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繰延税金資産から来期以降の利益を予測する ~高田ファイナンス~

2009-07-21 05:37:59 | アプライド・ファイナンス
DTAを分析することで企業の来期以降の利益予測の妥当性を判断することができる。

着眼点は
1、当期の実績である法人税等は妥当な水準か?
2、翌期に予想されている当期純利益は妥当な範囲か?
3、2年目以降に予想されている当期純利益は妥当な範囲か?

1、当期の実績である法人税等は妥当な水準か?

発生主義で計算された法人税等の実効税率が40%かどうか。40%を大きく外れるならば注意が必要である(日本の単独P/L)。ただ連結だと海外子会社も入ってくるのでバラバラになる。

2、翌期に予想されている当期純利益は妥当な範囲か?


来期の当期純利益をDTA(カレント)を使って予想すると・・・

来期純利益最低ライン=(DTA(カレント)×(1-法定実行税率)) ÷ 法定実効税率


この式が来期の利益予想となる理由
まず式を整理すると・・・

税率×来期利益 = DTA(カレント) × 0.6

来期税金 = DTA(カレント) × 0.6

なぜカレントかというとカレントは1年ルールに基づいて計上されているからである。またなぜ0.6をかけるかというと、DTAの計上のためには、DTA減少に伴う当期純利益の減少額を上回る当期純利益が来期以降見込まれることが条件だからである。なぜならば、DTA減少に伴う当期純利益の減少により、税金費用(損金)実現時点の当期純利益額がマイナスとなってしまうのは、健全性の観点から問題だからだ。

税金費用(損金)の実現する将来時点において、十分な当期純利益の確保が想定できない場合には、税金を前払いする能力に乏しいと判断されるため、健全性の観点から税効果会計の適用は認められず、したがって、繰延税金資産の計上は認められない。

3、2年目以降に予想されている当期純利益は妥当な範囲か?

2期から5期の当期純利益をDTA(ノンカレント)を使って予想すると・・・・基本的にはカレントと同様に

2年~5年の純利益合計の最低ライン=(DTA(ノンカレント)×(1-法定実行税率)) ÷ 法定実効税率

→ これを3で割ると各年度の利益が出る

この分析の有用性は、カレントから導き出された来期利益と、ノンカレントから導き出された利益が乖離しているかを確かめる点にある。

カレント利益がノンカレント利益に比べて過大計上されていれば、来期利益予想に無理があるか、将来の減益を見込んでいることになる。

またノンカレント利益があまりに大きいのであれば、ノンカレントDTAの過大計上=当期利益の水増し!を疑わなければならない。

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