シニア花井の韓国余話

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任期後半迎える朴大統領 外交の成果と課題は

2015年08月23日 14時57分17秒 | Weblog
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が8月25日に任期5年の折り返しを迎えるが、この2年半の間に外交面ではどのような成果があり、この先どういった課題があるのだろうか。
 朴政権が発足した2013年2月、韓国は南北関係や外交・安全保障の面でいつになく厳しい環境に置かれていた。
 金正恩(キム・ジョンウン)体制下の北朝鮮は朴大統領の当選直前に事実上の長距離弾道ミサイルを発射したのに続き、朴政権発足直前には3回目の核実験に踏み切り、緊張を極限まで高めた。
 また、2期目のオバマ米政権発足、ロシアのプーチン大統領再就任、中国の習近平国家主席の就任、日本の安倍晋三内閣発足と、朝鮮半島を取り巻く4大国の政権交代期と重なり、周辺情勢の流動性も高まっていた。
 こうした中、朴大統領は揺るぎない韓米同盟を主軸に中国との関係も改善して周辺情勢を比較的安定的に管理し、外交面で成果を出したと評価される。
 だが一方で、原則にこだわりすぎるあまり韓日関係を改善させられず、日米、日中の接近などで韓国が外交的に孤立するのではないかという懸念を呼んだ。南北関係も進展するどころか、逆に北朝鮮軍による先の地雷爆発事件や韓国への砲撃で緊張が一気に高まった。
 北朝鮮核問題も、6カ国協議が再開されず北朝鮮の核能力だけが高度化し続ける状況が続いており、核問題の解決は朴政権にとって喫緊の課題となっている。
 こうしたことから、朴大統領は残りの任期でより主導的、弾力的、能動的な外交戦略と対北朝鮮政策を駆使して日本や北朝鮮との関係を進展させ、韓国の外交的地平を広げることが求められている。
 朴大統領も光復(8月15日、日本による植民地支配からの解放)70周年記念式典での演説で「確固たる原則と柔軟な対応で統一時代の門を開く」と述べるなど、未来を念頭に置いて南北関係や外交に柔軟に取り組む姿勢を示した。
 ◇韓米同盟を基盤に中国と協力強化
 朴政権は韓米同盟を一段と強固にする一方で、戦略的協力パートナーである中国との関係も発展させた。
 米国とは北朝鮮核問題などに関する揺るぎない連携を維持し、在韓米軍駐留経費負担(思いやり予算)をめぐる交渉をまとめ、韓米連合軍司令官(在韓米軍司令官兼務)から韓国軍への有事作戦統制権移管時期の再延期を取り付けた。また、今年4月には約4年半にわたる交渉を経て韓米原子力協定を42年ぶりに改定した。
 中国とも戦略的な対話の強化や自由貿易協定(FTA)締結、人的・文化的交流の拡大などにより、政治面でも経済面でも交流が盛んな「政熱経熱」の関係に発展させた。さらに、習近平国家主席との首脳会談では「朝鮮半島での核開発に強く反対する」という共同声明を採択。北朝鮮の核に対する中国側の「強い反対」を事実上初めて文書に盛り込んだ。
 しかし、朴政権が米中のはざまで選択を迫られるかのような状況にしばしば直面していることも事実だ。
 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を決めた際には、米国と中国の顔色をうかがいすぎているとの批判を呼び、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備をめぐっても中国の反対から難しい対応を迫られている。
 朴大統領は苦心の末、9月3日に中国で開かれる抗日戦勝記念式典への出席を決めたが、この過程でも軍事パレードなど中国の戦勝記念行事に懸念を示す米国と中国の板挟みになった。
 ◇最悪の韓日関係、下半期の関係改善に期待も
 この2年半、韓日関係では残念な点が多かった。韓国では、関係が改善しない一次的責任は歴代内閣の歴史認識をゆがめるかのような発言を繰り返す安倍首相にあるとの意見が多いが、朴大統領も柔軟かつ弾力的な対応に欠けていたと指摘される。
 原則を強調しすぎるあまり、就任後、一度も安倍首相と首脳会談を開けず、日米同盟の強化や日中の接近により、むしろ韓国が外交面で孤立すると危ぶむ声もある。
 だが、今年6月の韓日国交正常化50周年を機に対話の糸口をつかみ、安倍首相の8月14日の戦後70年談話を契機に韓国政府が過去よりも韓日の未来にやや重心を移したことから、下半期の関係改善に期待が高まっている。
 ◇南北は一触即発の緊張状態
 朴政権は、南北の対話と協力により信頼を構築していくという「朝鮮半島信頼プロセス」を対北朝鮮政策の基調に掲げて南北関係の改善を模索したが、大きな進展を得られずにいる。
 今年の光復70年、分断70年を機に行き詰まった南北関係の突破口が開けるとの期待が大きかったが、むしろ最近は一触即発の緊張状態が続いている。
 8月4日には非武装地帯(DMZ)の韓国側で北朝鮮軍が埋めた地雷が爆発し、韓国兵2人が重傷を負う事件が起きたのに続き、この報復として拡声器による宣伝放送を再開した韓国軍に向け、北朝鮮は20日、砲撃という挑発に出た。また、48時間以内に宣伝放送を中止しなければ「軍事的行動」を開始すると警告した。
 さらに、10月10日の朝鮮労働党創建70周年を前後して「衛星」発射を名分にした長距離弾道ミサイル発射に踏み切る可能性も否定できず、朝鮮半島情勢は全く先を見通せない状況となっている。こうした中、専門家の間からは南北の首脳が会談し、対話するよう促す声も出ている。
【ソウル聯合ニュース】15.8.21



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