シニア花井の韓国余話

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新政府の検察総長、大統領の陰から抜け出せ

2012年12月31日 21時19分29秒 | Weblog
韓国大手紙・東亜日報12年12月27日記事抜粋
検察総長の任期は2年だ。検察の独立性確保のために1988年に検察庁法で任期が明示された。任期制の総長はこれまでに17人だが、任期を満了したのは6人だけだ。任期を満了して独立的に捜査できず、政権との力学関係の中で時には押し出され、時には自ら退いた。
朴槿恵(パク・クンヘ)政府で検察を率いる「総長の資格」とは何か。新政府の初の検察総長は、「大統領の陰」から完全に抜け出し、検察の独立を確保できる勇気を持った人でなければならないというのが法曹界の大方の意見だ。失墜した国民の信頼を回復し、本来の機能を果たすには、検察構成員の信望を基に改革に対する所信を成し遂げる人が総長になるべきだとする声も多い。
①内部の信望が厚くクリーンな人物
新政府の初の総長は、何よりも検察構成員の尊敬と信頼のある人物でなければならない。特に、特別捜査部と公安部などの主な部署を経験し、各部署の特性と困難を理解できる総長が必要だという意見が多い。公職者としてクリーンであることは、当然備えているべき徳性(特性)だ。元検察官で弁護士のB氏は、「千成(チョン・ソングァン)氏のように人事聴聞会で不正が明らかになって辞退するようなことになれば、検察は立ち上がる機会すら失うことになる」と指摘した。検察内部で尊敬を受けた李明載(イ・ミョンジェ)元総長は、慎承男(シン・スンナム)元総長が弟の不正で不名誉な退陣をした後、乱れた検察をまとめる大きな役割を果たした。李元総長は10ヵ月の在任期間、政治家など外部要人との接触を断ち、構内の食堂だけで食事したことでも有名だ。
②権力を私有化しない人物
総長の莫大な権限を自分のために利用してはならないということでも意見が一致する。金泳三(キム・ヨンサム)政府時代、金大統領と同郷の釜山(プサン)出身のキム・ドオン元総長は、検察総長の任期を終えた直後、与党だった民主自由党の釜山衿井(クムジョン)乙の地区党委員長を務め、翌年に同地域の国会議員となった。キム氏は、代表的な政治検事として度々世間の話題になった。
1997年、大統領選挙の1ヵ月前に起こった金大中(キム・デジュン)民主党大統領候補(当時)の秘密資金疑惑に対して、キム・テジョン総長(当時)が「大統領選挙後に捜査する」とし、捜査を留保したことに対しても「不適切だった」という指摘が多い。金大中候補が当選した後、キム氏は総長から法務部長官になった。検察幹部のC氏は、「当時、キム総長が金大中候補側に捜査留保の決定を事前に伝えたといううわさまで流れた」と伝えた。金大中政府時代、金大統領と同郷(全羅南道木浦)だった慎承男元総長も権力私物化の代表的なケースに挙げられる。慎元総長は、前任の朴舜用(パク・スンヨン)元総長の任期2年の間も「実勢の最高検察庁次長」と呼ばれ、事実上、総長の役割を果たしていた。
③組織掌握力と度胸のある人物
検察幹部のD氏は、「乱れた組織を掌握し、外部の不当な圧力に対抗するには、後輩検事を動かすリーダーシップと共に、大統領府と適切な緊張関係を維持できる政治力が総長には必要だ」と強調した。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府時代の宋光洙(ソン・グァンス)総長(当時)は、大統領府と衝突が生じる度に、「それを阻止するために総長がいる」、「大統領府の不満は意に介さない」、「中央捜査部の捜査が非難を受ければ、私の首をまず差し出す」と発言して所信を曲げず、国民と組織から信頼を受けた。一方、林采珍(イム・チェジン)元総長は、朴淵次(パク・ヨンチャ)ゲートの捜査当時、故盧武鉉元大統領の処罰の是非に対して結論を下すことができず苦心し、結局盧元大統領の死につながったとされている。
④検察の役割と本分を分かっている人物
検察の社会的役割と機能を明確に理解し、どの方向に発展させるべきかを分かっていることも、検察総長の重要な資格要件だ。元検察幹部のE弁護士は、「良い検察総長は、国民と検察内部の要求をすべて満たさなければならず、これは『腐敗清算』という検察の役割を明確に認識してこそ可能だ」と指摘した。
李明載元総長は、ソウル高等検察長の退任式で後輩に「庶民のための『白馬に乗った騎士』になってほしい」と述べた。「当代最高の検事」と呼ばれた李明載元総長は、「いかなる推定もせず、どんなことも幸運に任せるな。どんな事件も自分が確信できるまでは裁判に送るな」と強調した。宋光洙元総長は、「社会の不条理と腐敗を撲滅しなければならない検察は、世の中の塩であり、これを見てなぜそんなに辛いのかと非難する人がいるなら、それは塩の存在理由を否定することだ」と述べた。2人とも検察に対する確固たる所信があった。
⑤良い検察総長を選ぶには、大統領が人事権を手放さなければならない
米国や欧州と違って、韓国が「大統領―法務部長官―検察総長」の3重構造になっているのは、総長が大統領から直接指示を受けないよう独立性を保障するためという見方が多い。制度が保障されているため、総長に勇気と政治力さえあれば、大統領をはじめとする政治権力から検察を守ることができるということだ。
しかし、過去の政権は、「事前報告」と「人事権」で検察を統制した。大統領府や与党が関与した可能性がある捜査の前に検察が法務部に事前に報告すれば、この報告が大統領民情首席秘書官を経て大統領に伝わることは公然の秘密だ。この過程で、大統領府が事件処理に不適切な干渉や統制をすることも常だった。人事権も然りだ。関連法上、検察総長だけでなくすべての検事の任命を大統領がすることになっている。大統領が検察を権力維持の道具にしようという欲を出さず、検察総長と検察の独立性を保障しなければならないということだ。
検察幹部のF氏は、「盧武鉉政府初期に、盧大統領が『検察の独立性を保障する』と公言すると、一部の検察幹部が『人事権を総長に与え、事前報告をなくしてほしい』と提案したが、受け入れられなかった。盧元大統領も欲を捨てることができなかった。このような輪を断たなければ、どの政府でも検察は大統領の陰から抜け出せないだろう」と強調した。


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