シニア花井の韓国余話

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行政への市民参加を進めるソウル市、脱北者は眼中になしか                 

2012年06月14日 19時19分27秒 | Weblog
韓国大手紙・ 東亜日報12年6月13日記事抜粋
「市民が市長です」
朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の就任後、街や地下鉄など、ソウル市内で目にするソウル市政広報のキャッチフレーズだ。実際、行政に市民の参加が増える肯定的な変化が起こっている。予算審議だけでなく、政策決定の前に市民の意見を収れんする幅が以前より広がった。市のすべての決裁文書には、業務担当者のほかに、市民が決裁印を押す欄が象徴的に作られているほどだ。ソウル市の公務員は、「請願者」を「市民様」と呼び始めた。市民はこのような変化に熱い支持を送っている。
しかし、今年のソウル市の市民団体支援の内容を見ると、果たしてソウル市が言っている「市民」が誰のことなのか疑問を抱かざるを得ない。支援団体の63%が総入れ替えになったためだ。特に、北朝鮮に批判的な立場から事業をしていた団体が公募から落ちたり、基準に合わず最初から支援をあきらめた。市長補佐陣や市民委員会の委員が所属する市民団体が新たに選定されたのとは対照的だ。
朴市長は、社会的弱者に配慮する政策に特に力を注いできた。歴代のどの市長も顧みなかった永登浦(ヨンドゥンポ)の安宿にトイレを設置し、リモデリング工事も始めた。ホームレスも市民として差別を受けない権利など16の権利を盛り込んだ権利章典を最近公表した。これだけではない。ミナミハンドウイルカの「チェドリ」を済州(チェジュ)の海に放すことを決めたほか、清渓川(チョンゲチョン)での馬車の運行を禁止するなど、動物福祉にも関心を注いだ。
しかし唯一、北朝鮮から捨てられ韓国では差別を受ける社会的弱者である北朝鮮離脱住民に対しては沈黙している。様々な統計から、北朝鮮離脱住民の生活は、多文化家庭よりも劣る。平均所得は低く、情報通信の利用能力も低い。家庭内暴力の割合も高い。それだけ韓国での適応が難しいということだ。
地方自治体のソウル市は、市民のための団体を支援するべきだと話している。しかし、この表現は、北朝鮮離脱住民もソウル市民であることを忘れているような印象を与える。統一部がまとめた「北朝鮮離脱住民入国人員現況」によると、2012年5月、脱北者の29%である5967人がソウル市に住んでいる。また、南北交流のための京平(キョンピョン)サッカーを推進し、金大中(キム・デジュン)平和センターの6・15南北首脳会談12周年記念行事に市の予算を使って共同開催することはどう説明するだろうか。
朴市長に「理念を明らかにせよ」と要求しているのではない。前任の市長も、市政哲学に沿った団体を支援したし、保守派団体に支援が偏っていたという指摘も正しい。ただ、この時代に北朝鮮離脱住民を支援し、北朝鮮人権運動をすることが、支援の対象から脱落したり、排除される理由として成立するのだろうか。彼らは、韓国社会どこの誰よりも、差別と冷遇の中で厳しい生活を厳しい暮らしを続けている社会的弱者ではないのか。





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