中国最大のタブー「八九六四」 天安門事件

2018-07-05 12:24:00 | 日記
 産経ニュース2018.07.05から引用させていただきます。 
【銀幕裏の声】「もう二度と取材できない…」天安門事件最後の証言、ノンフィクション「八九六四」
http://www.sankei.com/west/news/180705/wst1807050001-n1.html

 「今後、もう二度とこの取材はできないでしょう」。中国・北京市で1989年に起きた天安門事件を題材にしたノンフィクション「八九六四(はちきゅうろくよん) 『天安門事件』は再び起きるか」(KADOKAWA)を刊行したノンフィクション作家、安田峰俊さんは言う。この言葉は決して大げさではない。同事件を描いた2006年の中国映画「天安門、恋人たち」はいまだに中国で上映禁止。中国人監督のロウ・イエは国内での映画製作を5年間禁じられたのだ。現在も中国では“八九六四”という数字は最大のタブーだと安田さんは言う。

■「八九六四」の重み
 1989年6月4日、民主化を求める学生や市民が北京市の天安門広場に集結。これを中国人民解放軍が武力で鎮圧し、多数の死傷者を出した天安門事件から29年が過ぎた。
 デモに集まった一般市民が戦車に轢(ひ)かれる様子を表したとされるニュース映像は世界中に衝撃を与えた。最近、公表された英国の公文書によると同事件での一般市民の死者の数は約1万人に上る。
 「中国では“六四”、もしくは“八九六四”と呼ばれ、毎年6月4日が近づくと治安警備が強化され、スマホ決済の送金額ですら、『六四元』や『八九六四元』の金額指定が不可能になるほど当局は警戒しています。中国にとっていまだにタブーの数字なんです」。中華圏での取材経験が豊富な安田さんは語る。
さらに安田さんは、この数字をめぐり、昨年起きたある“事件”ついて語り始めた。
 昨年、中国で89・64元で瓶入りの白酒が販売された。酒瓶のラベルには「銘記八酒六四」の文字。中国語で「酒」と「九」は同じ発音)だ。つまり、1989年6月4日に起きた天安門事件にちなんで付けられた酒の名前で、この酒の製造者4人は「国家政権転覆煽動罪」で起訴され、投獄されたという。
 「日本では冗談のような話ですが、八九六四という数字に中国政府は極端に反応するのです」と語る安田さんの表情は曇った。
■多様化する思想
 「中国社会の変化のスピードは速い。今はサイバー化も進み、スマホ抜きでは生活できないほどですよ」
 大学時代から頻繁に中国を訪れている安田さんは、中国社会の急激な変革ぶりに驚いている。
 同書執筆のため、“現代中国で最大のタブー”とされる同事件の関係者約60人に会い証言を集めた。事件後、国外へ追われた関係者たちを何年もかけて捜し出し、その取材先は中国から香港、台湾、日本、タイまで広範囲に及んだ。
 「現代の中国ではもう天安門事件は起きない…」。浪人生時代にデモに参加した中国人編集者が語った言葉が心に引っかかり、2011年、安田さんは同事件を取材しようと決意した。
 60人の中には同事件の指導者の1人だった王丹さんや、同事件をきっかけに中国に絶望し、日本国籍を取得した評論家、石平さんら今も中国の民主化を訴える論客もいる。
 だが一方で、現在はタクシー運転手として中国の田舎町で暮らす男性など、民主化の夢に破れ、「二度と運動に参加しない」と心情を吐露する人が少なくなかったという。
 「語り継ぐことを許されない歴史は忘れ去られる。現代中国史の大事件に関係した人たちの人間臭い実情を今のうちに書き残せたことを私は何よりもうれしく思います」と取材を終えた安田さんは語った。
■監視下社会の強化
 なぜ、安田さんは「もう二度と天安門事件を取材できない」と言うのだろうか。
 「事件直後、世界の先進国は人権弾圧に抗議し、一斉に対中投資を引き揚げたが、●(=登におおざと)小平氏が1992年から積極的に外資誘致などに乗り出すと安価な労働力と巨大マーケットに魅了された各国はすぐに中国に戻り、そして中国の奇跡の高度経済成長が始まった…」
 安田さんは取材を進める中で、「もう時代が違う。今、民主化デモが起きても私は行かない」と答える元活動家が少なくないことに戸惑いを覚えたという。
 「今や全世界の監視カメラの約7割が中国に集中し、その一部には最新鋭の顔認証技術やクラウド化技術が組み込まれています」
■遠い民主化の道
 2011年に取材を始め、約7年を費やし同著の出版にこぎつけた安田さんは言う。
 「今回の取材は滑り込みセーフで間に合ったが、今後、同様の取材を行うのは困難でしょうね」
 その理由は深刻だ。「私のような外国の物書きや体制に不都合な思想を持つ中国人は間違いなく監視のターゲットになりますから」
 2010年、中国在住の中国人として初めてノーベル平和賞を受賞した文学者、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏は「この受賞は天安門事件で犠牲になった人々の魂に贈られたものだ」と涙を流しながら語ったという。
 天安門事件にも参加し、民主化を唱えた劉氏は、国家政権転覆扇動罪で投獄されたまま、昨年、獄中で死去した。
 中国の民主化はまだ遠い。

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