シニア花井の韓国余話

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韓国に蔓延するお門違いのリーダーシップ【コラム】                        

2014年10月02日 23時30分00秒 | Weblog
韓国大手新聞 朝鮮日報14年9月30日記事抜粋
 15年ほど前のことだ。大手食品メーカーの社長が「私が間違っていた」と口にした。韓国きっての名門大を卒業し、米国の大学で博士学位まで取得したエリートが、何を間違えたというのだろうか。
 3代目として家業を継いだのだから、人の上に立つための教育を受けてきたのだろうし、40代の若さで「オーナーCEO(最高経営責任者)」に就任したのだから、意欲とアイデアはあふれていたに違いない。そんな彼が、5年にわたりグローバル化と先端化を推し進めた末「私が間違っていた」と認めたのだ。その間違いとは、経営の方法だった。
 彼は「外国で長年勉強し、暮らしていた私は、社員たちがこれまでどのように過ごし、どうして今この場にいるのか、きちんと知らなかった。ビジョンと方向性は私が決めるとしても、私が自ら社員たちと目線を合わせることがCEOとして非常に重要だということに、遅まきながら気付いた」と打ち明けた。原論的な話に聞こえるかもしれないが、会社の中で絶対的な権限を持つとされる「オーナーCEO」が自ら「社員の心をつかめなければ結局は失敗する」と悟り、率直に語ったのだから、とても新鮮に感じた。
 最近、韓国の産業界では「偽財閥」や「偽オーナーシップ」が横行しているといわれる。ほどほどの中堅企業のオーナーたちもサムスングループや現代自動車グループの会長のような待遇を受け、会社に君臨しているのだ。有能なオーナーとして無限責任を負って経営に当たっているなら、誰も反対しないだろう。ところが、多くは数十億ウォン(数億円)の年俸をもらい厚遇を受けるだけで、きちんとした成果を出せていない。
 財閥のまねをする中小企業と同じくらいやっかいなのは、政権に応じて3-4年ごとに交代する準公企業と金融機関の経営陣だ。こうした経営陣の多くは突然就任し、しばらくすると去ってしまうにもかかわらず、オーナーのような待遇を望み、オーナーのように自分勝手な経営をする。大々的な人事異動と事業部の再編を推し進め、組織を混乱させた揚げ句、きちんとした成果も出せないまま3-5年で退任してしまうのだ。ベストセラー『なぜマネジメントなのか』を著したジョアン・マグレッタ氏は「組織の変化を扱うためには、組織内で変わってはならないことをまず正しく知っていなければならない」と指摘している。
 「財閥オーナーのリーダーシップ」には確かにメリットがある。オーナー中心のサムスン電子は、34人の役員が率いるソニーを負かした。光云大の元総長、キム・ギヨン氏は「この20年で1兆ウォン(約1040億円)以上が投じられたプロジェクトを分析したところ、サムスンは製品の企画から生産、販売までに1年半以上かかったことが一度もなく、ソニーは3年以内に販売にこぎつけたことが一度もなかった」と説明した。
 だが、財閥の中には成功したケースに劣らず失敗ケースも多い。元々大きな権威を持っている財閥でもないのに、なぜ財閥のやり方をまねようと躍起になるのだろうか。会社を支配し、混乱させるのではなく、一緒に働く社員と目線を合わせ、組織で守るべき価値を見つけ出すことから始めてはどうだろうか。それそこが「一流のフォロワーシップ」を生むリーダーシップではないかと思う。
李仁烈(イ・インヨル)産業第1部次長





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