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父の日

父の日

天国の父へ

2018・6・12河北新報

熱海絹子

世の中には不思議なことが沢山あるけれど、私も不思議な体験をしました。

5年前のこと地区の人たちと志戸平温泉(花巻市)に行った日、夜になり宴会が始まって、カラオケで熱唱する人、踊る人とあり、話も盛り上がりました。

 ところが、誰がリクエストしたのか、『石巻の女』と

『憧れのハワイ航路』の曲が流れました。だがどうしてか歌う人がいません。

 奇しくもこの歌は、私の家から車で5分の所に住む父の十八番(おはこ)でした。

 翌朝は、バイキングの朝食。普段はあまり食べない私は、この朝食に限って2人分食べてしまいました。

帰宅して初めて、この朝に父が亡くなったのを知りました。悪い夢を見ているようで信じられません。

 ちょうど朝ご飯を食べている頃、内臓が急に悪化したそうです。83歳でした。偶然と不思議が重なり合いました。『父の魂が温泉まで同行していたのでは』と思うほど、驚きました。

予想もしない突然の別れは、とてもつらいものが有りました。

生前、「父の日」にプレゼントをあげると、少し照れ笑いをして喜んだ父。その笑顔のない父の日は寂しいです。

(東松島市・主婦・60歳)

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