上の写真は、今日ジョギング中にFlower Dome(『風の谷のナウシカ』のオームのような建物)近くで撮影したカワウソ注意の看板である。カワウソに出会ったらどうするかの注意書きもある。シンガポールのカワウソは、NHKの『ダーウィンが来た』2017年7月9日放送”驚き!!大都会のカワウソ家族”や『ワイルドライフ』2018年2月5日放送”シンガポール大都会カワウソ家族 仁義なき争いを勝ち抜け”で紹介されたので、マリナベイ周辺をジョギングするときは、すぐ写真が撮れるように準備をして走っている。残念ながらカワウソに遭遇したことはまだない。
上の2つの写真は『513話ダーウィンが来た』より
放送によると、ここにはビシャン一家という昔の任侠集団のような名前が付けられたカワウソ一家が棲みついている。1980年以前は海で、1980年代始めに埋め立てられ最近までカワウソはいなかった。2008年に埋立地の先端に堰(ダム)がつくられ、内部は貯水池(Marina Bay)として淡水化された。貯水池は浄化され、時間とともに魚が棲み、埋立地にはFlower Dome、Supertree Grove(大きな木のモニュメント)、自然遊歩道、人工池などからなる”Garden by the Bay”がつくられた。そこにマレーシアからカワウソ一家が移住してきたのだ。シンガポールには、北部の一部や中央の環境保護区を除き本当の自然はほとんど残っていない。しかし、シンガポールを一歩出たマレーシアには手つかずの自然の河川やマングローブの繁茂した海岸が残り、カワウソをはじめ多くの野生生物が生息している。シンガポールの人工の貯水池や公園が、カワウソの生息に適するようになったということだ。
考えてみると、日本の里山も村人が長い年月をかけて自然と共生しながら造り出したもので、シンガポールの大都会の自然環境は形態は異なるが基本的には里山と同じだと思う。大都会の環境が生物を育み、長い年月の間にそれが自然と同化する。造った環境が劣悪だったら、何者も来ず、不毛の人工物で終わってしまうだろう。そういう意味でシンガポールの建設面での国造りは今のところ成功しているのかもしれない。シンガポールは何もかも人工物だと否定してはいけないのだ。
貯水池ではドラゴンボートの練習をしていた。街は春節真っ盛りである。