街へ野へ

日ごとの思いを書きとめたいのです

蝶の話

2011-10-30 23:53:04 | 日記
mixiの知り人の日記
昨日、風邪をひいたと書いてあった彼女の日記に、お見舞いの言葉を書いた。
さっきその日記を訪ねたら、お返事のコメントの最後に、

「○○さんの足も早く治りますように…
 祈ってます。」

と書いてくれていた。

それを読んだとたんに、涙がこぼれてしまった。
ありがとう。
捻挫はたぶん1日づつ、回復に向かっているのだろうと思うけれど・・
精神が、気持ちが、少しづつ弱っていっているような気がしていた今、
あったかい言葉が身に沁みた。


夜、NHKスペシャルを見た。
ブータンで80年ぶりに確認された幻の蝶「ブータンシボリアゲハ」。
日本の調査隊がヒマラヤの森林の奥深くに踏み入り発見した。
体長12cmの黒地に白い線の入ったその蝶は、遠くから見ると小鳥が飛んでいるように見えた。
私は、蝶よりも、周りのヒマラヤの深い森、重なる山なみ、に見入っていた。
晴れている時間は短くて、あっという間にわいてくる霧につつまれていく。
画面からじっとり湿気を含んだ森の空気が感じられた。
霧がはれた晴れ間の気持ちのよさも。

そんな深い森の合間にも、小さな集落があって、自給自足の暮らしをしている。
8世帯50人の集落とか。
そこに居た子供達の顔、とっても幸せそうな、いい顔だった。
外に織り機を出して、布を織っている女性。
その布の縞模様のブルーは、とってもきれいなブルーだった。

そのあたりには、「ブータンシボリアゲハ」の他にもいろんな綺麗な蝶がいた。

蝶の映像を見ていたら、何年か前に自分が見た蝶を思い出した。
長野の小谷村「栂池自然園」
ゴンドラリフトからロープウェイに乗り換える道で、蝶が乱舞していた。
そこにも、ここにも、いっぱい!
身体に触れるくらい傍に寄ってくる。
リュックにとまったり。
私達だけでなく、近くを歩いていた人も、みな歓声をあげていた。
不思議な世界、現実の世界ではないみたいだった。
ロープウェイの駅に着くと、建物の裏手のひさしや壁に蝶がいっぱいとまっていた。

なんていう蝶だろう?と思いながらそのままにしていたら、
帰ってから少したって、「渡りをする蝶」というTV番組でその名が分かった。
「アサギマダラ」

(ウィキペディアから借りてきた写真です)

日本で生まれたアサギマダラは、秋になると南西諸島や台湾まで海を越えて飛んでいくのだそうだ。
あんな薄い羽で海を渡って、そんなに遠くまで飛んでいくんだ!
私の見たアサギマダラは海を渡る前に集結していたのだろうか?

「栂池自然園」は気に入って、今まで何度も行っている。
いつも夏の終わりに行くから、ワタスゲの花がほとんど終わっている。
今度、ワタスゲの盛りに行きたいな~
真っ白いフワフワした花が一面に咲いて風にゆれているのを見たいな~






好きな本

2011-10-29 10:25:02 | 
三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」のあと、
山本一力の「粗茶を一服」を読んだ。
山本一力の本は、きっちりならされた道を周りの景色を見ながら安心して歩いていくみたいに読める。
今みたいな時には丁度いいのかも・・

さ~て、これで買ってきたまま、まだ読んでなかった本はおしまいになった。

手近にあった本を手に取ってみたら、これ。

石田衣良「非正規レジスタンス」池袋ウエストゲートパークⅧ。
この前読んだ「ドラゴン・ティアーズ-龍涙」池袋ウエストゲートパークⅨの前作。
たしか、1年くらい前に読んだ。
手に取ったとたんに、読み直しなんだけど、のめりこんでしまう。
一気に読んでしまう。

「池袋ウエストゲートパーク」シリーズの最初の方のが読みたくなって、
本棚のところまで行ったけど、片足立ちでは、なかなか探せない。

あきらめて、手に届くところにあった、大好きな2冊を持ってくる。

1冊は、藤沢周平「三屋清左衛門残日録」


藩の用人として藩主の側近くに仕えた三屋清左衛門が、家督をゆずり、隠居暮しが始まった。
藩の、公に出来ぬような、やっかい事の処理が持ち込まれたり、
若き日にふと会いまみえた人を思いおこしたり、
よみがえってきた、若き日の悔恨と、いま向かい合ったり。

短編連作。
文章が無駄なくうつくしい。
きざむリズムが心地よい。
もう何度も読み返しているけれど、読むたびに心地よさに酔うようなところがある。

隠居となった身の、身体のおとろえを感じたり、世の中の一線からは、一歩退いた所にいる自分の身を感じたりする。
もし、若い時に読んだら解らなかったかもしれない、そういう感慨や悲哀のようなものも、うなずけたりする。


もう1冊は、石田衣良「4TEEN(フォーティーン)」


この本も、好きで、好きで、大好きで、
もう何度読み返したか分からない。
そして、何度読んでも、同じ個所で涙が出てくる。
ジワッと涙が出てくる。
そんな個所が幾つもある。
悲しい本だからではない。

題名のとおり、14才、中学2年生の4人の少年が主人公のこの本。
思わず心の中でクスッって笑ってしまう場面も多い。

4人の男の子の持っているもの。
透明な、日の光を受けてキラキラ光っているガラスのかけらのようなもの。
かつては自分も持っていた、かも知れない、透き通ったもの。
それが、たぶん私に涙をにじませるのです。

リハビリ開始

2011-10-26 22:18:57 | 日記
昨日(25日)、1週間ぶりに病院に行った。
1週間前に行った時に、医者が「1週間たったら足が着けるからね」と言った。
それを、私は早がてんして、1週間たったら歩けるんだと思っていた。

チッ、チッ、チ、そんなに甘くはなかった。
足が着けるというのは、文字通りそのままの意味だった。

松葉杖2本と同時に痛めた足を出して、1歩、次に何ともない足で1歩、・・
ようするに、痛めた足に体重をかけないで、歩く練習。
体重をかけなくても、足首が痛い。

まだまだ歩けないのか~と、がっくり。

こういう時はさっさと寝ちゃおう。

今朝、起きたら、きれいな空

大事な考え事は、お日様の下でしろってホントだね。

医者は塗り薬をくれて、薬がなくなったら又来なさいと言った。
「まあ、ゆっくり治しましょう」って。

おあいにく様、私、そんなにのんびりしてはいられない。

さあ、リハビリ開始だ!

お風呂のお湯の中だと、関節が柔らかくなる。
そうか、温めればいいのよネ
というわけで、ドライヤーの温風を当ててみる。
いい感じ。
温めてから、マッサージや歩行訓練をする。
どうせヒマなんだからと1日何度もやってみる。

まだ、全然体重はかけられない。
足を着けるだけで痛くて、
体重をかけまいとするので松葉杖を持っている手首が痛くなってきた。
つい力の入ってしまう肩が、こってきた。

でも、夕方には少し歩行訓練に慣れてきた。

リハビリはお腹が空く。
お昼はサンドイッチを作った。

具をはさんだら、すぐに食べるから、重しをのせてなじませるヒマもなかった。

下二つは野菜サンド。
セブンのポテトサラダをはさんだ。

これ、サンドイッチに便利だよ。
いつもは職場に持っていくパンにはさんでいる。

卵は

「ヨード卵光」です。

あ、これ全部食べた訳じゃないよ!
食べたのは、この半分。

やったネ!

2011-10-25 11:15:28 | 日記
昨夜の夕飯は、ビーフシチュー。
R君の料理講習会が続いています。
ジャガイモや人参の皮をむく手つきもだいぶ慣れてきました。
見ている方のドキドキ感が減ってきました。
でも、左手の人差し指には勲章のバンドエイドが1つ巻かれている。
いつ切ったか分からないと言っているほどのかすり傷。
ああ、うちの包丁の切れ味が悪くてよかった!

「カレーと同じだよネ」と、もくもくと野菜の準備をしているR君。
肉はオージービーフの薄切り。
鍋で肉と野菜を炒めて、計量カップで水を量ろうとしている。
「ちょっと待った!」
飲み残しのトマトジュースがあったので、これを1カップ


それから、これも飲み残しの赤ワイン。
こっちは逆さにしても1/2カップしかなかった。

それにマギーブイヨンを1個。

トマトジュースとワインの分を差し引いて水を入れ、煮込む。
市販のルウだけより味にコクが出るヨ。

野菜がやわらかくなったら、ルウを割り入れる。


出来上がり。

簡単ビーフシチューだけど、美味しかった!!
人が作ってくれたものを食べるって、し・あ・わ・せ!

う、ふっ、ふっ、これで休みの日、「カレー作っといて」とか言って夕方までフラフラ出歩けるかな?!
やったネ!

昨夜の晩酌(?)

2011-10-24 11:47:54 | 日記
さっき、むいて食べた柿

あまりの色のきれいさに、ちょっとの間ほれぼれとながめていた。

味の方も、とろっと甘くて、おいし~い。

窓の外では、桜の木が色づいていく。

このところの雨で葉の色がきれい。

これは昨日写した写真

昨日と変わらないと思って見ていたけど、
並べて見ると1日で葉の色がだいぶ変わったのが分かる。

そういえば、柿の葉の紅葉はきれいな色に染まるのだった。


昨日、むしょうにコーラかサイダーが飲みたくなった。
ふだんは、こういった炭酸飲料はほとんど飲みません。
R君に頼んで買ってきてもらって、思った。
「う~ん、これはビールに代わるものを、喉が求めているのではないか?!」
喉が、刺激を求めている!

で、サイダーで晩酌(トホホホ・・)


以外、これが、喉を通っていく瞬間が・・シュワッとヒリッと通っていく瞬間が、
ビールを飲めない私をなぐさめてくれたのです。
私の喉が必死に代替品を捜し求めて要求してきただけのことはあるな~(ヘヘ自画自賛)
チップスをパリパリ食べながら飲んで、
その後、昨日茹でた枝豆もつまみながら飲んで、
サイダーにひとたらしウイスキーをたらしたい誘惑と戦いつつ飲んで、
昨日の晩酌でした。
ノンアルコールのビールよりよかった。

ノンアルコールのビール。
以前、ずいぶん人気があるようなので買ってみた。
一口飲んで、「ゲッ」と言って飲めず、あとはR君に飲んでもらった。

アルコールを受け付けない人とか、
運転しなきゃいけない時とかに周りに合わせてビール飲んでるふうでいいのだろう。
毎日飲んでも肝臓こわすなんてこと絶対ないし。

でもな~、私はこれを飲むならジュースかお茶飲んでる方がいいと思った。
何でそんなに売れているのかよく分からない。

さ~て、今夜の晩酌はコーラにするか!って・・やっぱり情けな~

いいぞインコ!

2011-10-23 12:46:33 | 日記
昨日(22日・土)は、行くはずだったライブ、
「BACA-BACCA」in学芸大学「メイプルハウス」だった。
夕方・・枝豆茹でながら・・チラッと時計に目がいく。
夕方6時。
そろそろ家を出る頃・・ホントなら・・

ご飯を食べ終わって、また時計に目がいく。
19:50、そろそろ始まるネ
いつも私が座るあの場所に誰か座っているのだろうか?
お客さんはいっぱい入っているだろうか?

一歩も歩けない、今の状態では、いさぎよくあきらめはつくのだけど・・
けど・・
残念!

「BACA-BACCA」のCDをかけようかナ、と思ったけど、
辛くなりそうなので、止めた。

すぐに行ける場所と思っていたライブハウスが、ひどく遠い。


今、懐かしい「あみん」の映像を使ったコマーシャルが流れている。
「わたし、待~つ~わ♪、いつまでも待~つ~わ♪」

そのCMが流れると、心の中で替え歌を歌っている。
「わたし、待~つ~わ♪、治るまで待~つ~わ♪」(笑)
次にライブに行けるまで、待~つ~わ♪
あと少しの辛抱ダ。


今日の新聞で面白い記事を見つけた

「リズム刻むインコ」
『8羽に対して6通りのテンポで実験したところ、いずれも音や点滅にぴったり合わせて照明をつつく動作を繰り返すことができた。
それどころか、音楽を聴く人が自分でリズムをとりながら体を動かすのとよく似た動作もできることがわかった。』
(記事の一部)

もう、笑ってしまった。
私、このインコみたいだ。
音楽のこと何も知らないけど、音楽聴いてリズムにのって体を動かしている。
ぜ~ったい、インコだってテンポのいい曲聴いたら楽しいと思う!(妙に力が入っちゃう)
いいぞ!インコ!

丹波の黒さや

2011-10-22 23:05:02 | おうちご飯
夕方、細長いダンボールの宅急便が届いた。
神戸の姉夫婦から。
思い当たることもなかったので、ん??と思いながら開くと

枝豆の大きな束が2束。
ぷっくらふくらんだサヤが大きい!

鮮度を保つ包装で送られてきている。
これは、鮮度が命!
夕飯前に処理しなくては。
R君と二人で、せっせとサヤを枝からもぎ取る。
何だか畑で収穫作業をしているような気分になってきた。
スーパーのレジ袋に2つ分の枝豆を収穫(?)

サヤを取ったあとの枝を見て下さい。

こんなに太い。

これは、そんじょそこらの枝豆とは、ちょっと違うのです。
このまま畑で完熟にすると、丹波黒豆になるのです。
お節の時期の黒豆。
「丹波黒豆」と、普通の黒豆と2種類あります。
粒が普通の黒豆の倍くらい大きくて、味もコクがあって美味しいのが「丹波黒豆」です。
その黒豆になる直前に収穫した枝豆です。
収穫時期も短くて、今しか食べられません。


とにかく、茹でなくては。
まず、今日食べる分を20分かけて茹でる。

サヤの色はわるいけれど、

中の豆を出すと、これも色が悪い。
でも、薄皮をスルッと取ると中からヒスイ色のきれいな枝豆があらわれた。
大きい。
口に入れると、
わぁ!味が濃いい!
美味しい!!!
こんな枝豆、生まれて初めてだ~!
もうすでに半分くらい黒豆の味になっているような気がする。
枝豆の王様!という感じです。

山形のダダチャ豆も美味しいよね!
あっちは枝豆の女王!

さっと茹でて冷凍可能と書いてあったので、
夕飯のあとで3回もお鍋にお湯を沸かして茹でて、冷まして冷凍庫に入れた。
ワーイ、これで何回ビールが飲めるかな~♪楽しみ。

今日の茹でたての枝豆でビール飲みたかったな~
捻挫が治るまで禁酒してるから・・今日は枝豆だけ・・

豆を洗うのも茹でるのも、みんなR君に指図してやってもらった。
この上、片足立ちで作業していて熱湯に手つっこんだりしたら大変だからネ。

新聞広告の日

2011-10-22 00:40:14 | 日記
昨日(21日・金)の夕飯
鶏肉とハクサイとネギとお豆腐で水炊き風煮
徳島の親戚から送ってもらったスダチが使い切れずに黄色くなりかけている。
これを沢山消費できるのは?と考えた。

スダチ。みかんと間違えないようにカップを横に置きました。

スダチを10個くらい小鉢に搾っておいて使いました。

う~ん、見てくれはあんまりよくないナ~
どんぶりに味ポンとしぼったスダチを入れておいて、
具と汁をたっぷり入れました。

前日から寒くて、風邪をひきそうだったから、あったかいお汁が美味しくてゴクゴク飲みました。
ふ~あったまった~。

今日のお昼は、これにうどんを入れて食べたヨ


昨日の夕刊

広告の部分が真っ白。
読売新聞だけだったのか、全紙がそうだったのかよく分からないけど。
「10月20日は新聞広告の日です」だそうです。
すぐに思ったのは、
え~っ、すごい減収になるんじゃないの?という事。

でも途中からスポンサーは医師会。
震災時の医師会の活動、医師会のメッセージなどを短く一行載せていました。
さすが医師会、太っ腹~!
そんでもって、金持ち~!

真ん中見開きのページはこんな風でした。


すごく効果的な方法だな~って感心した。
無くしてみて、それが持っていた値打ちを知らしめる。
(ああ・・私、今、使えなくなって、足1本の有り難さをイヤッてほど思い知らされてます~ハイッ)

ホント、広告の無い新聞はやっぱりつまらない。

今朝、あらためて広告のページをしげしげと見る。

宣伝効果を高めようと考え抜かれた広告のページは楽しい。

こんなカラフルでなくても、1面の本の広告

必ず目を走らせる。
他のページでも、本の広告を見るのは好きだ。

広告を見て、本屋に買いに行く事もある。

コンサートの広告がまとめて載る時がある。
あれも、行く気も無いのに、わりに丁寧に見ていたりする。

それから、旅行の広告

これも、行くという訳でもないのに、見る。

広告も大事な情報源なんだなって、今日は改めて思った。

青いみかん

2011-10-21 02:32:05 | 昔がたり
今日(20日・木)、
R君に買ってきてもらったみかん。

買ってきて、レジ袋から出してテーブルに置かれたとたんに手がのびて、
たてつづけに3、4個食べた。
美味しいな~
初物です。
少し前から店頭に並んでいたけど、まだ高かったしネ

こうして、まだ青い部分の残る初物のみかんを食べると、いつも思い出すことがある。

かつて私が子供の頃、運動会はもっと遅い時期に開催されていた。
私が5年生まで通った小学校では、毎年11月3日が運動会と決まっていた。
校門には、生垣の杉の木から摘み取った枝で埋めた、緑色の立派なアーチが立って、
「大運動会」の文字が飾られていた。
その頃、小学校・中学校の運動会は地域の一大イベントだった。
自分の子供が通っていない人も、お弁当とゴザを持っていそいそ出かけてきた。

運動会の前日、仕事から帰った母は、「明日のお弁当の材料買わなくちゃね」と買い物に出かけようとする。
外はもう暗いし、他の日なら付いていったりしないのだけど、
その日だけは「私も一緒に行く」と、くっついて歩いていく。

暗くなった道の先に、ポッと八百屋さんの灯りが見えている。
お使いを頼まれて、よく一人でも買いに来ている八百屋さんだ。
店に入ると、野菜をあれこれ選んでいる母の横で、
私は青いみかんを見ている。
濃いみどり色のこぶりのみかん。

母はみかんを見て、値段を見て、買わずに店を出る。

そして、歩き出すと、きまってこう言った。
「果物は旬が一番おいしいし、栄養もあるの」
私は、がっかりしていると覚られぬよう、さりげなく聞こえるようにと思いながら、
「うん」とか「そうだよね」とか答える。

その町はみかんの産地だったから、
ほんの少し経つと、いやというほどみかんを食べることになるのだ。
ちゃぶ台(オー、なつかしい)には、いつもカゴに盛ったみかんがのっていた。
冬の間、私達3きょうだいは順番にみかんの食べすぎでお腹をこわした。
お腹が痛いと言う私達に、母は一言「みかんの食べすぎ!顔が黄色くなってる」

夕飯前にお腹が空いているから、皮をむいて袋ごと口に放り込んで二口か三口で食べる。
それも皮が小さな山になるほど、たてつづけにたくさん食べていた。
お腹こわすのも無理ないね。

少し待てば、それほど食べることになるみかんなのだけど、
運動会の前のその日だけは、買って欲しかった。

運動会の日、お昼のお弁当のとき、近くで誰かがみかんの皮をむくと、
ツーンと青いみかんの香りがただよってくる。
お弁当を食べながら、「あ、みかんだ!」って、みれんがましくその香りを吸い込む。

お弁当の時間はにぎやか。
周りに座ったご近所さんから、「おすそ分け」と言いながら、
のり巻きや、おいなりさんや、お菓子や色んなものが差し出された。

母の作ったおにぎりはおいしかった!
私、何十年たっても、あんなおいしいおにぎりが作れない。

あの日、母は私が青いみかんを欲しがっていることが分かっていたし、
買ってやりたいと思ってもいただろう。
でも、貧乏所帯で思うにまかせない。(その頃は大半が貧乏所帯だった)
帰りの道で、何となく、そんな母の気持ちを感じていた。
だから、こうして、いつまでも覚えているのかな。

「まほろ駅前多田便利軒」

2011-10-20 00:54:12 | 
三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」


ウワァ~、面白かった!
メチャクチャ面白かった。

よく知らないでブラッと入ったライブハウスで、いきなりパンチの効いたロックを聴かされたみたい。(私的には、大賛辞なんですが・・)

この作品は2006年に直木賞を受賞した作品だそうだ。
作者の三浦しをんさんは、1976年生まれ。
2000年にデビューしています。

駅前で便利屋を営む多田のもとに高校時代の同級生・行天が、ころがりこんでくる。
“変な男”行天を相手にしていると、
変すぎるから、多田は思わずしらず、むき出しの自分になっている。

多田は行天の事を、おおいに迷惑と思っているけど・・・

『「多田、犬はねえ、必要とされるひとに飼われるのが、一番幸せなんだよ」
「チワワがそう言ったのか」
―中略―
「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」
このへんてこりんな男を必要とし、希望とした人間が、広い世界のどこかには
存在するのだろうか。多田にはとても信じられなかった。』
(三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」から引用)

行天はどうしようもない奴なんだけど、
普通の人が、知らぬ間に自分に張り付いているモロモロのものが、
彼には一切張り付いていない。
「世間ではこうだろうっ!」とか「普通はこうでしょう?!」とかいうものが張り付いていない。
その行天を見ていると、
自分も、張り付いているものを一枚づつはがしていったら、
その下に、まだ何も貼り付けない前の何かが息をしているかも知れないと思えてくる。

この人の本を他のも読んでみたい。
歩けるようになったら買いに行こう。