シニア花井の韓国余話

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隠し資産、検察と兪氏の戦い本格化

2014年05月27日 01時00分15秒 | Weblog
 沈没した旅客船「セウォル号」の実質的なオーナーとされる兪炳彦(ユ・ビョンオン)氏(73)からの資産回収問題で、検察は逃亡中の兪氏の検挙に全力を挙げる一方、兪氏が他人名義を借りて保有する資産の発見にも努めている。
 兪氏一族の犯罪容疑に対する税金追徴や罰金徴収だけでなく、セウォル号沈没事故に対する法的責任を負わせる準備作業に当たる。しかし、兪氏は一部不動産をキリスト教福音浸礼会(別名・救援派)に担保として差し入れる方法で、資産回収を阻もうとしている。資産を探し出そうとする検察と隠そうとする兪氏による戦いが本格化した格好だ。
■名義借り資産を追跡
 兪氏一族による不正を捜査している仁川地検特別捜査チームは、資産追跡のためのチームを別途設け、本格的な追跡作業に入る方針だ。これまでは既存の特別捜査チームが金融監督院と共同で資産追跡を行ってきた。検察関係者は「金融監督院、国税庁と共同で兪氏一族の資産追跡と回収を進めるため、一族の資産リストを作成し、権利関係を確認している」と説明した。これに先立ち、国税庁は5月19日、検察の捜査着手後初めて、ソウル市瑞草区廉谷洞のいわゆる「兪炳彦タウン」など一族の不動産9件を差し押さえた。21日にもソウル市江南区の建物9棟など700億ウォン(約69億円)以上と推定される不動産28件を差し押さえた。
■兪氏の資産、いくら回収可能か
 韓国政府はセウォル号事故に伴う被害者への補償と救助過程でのさまざまな費用を先に政府が肩代わりした上で、兪氏一族に対する賠償請求権を行使し、回収を進める方針だ。兪氏は事故直後、弁護士を通じ、「資産は合計100億ウォン台にすぎない」と説明したが、検察は国内外に他人名義で保有する不動産、系列会社の株式を合計すると、資産は2000億ウォン(約199億円)以上に達すると推定している。検察の捜査過程で隠し資産がさらに発見されるとみられる。
 問題は他人名義の資産をどれだけ探し出し、それをどのように立証するかだ。検察が名義借り資産とみて不動産を差し押さえたとしても、法律上の所有者が異議を申し立てれば、裁判所で訴訟による解決が必要となる。また、検察が兪氏一族の名義借り不動産物件を立証したとしても、その物件が担保として差し入れられている場合、実際の回収額は減少することになる。
救援派は4月28日から29日にかけ、トライゴン・コリアが保有する土地に270億ウォン(約26億8000万円)の根抵当権を設定した。救援派はトライゴンに2011年以前に350億ウォン(約34億7000万円)以上を融資しながら、セウォル号事故が起きる以前、いかなる担保も確保していなかったが、検察による捜査着手直後に担保を設定した。兪氏はトライゴンだけでなく、他の名義借り資産についても、同様の措置を取った可能性が高い。検察関係者は「兪氏一族の資産と推定される会社株式や不動産は差し押さえ可能だが、実際にそれを回収するまでには激しい法的攻防となり、時間を要するのではないか」とした上で「債務の弁済順位などを考えると、実際の回収金額は数百億ウォンにもならない可能性がある」と指摘した。兪氏一族が実際に保有しているか、他人名義による保有が疑われる系列企業の株式も価値が予想より低下するのは避けられない。清海鎮海運は事実上破産状態にあるほか、他の系列企業も今回の事故による捜査の影響で営業が深刻な打撃を受けた。検察は兪氏一族の海外資産についても、米政府との刑事・司法共助を通じ、没収手続きを進める方針だ。
■兪氏一族の事故責任は問えるか
 兪氏一族の名義借り資産を発見して差し押さえたとしても、実際に兪氏の事故責任を問うのは容易ではない。兪氏一族の1289億ウォン(約128億円)の背任・横領容疑と101億ウォン(約10億円)の贈与税脱税容疑の立証は容易とみられるが、セウォル号沈没に対する法的責任を問うとなると別問題だ。兪氏が清海鎮海運の社員であり、事故直前まで「会長」として経営に関与していたことは判明したが、事故との直接の関連性を立証するのは困難というのが法曹界の見方だ。
 ソウル中央地裁の判事は「兪氏一族の資産回収につなげるためには、事故に関する兪氏の業務上過失致死罪が認定される必要がある」と指摘した。
全洙竜(チョン・スヨン)記者
韓国大手新聞 朝鮮日報14年5月23記事抜粋


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