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生きる・『赤ちゃんが一番がんばっている』3-2

赤ちゃんが一番がんばっている

3-2

毛むくじゃらの小さな背中

 この日、私は妊娠7か月と2日目でした。何とか無事に生まれたわが子の体重はたったの1005グラム。いわゆる超未熟児です。両家の親と夫が、NICU(新生児集中治療室)に運ばれる息子と私を、窓越しに見守っていてくれました。

 1週間後、体調が回復して動けるようになると看護師さんが私を息子の居るNICUに連れて行ってくれました。その道中、看護師さんにこう言われました。

「お母さん、赤ちゃんが小さくて、初めはびっくりするかもしれません。中には、気が動転して立ち直れず、子育て出来なくなるお母さんもいます。でも、一番がんばっているのは赤ちゃんですからね・・・」私の気持ちを察してこう励ましてくれたのです。

  そしていよいよわが子と初めての対面。白衣に帽子とマスクを着け、手を腕から消毒。緊張しながらNICUに入室して、息子の名前が書かれた保育器を見つけました。

 うつ伏せに寝ているその小さな背中は、まるで猿のように毛むくじゃらで。たくさんの管がついていて・・・・。

正直なところ、辛くて悲しくて涙が止まりませんでした。この子は元気に育って行ってくれるのだろうか。

眼は大丈夫なのか・・・。

 その子をじっと見ていると、

「お母さん手を入れてみますか?」と促(うなが)されました。

私は保育器の二つの丸い穴からゆっくりと手を入れ、初めてわが子に触れることが出来ました。

 それから一週間で私は退院し、

張ってくるお乳を日に5回搾(しぼ)って、わが子のもとへ毎日運びました。でも当初息子の飲める量はたったの2ミリリットルでした。小さじの半分以下。

その量を鼻に通した管から少しずつ注入していくのです。続く

 

 

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