月初めはこの「YSPS研究所」ブログのまとめの日とします。
以下2010年8~9月のまとめ8件
・・・・・・・・・・・・・
20100807>>>今週のYSPS研究所活動(20100806)
今週の「YSPS研究所」活動も特に大きなトピックスはなかった。
ひとつは「寿命予測のマスターカーブ」原稿の掲載の可能性に対する編集委員会KKさんの回答待ちである。
そして昨日母校大阪大学の後輩から電話連絡が有り、大学院修士時代の研究室で会った塩川治朗先生がご逝去されたとの知らせを受けた。
86歳とのことで、親父が亡くなった年齢と同じで、8年前を思い出す。
大学院時代にお世話になったことに感謝するとともに、ご冥福を心からお祈りしたい。
・・・
20100814>>>学会誌投稿概要確定
今週のYSPS研究所活動としてのトピックスは、先日来述べてきて、一年振りに解決しそうな学会誌への投稿概要が確定したことである。
タイトルは
「暗所画像保存性評価のための基礎講座」
「アレニウスプロットを意識した寿命予測のマスターカーブ」
と言うことに落ちついた。
4000字程度の内容の確認を経て、添付する図表が決まれば、当方としての準備は終わり、後は発刊される時期の問題となる。
送付先のKKさんも現在夏休み中らしく、返答がまだ無い。
来週のこのYSPSブログでは進展することを期待したい。
・・・
20100821>>>学会誌投稿確定その後
先週、YSPS研究所として温めてきた、「寿命予測のマスターカーブ」の学会誌投稿が確定したことを述べた。
その後の編集委員長とのやり取りを記載したい。
今月中には図表も作成して、当方としての決着は付けたいと考えている。
以下編集委員長KKさんからのメールと私の返事の一部である。
・・・・・・・・・・・
<KKさんからのメール>
単なる寿命ではなく、過程を表すマスターカーブが重要というのは、鋭い指摘と思います。
編集委員長としては、基礎講座として掲載したいという判断です。
ただ今後、光の劣化なども別の方に執筆をお願いして、画像保存性評価全体の基礎講座にできればという希望があります。
講座名としては、「画像保存性評価のための基礎講座」と、暗所をとりたいのですがいかがでしょうか。
今回の原稿は、マスターカーブの描き方をはじめ、内容上図がないと理解しにくい部分が多くあります。
図表を含めた原稿をいただけますでしょうか。
<私の返答メール>
光をどなたかが担当されるのであれば当然講座名を、「画像保存性評価のための基礎講座」とされるべきです。
了解です。
私の原稿の図表は近々送付致します。
それから私の画像保存(勿論今回の原稿でも述べているあらゆるマテリアルを睨むと・・)に関する考えでは、従来の暗所・明所(大きなジャンルであることは違いないですが・・・)だけでなく、その他のもう一つのジャンルが必要だと考えます。
その中に「生物劣化」が有って、国宝を含めた文化財保存でも注目されていて、未だに解決方法が見出されていません。
当然写真系画像保存の分野でもしかりです。
これを暗所に含めることも可能ですが、保存性の評価方法の立場からするとまったく異なる評価となります。
何せ相手は生物なので、アレニウス評価の様な数式では扱えません。
そういう意味では、暗所・明所はエネルギーに対する耐熱性・耐光性を評価しているので、ジャンルは同じ部類だと考えることもできます。
ちょっと横道にそれましたが、この様なことは、文章で論じるよりも、画像保存セミナーなどでデジタル・アナログメディア論議も含めたパネルディスカッションの中で議論するととても面白い話題だと思います。
最近デジタル5年前まで盛んに使っていたMO媒体がドライブも扱っているメーカーが無くなっている現状をしっかりとらえるべきだと感じているこの頃です。
・・・
20100828>>>寿命予測に関する2つのポイント
先週、先々週と「アレニウスプロットを意識した寿命予測のマスターカーブ」と言うタイトルでの学会誌投稿について記載して来た。
今週の「YSPS研究所」ブログでは、上記テーマでは最も重要な温度に関する問題点を考えてみたい。
題して、「寿命予測に関する2つのポイント」である。
一つ目は、天気予報では必ず登場する温度の単位である。
欧米ではまだ華氏温度(K)を利用しているケースも多いが、日本を始めとして、多くの国では摂氏温度(C)を用いている。
このCはご存じの如く、水の氷点を0、沸点を100としてその間を100分割し、1度と決めたわけである。
しかしアレニウス式は1/Tを単位としてプロットすることが前提なので、単位としては絶対温度Tを使わなければならない。
Tは全ての物質の運動が停止し、それ以上低い温度にはならないと言うポイントを絶対零度としている。
摂氏で言うと-273.16Cである。
次に重要なのは、平均温度の概念である。
天気予報で良く登場する年間平均温度や、この50年間で平均何度温度が上昇したとか言われている温度はやはりCが基本になっている。
そのことは、まず頭に置いておくとして、そのCを使った平均温度が曲者なのである。
まずは寿命予測における平均温度の問題点を考えてみる。
例えば日本国内において沖縄の様な一日や年間を通して温度変化が少ない地区の平均温度と、北海道の様な一日、年間共に温度差が大きい地区の平均温度とは、寿命予測の観点からすると大きく異なることに注意しなければならない。
ここでアレニウス式に登場する活性化エネルギーΔEを考えてみると、例えばΔEが零の場合(通常はあり得ないが・・)は温度依存性が無いわけで、温度変化の大小が寿命評価に影響を与えない。
しかし通常はΔEが20~30Kcal/molの有機物の寿命予測を扱う際には、この温度変化が重要なのである。
実際に計算してみると、活性化エネルギーΔEを上記の値と仮定すると、沖縄の様な地区では年間平均温度と実際に寿命評価に必要な温度とは大きな違いが無いが、北海道の様な変化が大きい地区では、2~5゜C平均温度を高めに設定した評価を行わないとダメなことが、私の以前の報告で分かっている。
地球規模では、一般に年間気温が高い高緯度地区では温度変化が少なく、逆に年間気温が低い低緯度地区では温度変化が大きいことが、全体として平均温度表記を鈍感にさせている思われる。
ただ砂漠地帯の様な、平均温度も比較的高く、一日の温度変化も大きい地区では、これは大きな相違となって表れるはずである。
今後、この様な点にも留意して、上記「アレニウスプロットを意識した寿命予測のマスターカーブ」の記事を記載していきたいと考えている。
・・・
20100904>>>寿命予測のマスターカーブへの拘り
今週、9/1に京都工繊大で開催された、「長持ちの科学研究センター」設立記念講演会に参加した。
その前後での記録は、「なんアラ」ブログを参照願いたいが、YSPS研究所としては、当日、講演会・懇親会会場で議論になった「寿命予測のマスターカーブへの拘り」について、再度記載したい。
つまり、人間も含めたさまざまなマテリアルの寿命予測を考えるにあたり、最も重要なマスターカーブは慎重に議論されなければならないと考えている。
いろんな温度を変えて、劣化曲線を描く、アレニウスプロットもその一つで、そのデータを正確に入手するための、大事なカーブが「寿命予測のマスターカーブ」であり、それが安易に推測されてしまうと、誤差範囲のレベルでは無く、とんでも無い寿命予測をしてしまう懸念が多いに出てくるわけなのだ。
そこでこの「寿命予測のマスターカーブへの拘り」を関係者に再認識して貰いたいと考え、京都での議論を行ったし、今回写真学会に提示する予定の基礎講座でも、もう少し、この辺の表現を具体的に追加記載したいと考えている。
但し、これに拘りすぎて、原稿提出が遅れることは避けたいので、図式の具体案が固まった現段階では、この「寿命予測のマスターカーブへの拘り」部分だけを若干追加することだけに留めるつもりである。
・・・
20100911>>>寿命予測に関するRAさんとの交信
今月初め9/1に京都工繊大で開催された、「長持ちの科学研究会」で名刺交換したRAさんとのメールやり取りで、あらゆるマテリアルの寿命予測に関して何度か意見交換したので、抜粋して紹介したい。
<9/5私からの送信一部>
現在「寿命予測のマスターカーブ」に最も関心を抱いています。
添付資料(昨年京都工繊大で話した内容)をご覧になり、ご意見いただければ幸いです。
<9/6RAさんからの返信一部>
YS様の深い思想の基に「寿命予測のマスターカーブ」の考えが述べられており、大変、興味深く読ませていただいております。
私も、今までの仕事上、寿命予測に関わっており、考え方を今年、3月に京丹後で、述べさせていただきました。
・・中略・・
また、特に アレニウスの式は昔から使い、非常に興味を持っています。
出来ましたら、日本写真学会68巻p107-111の論文を見させていただきたいと思います。
・・後略
<9/6私からの送信一部>
前略・・
RA様の寿命予測の考え方を拝見し、とても興味が持てました。
又、次回(京丹後?)でお会いできれば、是非議論させて下さい。
私の論文にも興味をお持ちいただき、ありがとうございます。
日本写真学会68巻p107-111のpdfを添付送付致します。
ご覧いただければ幸いです。
・・後略
<9/9RAさんからの返信一部>
論文ありがとうございました。
添付に、今年、京丹後で報告した、長持ちに関する私の考え方です。
来年、京丹後にいける確率は少ないです。
・・中略・・
論文を拝見し、シアン色素を使われていますので(具体的には全く知りませんが)”有機物”であるので、個人的には京都工繊の学長をされた福井先生のフロンティア軌道法を用い、アレニウスの活性化エネルギーと軌道相互作用における安定化エネルギーには相関があると考えており(代表例:ハメット則)1つの色素の寿命をきちんと実測し、その他は劣化ポイントを確定させ、そこのエネルギー差で出来ないかと勝手に考えています。
また、いろいろ教えていただきたいと思います。
<9/9私からの送信一部>
責任が伴う寿命予測はとても大変なことだと思います。
もともと予測は未来のことなので、ある確率の中に入ってくるものと理解しています。
今回の台風9号の進路も、当初はほぼ思惑通りに(多分偏西風のデータが主流と私は考えています。)行っていましたが、福井県に上陸し、静岡・神奈川県を通るルートの確率はかなり低かったと思います。
但し、上陸寸前に南東方向に曲がったデータにより、その後の予測はかなり合っていたように思います。
この様に途中の実データを、如何に効率よく入れ込むかが、大事だと思っていて、先日お送りした、論文の後半で示した確率予測法として考えてみました。
又いろいろお話ししたいと思います。
後略・・
・・・・・・・・・
以上がRAさんとの交信メールの一部を抜粋したものであるが、YSPS研究所としても、又お会いして是非いろいろ議論したいものである。
・・・
20100918>>>保存科学と長持ちの科学
今月初め、9/1に京都工繊大で、「長持ちの科学研究会」発足記念講演会が開催された。
YSPS研究所としては大変興味が持てたし、今後じっくりと付き合っていきたいと考えている。
そして昨日、その研究会キーマンであるHNさんから最初の研究会開催通知がメール送付されてきた。
内容は、下記であるが、今回はテーマを見て、出席を見合わせることにした。
わざわざ京都まで行く価値が有るかどうかの判断によってのことである。
今後「保存科学と長持ちの科学」の共通点の観点から是非参加したいと思うテーマの出来に期待したい。
以下HNさんからの10/15開催メールの内容である。
興味ある方は直接参加申し込みをされたし!
・・・・・
第1回「長もちの研究会」のご案内
耐候性や樹脂の変色について、知りたいとのご要望ありましたので企画しました。
もちろん、お肌の若返り、発毛促進、メタボ予防等にもご関心が高いと思います。
ご参加お待ちしております。
日時:平成22年10月15日(金)14:30~17:30
場所:京都工芸繊維大学 ベンチャーラボラトリー1Fラウンジ
内容:講演会
14:30~15:30 「ミストサウナの7つの効用」
大阪ガス(株)エネルギー技術研究所 エグゼクティブリサーチャー
京都工芸繊維大学 特任教授(内定)
15:30~16:30 「表面被覆材によるコンクリート補修」(仮)
財団法人 日本塗料検査協会
16:30~17:30 「家電機器の変色評価と対策」(仮)
三菱電機(株)開発本部 役員技監
・・・・・
以上「長持ちの科学」研究会の講演会お知らせでした。
・・・
20100925>>>学会誌投稿確定後のやりとり
YSPS研究所のメインテーマである、保存科学に関する記事の学会誌投稿は、昨年夏からの懸案事項であったが、MLS(マテリアルライフ学会誌)投稿は遅々と進まず結局諦め、日本写真学会誌の編集委員長KKさんとこの数カ月メールやりとりをして、今週で漸く当方としての図表も入れた原稿送付が終了した。
後は何月号に掲載されるかが、主な関心事項となる。
以下は原稿資料提供終了までのKKさんとの今週のメールやり取りである。
・・・・・・
<9/21KKさんからのメール>
画像保存基礎講座が進捗していませんで、苦慮しています。
・・中略・・
ワンポイントレクチャーに載せることを考えています。
ワンポイントレクチャーは基礎講座の性格を持っていますので、こちらで連載するというのはいかがでしょうか。
初回は、アレニウスプロットに基づく寿命測定法と、寿命予測のマスターカーブの、2本立てで始めます。
ワンポイントレクチャーもしばらく、フォトマスター検定の問題解説で続けてきましたが、最近ネタが尽きています。
画像保存基礎講座シリーズで続けようかと考えています。
いかがでしょうか。
<9/21当方からのメール>
いろいろ御苦労お察し申し上げます。
他人には、口を挟むが、自分にお鉢が回ってくると難色を示すと言う体質は古今東西変化は無さそうですね!
私の方は、KKさんご提案の内容でも、全く問題はありません。
少しでも早く学会誌掲載を望みます。
<同日KKさんからのメール>
ワンポイントレクチャー画像保存基礎講座で掲載したいと思います。
ところで、図原稿の清書をいただけますでしょうか。
<9/22当方からのメール>
3つの図はこれでお願いします。
図1&2は手書きで申し訳ありませんが、概念図なのでご了承ください。
400dpiで取り込んでいますが、必要なら600dpiまで可能です。
それぞれのキャプションは以下です。
Fig.1 Model Curve 1
Fig.2 Model Curve 2
Fig.3 Method of predicting dark stability by extrapolating Arrhenius plots.
T:absolute temperature,r.t.:room temperature
<9/23KKさんからのメール>
Fig.1とFig.2については、文字を打ち込んでもらうようにします。
文字を活字体にすれば、見栄えも問題ないかと思います。
縦軸と横軸の表記が何もありませんが、なにか入れた方がよいでしょうか。
<同日当方からのメール>
文字の件、恐れ入ります。
Fig.1&2はあくまでも、概念図なので、縦軸の表記は有りません。
人の遣り甲斐などは数値化出来ませんし・・。
大中小の様な表記になるかも知れません。
横軸は、時間の対数軸が基本ですが、概念図では真数も有りです。
従って、縦横共に軸の単位は表記無しで良いと考えています。
・・・・・
以上のメールやり取りで、決着した次第である。
以下2010年8~9月のまとめ8件
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20100807>>>今週のYSPS研究所活動(20100806)
今週の「YSPS研究所」活動も特に大きなトピックスはなかった。
ひとつは「寿命予測のマスターカーブ」原稿の掲載の可能性に対する編集委員会KKさんの回答待ちである。
そして昨日母校大阪大学の後輩から電話連絡が有り、大学院修士時代の研究室で会った塩川治朗先生がご逝去されたとの知らせを受けた。
86歳とのことで、親父が亡くなった年齢と同じで、8年前を思い出す。
大学院時代にお世話になったことに感謝するとともに、ご冥福を心からお祈りしたい。
・・・
20100814>>>学会誌投稿概要確定
今週のYSPS研究所活動としてのトピックスは、先日来述べてきて、一年振りに解決しそうな学会誌への投稿概要が確定したことである。
タイトルは
「暗所画像保存性評価のための基礎講座」
「アレニウスプロットを意識した寿命予測のマスターカーブ」
と言うことに落ちついた。
4000字程度の内容の確認を経て、添付する図表が決まれば、当方としての準備は終わり、後は発刊される時期の問題となる。
送付先のKKさんも現在夏休み中らしく、返答がまだ無い。
来週のこのYSPSブログでは進展することを期待したい。
・・・
20100821>>>学会誌投稿確定その後
先週、YSPS研究所として温めてきた、「寿命予測のマスターカーブ」の学会誌投稿が確定したことを述べた。
その後の編集委員長とのやり取りを記載したい。
今月中には図表も作成して、当方としての決着は付けたいと考えている。
以下編集委員長KKさんからのメールと私の返事の一部である。
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<KKさんからのメール>
単なる寿命ではなく、過程を表すマスターカーブが重要というのは、鋭い指摘と思います。
編集委員長としては、基礎講座として掲載したいという判断です。
ただ今後、光の劣化なども別の方に執筆をお願いして、画像保存性評価全体の基礎講座にできればという希望があります。
講座名としては、「画像保存性評価のための基礎講座」と、暗所をとりたいのですがいかがでしょうか。
今回の原稿は、マスターカーブの描き方をはじめ、内容上図がないと理解しにくい部分が多くあります。
図表を含めた原稿をいただけますでしょうか。
<私の返答メール>
光をどなたかが担当されるのであれば当然講座名を、「画像保存性評価のための基礎講座」とされるべきです。
了解です。
私の原稿の図表は近々送付致します。
それから私の画像保存(勿論今回の原稿でも述べているあらゆるマテリアルを睨むと・・)に関する考えでは、従来の暗所・明所(大きなジャンルであることは違いないですが・・・)だけでなく、その他のもう一つのジャンルが必要だと考えます。
その中に「生物劣化」が有って、国宝を含めた文化財保存でも注目されていて、未だに解決方法が見出されていません。
当然写真系画像保存の分野でもしかりです。
これを暗所に含めることも可能ですが、保存性の評価方法の立場からするとまったく異なる評価となります。
何せ相手は生物なので、アレニウス評価の様な数式では扱えません。
そういう意味では、暗所・明所はエネルギーに対する耐熱性・耐光性を評価しているので、ジャンルは同じ部類だと考えることもできます。
ちょっと横道にそれましたが、この様なことは、文章で論じるよりも、画像保存セミナーなどでデジタル・アナログメディア論議も含めたパネルディスカッションの中で議論するととても面白い話題だと思います。
最近デジタル5年前まで盛んに使っていたMO媒体がドライブも扱っているメーカーが無くなっている現状をしっかりとらえるべきだと感じているこの頃です。
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20100828>>>寿命予測に関する2つのポイント
先週、先々週と「アレニウスプロットを意識した寿命予測のマスターカーブ」と言うタイトルでの学会誌投稿について記載して来た。
今週の「YSPS研究所」ブログでは、上記テーマでは最も重要な温度に関する問題点を考えてみたい。
題して、「寿命予測に関する2つのポイント」である。
一つ目は、天気予報では必ず登場する温度の単位である。
欧米ではまだ華氏温度(K)を利用しているケースも多いが、日本を始めとして、多くの国では摂氏温度(C)を用いている。
このCはご存じの如く、水の氷点を0、沸点を100としてその間を100分割し、1度と決めたわけである。
しかしアレニウス式は1/Tを単位としてプロットすることが前提なので、単位としては絶対温度Tを使わなければならない。
Tは全ての物質の運動が停止し、それ以上低い温度にはならないと言うポイントを絶対零度としている。
摂氏で言うと-273.16Cである。
次に重要なのは、平均温度の概念である。
天気予報で良く登場する年間平均温度や、この50年間で平均何度温度が上昇したとか言われている温度はやはりCが基本になっている。
そのことは、まず頭に置いておくとして、そのCを使った平均温度が曲者なのである。
まずは寿命予測における平均温度の問題点を考えてみる。
例えば日本国内において沖縄の様な一日や年間を通して温度変化が少ない地区の平均温度と、北海道の様な一日、年間共に温度差が大きい地区の平均温度とは、寿命予測の観点からすると大きく異なることに注意しなければならない。
ここでアレニウス式に登場する活性化エネルギーΔEを考えてみると、例えばΔEが零の場合(通常はあり得ないが・・)は温度依存性が無いわけで、温度変化の大小が寿命評価に影響を与えない。
しかし通常はΔEが20~30Kcal/molの有機物の寿命予測を扱う際には、この温度変化が重要なのである。
実際に計算してみると、活性化エネルギーΔEを上記の値と仮定すると、沖縄の様な地区では年間平均温度と実際に寿命評価に必要な温度とは大きな違いが無いが、北海道の様な変化が大きい地区では、2~5゜C平均温度を高めに設定した評価を行わないとダメなことが、私の以前の報告で分かっている。
地球規模では、一般に年間気温が高い高緯度地区では温度変化が少なく、逆に年間気温が低い低緯度地区では温度変化が大きいことが、全体として平均温度表記を鈍感にさせている思われる。
ただ砂漠地帯の様な、平均温度も比較的高く、一日の温度変化も大きい地区では、これは大きな相違となって表れるはずである。
今後、この様な点にも留意して、上記「アレニウスプロットを意識した寿命予測のマスターカーブ」の記事を記載していきたいと考えている。
・・・
20100904>>>寿命予測のマスターカーブへの拘り
今週、9/1に京都工繊大で開催された、「長持ちの科学研究センター」設立記念講演会に参加した。
その前後での記録は、「なんアラ」ブログを参照願いたいが、YSPS研究所としては、当日、講演会・懇親会会場で議論になった「寿命予測のマスターカーブへの拘り」について、再度記載したい。
つまり、人間も含めたさまざまなマテリアルの寿命予測を考えるにあたり、最も重要なマスターカーブは慎重に議論されなければならないと考えている。
いろんな温度を変えて、劣化曲線を描く、アレニウスプロットもその一つで、そのデータを正確に入手するための、大事なカーブが「寿命予測のマスターカーブ」であり、それが安易に推測されてしまうと、誤差範囲のレベルでは無く、とんでも無い寿命予測をしてしまう懸念が多いに出てくるわけなのだ。
そこでこの「寿命予測のマスターカーブへの拘り」を関係者に再認識して貰いたいと考え、京都での議論を行ったし、今回写真学会に提示する予定の基礎講座でも、もう少し、この辺の表現を具体的に追加記載したいと考えている。
但し、これに拘りすぎて、原稿提出が遅れることは避けたいので、図式の具体案が固まった現段階では、この「寿命予測のマスターカーブへの拘り」部分だけを若干追加することだけに留めるつもりである。
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20100911>>>寿命予測に関するRAさんとの交信
今月初め9/1に京都工繊大で開催された、「長持ちの科学研究会」で名刺交換したRAさんとのメールやり取りで、あらゆるマテリアルの寿命予測に関して何度か意見交換したので、抜粋して紹介したい。
<9/5私からの送信一部>
現在「寿命予測のマスターカーブ」に最も関心を抱いています。
添付資料(昨年京都工繊大で話した内容)をご覧になり、ご意見いただければ幸いです。
<9/6RAさんからの返信一部>
YS様の深い思想の基に「寿命予測のマスターカーブ」の考えが述べられており、大変、興味深く読ませていただいております。
私も、今までの仕事上、寿命予測に関わっており、考え方を今年、3月に京丹後で、述べさせていただきました。
・・中略・・
また、特に アレニウスの式は昔から使い、非常に興味を持っています。
出来ましたら、日本写真学会68巻p107-111の論文を見させていただきたいと思います。
・・後略
<9/6私からの送信一部>
前略・・
RA様の寿命予測の考え方を拝見し、とても興味が持てました。
又、次回(京丹後?)でお会いできれば、是非議論させて下さい。
私の論文にも興味をお持ちいただき、ありがとうございます。
日本写真学会68巻p107-111のpdfを添付送付致します。
ご覧いただければ幸いです。
・・後略
<9/9RAさんからの返信一部>
論文ありがとうございました。
添付に、今年、京丹後で報告した、長持ちに関する私の考え方です。
来年、京丹後にいける確率は少ないです。
・・中略・・
論文を拝見し、シアン色素を使われていますので(具体的には全く知りませんが)”有機物”であるので、個人的には京都工繊の学長をされた福井先生のフロンティア軌道法を用い、アレニウスの活性化エネルギーと軌道相互作用における安定化エネルギーには相関があると考えており(代表例:ハメット則)1つの色素の寿命をきちんと実測し、その他は劣化ポイントを確定させ、そこのエネルギー差で出来ないかと勝手に考えています。
また、いろいろ教えていただきたいと思います。
<9/9私からの送信一部>
責任が伴う寿命予測はとても大変なことだと思います。
もともと予測は未来のことなので、ある確率の中に入ってくるものと理解しています。
今回の台風9号の進路も、当初はほぼ思惑通りに(多分偏西風のデータが主流と私は考えています。)行っていましたが、福井県に上陸し、静岡・神奈川県を通るルートの確率はかなり低かったと思います。
但し、上陸寸前に南東方向に曲がったデータにより、その後の予測はかなり合っていたように思います。
この様に途中の実データを、如何に効率よく入れ込むかが、大事だと思っていて、先日お送りした、論文の後半で示した確率予測法として考えてみました。
又いろいろお話ししたいと思います。
後略・・
・・・・・・・・・
以上がRAさんとの交信メールの一部を抜粋したものであるが、YSPS研究所としても、又お会いして是非いろいろ議論したいものである。
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20100918>>>保存科学と長持ちの科学
今月初め、9/1に京都工繊大で、「長持ちの科学研究会」発足記念講演会が開催された。
YSPS研究所としては大変興味が持てたし、今後じっくりと付き合っていきたいと考えている。
そして昨日、その研究会キーマンであるHNさんから最初の研究会開催通知がメール送付されてきた。
内容は、下記であるが、今回はテーマを見て、出席を見合わせることにした。
わざわざ京都まで行く価値が有るかどうかの判断によってのことである。
今後「保存科学と長持ちの科学」の共通点の観点から是非参加したいと思うテーマの出来に期待したい。
以下HNさんからの10/15開催メールの内容である。
興味ある方は直接参加申し込みをされたし!
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第1回「長もちの研究会」のご案内
耐候性や樹脂の変色について、知りたいとのご要望ありましたので企画しました。
もちろん、お肌の若返り、発毛促進、メタボ予防等にもご関心が高いと思います。
ご参加お待ちしております。
日時:平成22年10月15日(金)14:30~17:30
場所:京都工芸繊維大学 ベンチャーラボラトリー1Fラウンジ
内容:講演会
14:30~15:30 「ミストサウナの7つの効用」
大阪ガス(株)エネルギー技術研究所 エグゼクティブリサーチャー
京都工芸繊維大学 特任教授(内定)
15:30~16:30 「表面被覆材によるコンクリート補修」(仮)
財団法人 日本塗料検査協会
16:30~17:30 「家電機器の変色評価と対策」(仮)
三菱電機(株)開発本部 役員技監
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以上「長持ちの科学」研究会の講演会お知らせでした。
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20100925>>>学会誌投稿確定後のやりとり
YSPS研究所のメインテーマである、保存科学に関する記事の学会誌投稿は、昨年夏からの懸案事項であったが、MLS(マテリアルライフ学会誌)投稿は遅々と進まず結局諦め、日本写真学会誌の編集委員長KKさんとこの数カ月メールやりとりをして、今週で漸く当方としての図表も入れた原稿送付が終了した。
後は何月号に掲載されるかが、主な関心事項となる。
以下は原稿資料提供終了までのKKさんとの今週のメールやり取りである。
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<9/21KKさんからのメール>
画像保存基礎講座が進捗していませんで、苦慮しています。
・・中略・・
ワンポイントレクチャーに載せることを考えています。
ワンポイントレクチャーは基礎講座の性格を持っていますので、こちらで連載するというのはいかがでしょうか。
初回は、アレニウスプロットに基づく寿命測定法と、寿命予測のマスターカーブの、2本立てで始めます。
ワンポイントレクチャーもしばらく、フォトマスター検定の問題解説で続けてきましたが、最近ネタが尽きています。
画像保存基礎講座シリーズで続けようかと考えています。
いかがでしょうか。
<9/21当方からのメール>
いろいろ御苦労お察し申し上げます。
他人には、口を挟むが、自分にお鉢が回ってくると難色を示すと言う体質は古今東西変化は無さそうですね!
私の方は、KKさんご提案の内容でも、全く問題はありません。
少しでも早く学会誌掲載を望みます。
<同日KKさんからのメール>
ワンポイントレクチャー画像保存基礎講座で掲載したいと思います。
ところで、図原稿の清書をいただけますでしょうか。
<9/22当方からのメール>
3つの図はこれでお願いします。
図1&2は手書きで申し訳ありませんが、概念図なのでご了承ください。
400dpiで取り込んでいますが、必要なら600dpiまで可能です。
それぞれのキャプションは以下です。
Fig.1 Model Curve 1
Fig.2 Model Curve 2
Fig.3 Method of predicting dark stability by extrapolating Arrhenius plots.
T:absolute temperature,r.t.:room temperature
<9/23KKさんからのメール>
Fig.1とFig.2については、文字を打ち込んでもらうようにします。
文字を活字体にすれば、見栄えも問題ないかと思います。
縦軸と横軸の表記が何もありませんが、なにか入れた方がよいでしょうか。
<同日当方からのメール>
文字の件、恐れ入ります。
Fig.1&2はあくまでも、概念図なので、縦軸の表記は有りません。
人の遣り甲斐などは数値化出来ませんし・・。
大中小の様な表記になるかも知れません。
横軸は、時間の対数軸が基本ですが、概念図では真数も有りです。
従って、縦横共に軸の単位は表記無しで良いと考えています。
・・・・・
以上のメールやり取りで、決着した次第である。







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