シニア花井の韓国余話

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【コラム】外国人嫌悪の拡散を警戒せよ

2012年05月01日 21時31分27秒 | Weblog
  韓国大手紙・朝鮮日報12年4月29日記事抜粋
知人が先日、食堂で注文した際、なぜか不安な気持ちになったという。後になってその理由を考えてみると、中国朝鮮族の従業員が話す言葉を聞いて、自分でも気づかないうちに「水原バラバラ殺人事件」の犯人、朝鮮族の呉元春容疑者のことが思い浮かんだとのことだ。最近、夜になっても子どもが帰宅せず、携帯電話でもなかなか連絡が取れないとき、今まで以上に心配になる親も多い。私たちの近くに、道行く女性に暴行を加え、残酷に殺害する人物が住んでいるという恐怖、そのような危険にさらされ、警察に通報したにもかかわらず助けてもらえなかったという不信感が、心に深い傷を残した。
 一方、朝鮮族をはじめ韓国に居住する外国人は、別の理由で不安を感じるという。ただ単に凶悪犯と似た言葉を使っているとか、出身地が同じだという理由で警戒の対象になり得るからだ。実際、ツイッターなどソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では、「水原バラバラ殺人事件」以降、朝鮮族に対する否定的なコメントが急増しているという。
 9・11テロが発生した際、米国で暮らす中東出身者やイスラム教徒たちは憎悪による犯罪の対象になるかもしれないという不安に震えた。航空機によるテロで世界貿易センタービルと国防総省を破壊し、数千人の命を奪ったテロ犯の多くが中東出身で、彼らは米国で数年間暮らし、勉学に励んだ人たちだった。ショックを受けた米国人の間で外国人嫌悪の声が高まった。「頭に赤ちゃんのおむつのような布切れ(ターバン)を巻いた人たちに空港の検査業務を任せてはいけない」「ヒジャブなどで顔を隠して歩く人たちは皆怪しい」など、普段ならタブーとされる発言があふれた。もちろん一方では、多文化社会・米国の根幹を揺さぶる外国人嫌悪の拡散を防ぐべきだという声も多く聞かれた。このような雰囲気の中、イラク系米国人の友人の父親は、娘の外出を禁止した。そして、アラブ首長国連邦からの留学生だった男性はひげを剃り、女子学生はヒジャブの代わりに野球帽をかぶった。米国人に親しまれている衣料メーカー「Gap」のロゴが大きくプリントされたシャツをわざと着る人もいた。外国人が引き起こした大きな事件の直後には、一時的に外国人に対する警戒心が高まる傾向がある。バージニア工科大学の学生チョ・スンヒが起こした銃撃事件以降は、アジア系の人々が警戒の対象となり、景気が悪化した際にはあらゆる移住者が、まるで社会の敵になったかのように攻撃される。最近では、ワシントンの市議会議員が「われわれの地域に入ってきて汚い店を営むアジア人たちに対し何らかの措置を取るべきだ」と発言し、物議を醸した。フランスでは、イスラム過激派による銃器乱射事件以降、テロの可能性があると判断される国内外の過激派に対する警戒を大幅に強化した。
 今まさに多文化社会に向かっている韓国では、外国人犯罪をまだ身近なものとして感じられない。しかし、実際に韓国に居住する外国人は全人口の2、3%に過ぎないが、韓国国内で発生した殺人事件全体のうち、外国人による事件は7.5%に達するという統計がある。文化的異質性、不法滞在問題、外国人同士の暴力によるトラブルなど、複雑な要因が作用するためだ。そのため、外国人居住地域や出入国管理過程では厳格かつ効率的な管理が必要だ。
 しかし、外国人嫌悪の拡散は防ぐべきだ。「彼ら」を「われわれ」として受け入れる努力も、倍増させなければならない。韓国国籍を所有する人たちでさえも、現在の国籍ではなく出身国にこだわって「他人」と考える限り、韓国社会で外国人とのトラブルはなくならないだろう。外国人に対する嫌悪感が高まり、外国人や韓国系外国人が暮らしにくい偏狭な国となれば、結局は「アグリー・コリア(醜い韓国)」となってしまう。彼らにとって居心地のいい韓国になれば、韓国人全体が心穏やかに暮らせるだろう。                              姜仁仙(カン・インソン)国際部長


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