ボリュームとなります。各chセクションでいくらボリュームを上げてもここが絞りきってあると全く外には出て行きませんよ。





なお、ミキサーというのは汎用性を持たせた設計をしているので、このAUXはステージモニターには、確かに使いますが名前は「補助出力」です。ですのでマスターセクションの最終ボリュームもAUXセンドという名前になっています。送りという意味です。ミキサーのAUXにはセンドとリターンがあります。リターンは補助入力ですので混同しないようにしましょう。

なぜセンドとかリターンって名前になってるかというと、レコーディングスタジオ等ではこのAUXは通常エフェクターに送られるのにつかわれ(センド)、エフェクターから帰ってきた信号をリターンに入れるからなんです。ライブPAではこのリターン部分は殆ど使われないと思います。

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3 コメント

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これは (fujitone)
2009-07-18 03:20:09
すごくわかりやすい説明ですね。
学生の時文化祭の舞台を作るのにPAを触れる人間がいなくて一晩がかりで卓の信号の流れを追ってなんとか設営したものですが、その時得た何となくの知識がようやくきちんとしたものになりました。

AUXの使い方ですが、僕は宅録をする際でも出力を振り分けるために使っています^^

熟読してより理解したいと思います。
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いろいろに (よっさん@アコギ)
2009-07-18 08:55:06
fujitoneさんは学際のときにPAの経験をされたのですね。
卓はとにかくいろんな場面に対応出来るように設計してあって、ライブには使わない部分も多くあります。宅禄されるかたも卓の全ての機能を知っておく方がなにかと役に立つと思いますよ。
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ありがとうございます。 (fujitone)
2009-07-18 20:09:35
昨日は出先で携帯から読んでいたのですが、今帰ってきてから改めて読み直しております。
最近ミキサーを色々触って疑問が沢山出ていたのですが、それらがほとんど解決しました!
これらの記事はプリントアウトしてミキサーの前の壁に貼り付けておきます。
それでは残りの記事もよろしくお願いしますm(__)m
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